シリアでの対立がイラクの物価を押し上げ
2012年08月07日付 al-Hayat 紙


■シリアでの対立がイラクの物価を押し上げ

2012年08月07日 火曜日 『アル=ハヤート』

【バグダード:ナスィール・アル=アリー】

シリアで発生している事態が、シリアからイラク市場に輸入される商品の値段の大きな上昇に反映されている。このことは、イラク国民の肩に掛かる負担を増加させる一方、基盤市場の喪失によりシリア商人を脅かしている。

青果を売買するムハンマド・アッ=サーイディーさんは本紙の取材に対し、「今回の物価上昇は我々がシリアから調達していた商品を含んでいる」と強調した。同氏は、消費者はシリア情勢の影響を感じ始めている、なぜなら、シリア情勢は日常的な食料品と結びついているからだ、と指摘した。そして、物価が最近1ヶ月以内と比べて平均で4倍にも増加した物価上昇を無視することは出来ないと明言した。またいくつかの商品の値段が10倍になっている事に言及し、イラクの消費者がシリア商品に慣れた今となってはそれらの商品をシリア以外の国から調達する事が困難であると強調した。

シリア経済
シリア国内の綿産業の生産者の一人はシリア経済が崩壊の瀬戸際に達しており、シリア経済が依存する3つの産業、すなわち農業、工業、商業が完全に停止している事を指摘した。中でも農業が最も打撃を受けていると述べた。というのも国内農家は毎シーズン、国内需要の確保と湾岸やレバノン、ヨルダン、トルコ、イラクへの膨大な量の輸出のために準備しており、イラクは農業生産の輸出先の中でも最も大きな割合を占めているからだ。
同氏はまた、「工業、商業も完全に停止しているよ。市場での一部の食糧を確保するための国内商業を除いてはね」と述べ、複数都市の市場で略奪が相次ぐ事態が発生していることを指摘した。

例えば、玉葱1kgの値段が2500ディーナール(2ドル以上)に達する一方、バナナは750ディーナールに達している。国会の投資経済委員会のヌーラ・アル=バジャーリー委員は、「委員会は先週末、税関総局のムンザル・アブドゥルアミール局長の他、内閣官房の代表者ら複数名と会議を開いた」事を明らかにした。

同委員は、「委員会は関税法の適用延期に賛成であった。同法案は、7月初頭に憲法違反と認定されていた。その法律は議会によって制定され、適用されるものと考えられているので、同法案に関する延期は法律を通して行われなければならない。」と述べた。
また、「政府には延期についての複数の理由がある。その一つはすべての国境窓口に対して完全な統制が及んでいないことであり、特にクルディスタン地域は顕著である。この件については税関総局長と共に議論している。」と述べた。さらに同委員は、「ムンザル局長は物資の輸送、技術、管理、資金上の準備が完了するまでの2年間の猶予を要求し、その頃には商品や資料の調査システムの導入と、適切な人員の任用がなされるだろう。システムには、約5000人の職員が必要である。」と続けた。

そして、「この案件は委員会と議会に戻され、議会の第一読会で発表が完了するだろう。」と述べた。

輸入への依存
サービス委員会のスハード・アル=ウバイディー委員は、イラクが隣接諸国の生産品に依存し続けている事を警告し、「物価の上下とこの種の危機の発生は、国内生産では需要分を確保できない市場の顕著な象徴となるだろう。この市場は関税法の適用なしには両足で立つ事もできないだろう。」と述べた。

イラク中央銀行のミズハル・サーリフ副総裁は本紙に対し、イラク・シリアの貿易規模は過去3年間顕著であり、昨年(2011年)は40億ドル以上に上った事を明らかにした。

また同副総裁は、シリアでの事態の継続によりシリアの工場主や農家、商人がイラク国内市場の顧客を失うことになるとの見解を示した。

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( 翻訳者:川上誠一 )
( 記事ID:27296 )