クルド語教師養成コース試験に、2582人受験
2012年07月29日付 Radikal 紙


マルディン県のアルトゥクル大学がクルド語教師志願者に向け開講する、論文不問の高等免許コースに2,582名が受験した。受験者の一人、52歳のタヒル・スィダルさんは、「27年間トルコ語教師をしています。チャンスがあれば、今後は自分の言語に奉仕すべく、クルド語教師になりたい」と語った。

受験者らが今日の試験を受ける際、アルトゥクル大学副学長で現存言語研究科科長のカドゥリ・ユルドゥルム教授が次のように述べた。
「政府は、一元論的な思想により積み重なった負債をその利子と合わせて一度に片づけることに難儀しています。そのためにも負債を分割で片づけようとしており、初の支払いは、今日、(クルド語の)選択授業というかたちで本学でなされます。そして最後の支払いは、母語による教育になるでしょう。」

■オマイ学長「クルド語のために全力を尽くす決意」

アルトゥクル大学は、学校でのクルド語選択授業開講によって需要の高まっているクルド語教員を養成する。同大の、論文不問の高等免許コース選抜(定員500名)を2,582名が受験した。クルド語教師育成のための初試験が、今日、同大によって10棟の校舎で実施された。同大のセルダル・ベディー・オマイ学長は、試験前の受験者に、クルド語のあいさつを交えて説明を行った。同学長は、自身はクルド語が母語でないので簡単なクルド語の文章でも作れないと明かしつつ、この言語への寄与は自分にとって大きな名誉だと語った。

また、同学長は次のように続けた。
「私の心は、クルドの民と、クルド語とともにあります。初めてYÖK(高等教育員会)に申し入れをした時、我々は、大学教育での許可を求めました。大学院課程レベルでの許可が下りた時、我々は、「十分ではないが、よし」として、自分たちの道を進み続けました。クルド語のために、我々ができることをしようと決めました。17世紀、アフメデ・ハニがクルド語の発展に貢献した過程は、おそらく今転機を迎え、本学の活動によってトルコ共和国の新しい時代にまっすぐ進んでいます。これは私にとって、また本学教員や研究者にとっても多大なる喜びです。」

同大の現存言語研究科科長カドゥリ・ユルドゥルム教授は、受験生に対し、試験前にオリエンテーションを行い、この試験がトルコ史上初であり、学生選抜・配置センター(ÖSYM)によって実施されることを説明したうえで、次のように続けた。
「今日からが、アルトゥクル大学の新しい歴史です。歴史が、新たにマルディン・アルトゥクル大学を刻むのです。教員志望者の皆様方は、クルマンジー語の叙事詩「メムとズィン」を記した作家、アフメド・ハニ(Ehmede Xani)、そして初めてザザ語の韻文詩を書いたメライェ・ハス(Melaye Xas)、サイード・ヌルスィーとセイド・ルザーらの夢を具現化する第一歩を踏み出すのです。私は、彼らの魂が今日我々の内にあると信じています。そして彼らの夢が本学で実現するのです。政府は、一元論的な思想により積み重なった負債を、利子込みで一度に片づけるのに難儀しています。そのため、この負債を分割で片づけていますが、初の支払いは、今日、選択授業という形でマルディン・アルトゥクル大学でなされます。そして最後の支払いは、母語教育によりなされるでしょう。この最後の支払いに関しても本学が担うことを望んでいます。最初の支払いは、最後の支払いに向けて認められたのです。我々はサポートしていきます。」

■ユルドゥルム教授 「橋渡しの役目をする用意がある」

同教授は、受験者らに今後の活動を説明し、次のように話した。
「基盤が整わない時期に、母語による教育が決定するということは、水から出た魚になる可能性があるということです。実際、ごちゃごちゃした混乱が出てくる危険性もあり、結局「見なさい、クルド語教育が認められたのに、台無しにしている」といった失敗論が論われる懸念もあります。公式・非公式の言語機関、言語基金や協会は、さまざまな圧力にもかかわらず、いくつかの実りを上げています。これからも分るように、努力は尊いものなのです。しかし今のところ、彼らや我々の整備した資材は、母語による教育にとっては大海の一滴のようなものです。皆さんの言う、母語による教育の実際は、小学校1年生の教室から大学の最終学年まで、全授業がその母語でなされることです。当然、機会が与えられれば、クルド語にはそれらに耐えうる豊かさがあり、洗練もされています。必要なのは、広範なコンセンサスの中で、合理的なスケジュールに組み込み、公式な援助・支援をそのスケジュールに間に合わせる基盤作りです。我々はこの問題において、橋渡しの役目をする用意があります。」

ユルドゥルム教授は、500名の定員に2,528名が受験し、そのうち243名がザザ語、そのほかがクルマンジー語であったと明らかにし、次のように続けた。
「受験にはトルコ文学部、トルコ語教育・社会科教育のいずれかを卒業、3年以内のALES試験55点、さらに学部の平均成績が最低60点という条件を課したにもかかかわらず、受験者は2,500名を超えました。我々は、このことを、まずはクルド語に対する皆さんの愛と、そしてマルディン・アルトゥクル大学への信頼であると胸を張って申し上げます。」


■受験者はトルコ人やアラブ人

同教授は、受験者らのなかにはトルコ人やアラブ人もみられたとし、「高潔な志を持つ、洗練された新進気鋭の受験者一人一人の幸運を祈っています。もし、彼らが上位500名に入れなかったとしても、2月に実施予定の500名定員に入れるよう、本学で育成クラスを受講してほしいと思います。それぞれのための特別カリキュラムが適用され、あらゆる援助がなされるはずです。」と話した


■「ザザ語を忘れない」

ユルドゥルム教授はスピーチで、ユネスコがザザ語を絶滅危惧言語であると発表したことにも言及。「我々のみがクルマンジー語やザザ語を保護できるのです、これを達成しましょう。よく知られているように、ユネスコは消滅寸前の言語をリスト化しており、その中にザザ語も含まれています。我々が述べたように、すでにアルトゥクル大学とビンギョル大学がザザ語を研究対象としています。すでに研究論文をザザ語で執筆している研究者候補の博士課程学生もいるのです。」

■定員1000名でも

ユルドゥルム教授は、500名という定員に集まった2,528名に、定員設定の不備を述べる一方で、「論文不問の院コースに重大な関心が寄せられています、それもトルコ全土から。残念ながら、皆さんの中から500名を選ぶことになります。我々はこれに納得しているわけではありません。高い関心を受けて、定員問題についても話し合いました。目下、次点の500名のための募集はできません。しかし1000名を受けいれる基盤が我々にはあります。」と語った。

■52歳でクルド語教師試験を受験

トルコ各地から受験のためマルディンにやってきた受験者らからは、500名という定員に反発の声が上がった。52歳のタヒル・スィダルさんはクルド語への情熱から、50歳を過ぎてクルド語教職を目指し、受験のためイスタンブルからやってきたという。スィダルさんは、「私の望みは、母語であるクルド語で教育がなされることです。27年間トルコ語教師をしています。チャンスがあれば、今後は自分の言語に奉仕すべく、クルド語教師になりたいと思っています」と話した。
受験者のメフメト・ユルマズさんは、アルトゥクル大学以外に、別の大学でも、クルド語教員志望者向けの教育を望んだ。また、ヴァン県から来たスュメイイェ・タフシンさんは、クルド語の前にある障害が一つ一つ取り除かれていくことに肯定的かつ支持的な見解を示した。

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( 翻訳者:原田星来 )
( 記事ID:27174 )