デジタル化進むオスマン・シャリーア法廷文書、公開へ
2012年08月04日付 Zaman 紙


シャリーア法廷文書館は、トルコの研究者と並んで外国人も多く訪れる所である。多くの国で新しい法律条文を定めるためにオスマン帝国の司法制度の詳細が研究されている。

イスタンブル宗務局の管轄下にあるシャリーア法廷文書館を、毎月トルコや世界中から何千人もの人々が訪れている。訪問者の中で最も注意を引いているのはアメリカや日本の学者たちだろう。彼らを文書館に引き寄せたのはオスマン帝国の司法制度の秘密である。というのも彼らは帝国の600年の支配の成功を司法制度と結び付けて考えているのである。文書館の関係者であるアイハン・ウシュク氏は、研究者の中には世界的に有名な学者もいるという。彼らの名前はいわないでおく、とするウシュク氏は、学者たちの中には博士論文のテーマを文書に基づいて決めている人たちもいると述べる。

ウシュク氏は「いくつかの国では、オスマン帝国の司法制度から例を得て新しい法律条文をこの形式で整備している」という。シャリーア法廷文書館の常連である日本やアメリカの学者たちは、厳密で詳細な研究をしている。オスマントルコ語とアラビア語に堪能な研究者たちは、オスマン帝国の時代に政府で職をえていた役人の職業倫理や離婚訴訟、遺産分配のような問題を研究している。彼らは文書館にリストを持ってきて、どの問題を何を使って研究するのかをよく知っている。日本人学者の秋葉淳氏のように、世界中のさまざまな大学の多くの学者たちが博士論文をシャリーア法廷文書館にある問題によって決めているそうだ。オスマン帝国の時代にイスラム法官職の制度をテーマに一冊の本を書いたこの日本の研究者も文書館で長い間研究していたという。

イスタンブルでの裁判にとっても、文書館は大きな重要性をもっている。なぜなら多くの人々が祖父の代から残る莫大な財産を、文書館にある文書のおかげで所有することができているからである。今日何兆リラ分にものぼる訴訟が行われているという文書館の関係者は、イスタンブルだけで、これだけの額の財産にかかわる75万もの宗教寄進であるという。古文書の上にある印紙やイスラム法官の印章でさえ訴訟の内容を明らかにするのに十分である。

国内のさまざまな地域から来た人々は、先祖の代から残ったオスマントルコ語の文書を持ってイスタンブル宗務局に急いでいる。「アナトリアのいたるところから毎月400人あまりの人々が私たちの元に、「自分はセイイド(ムハンマドの血を引くもの)なのか、どうか」といって、やってくる。国外からも多くの人が訪れている。特にサウジアラビアの人たちである」と説明するウシュク氏は、サウジアラビアでは預言者の血をひく人々にいまだに手当てが与えられており、これが原因でアラブ諸国からも多くの人々が文書館を必要としていると、述べる。

■8月には、デジタル化された100万件の文書が公開される

文書館としても、一生懸命働いている、というウシュク氏は(しかし)自分たちはたった11人で、このチームが国内外から来る訪問者に追いつくことが困難であるという。特に訴訟の書類が紛失したり、悪意のある人々の手で改変されてしまったりすることを防ぎ、研究者たちにより幅広いサービスを提供することを目指して、約100万の文書をデジタル化したことを発表した。8月から文書館はデジタル化サービスが始まるという。

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( 翻訳者:浅野まや )
( 記事ID:27257 )