シリアでイラン人参詣者48名が誘拐:巡礼参詣庁「参詣者らは個人的にシリアを旅行」
2012年08月05日付 Jam-e Jam 紙

【社会部:マルヤム・ユーシーザーデ】普通のシリア人ですら、内戦が終わるまで自宅待機を選ぶような状況にもかかわらず、イラン人参詣者らが同国を訪れ、誘拐される事件が起きている。

 昨日朝11時、ダマスカスのゼイナブ廟〔※〕周辺で武装集団がイラン人参詣者48名を乗せたバスを襲撃し、誘拐する事件が発生した。これに関してファールス通信は、イラン人参詣者らはイランに帰国する途中で、この誘拐事件はダマスカス国際空港に向かう道中で発生したと報じている。

※訳注:初代イマーム・アリーの娘、ゼイナブを祀った廟でダマスカス郊外にある。シーア派聖地の一つ。

「参詣者らは個人旅行者たちだった」

 イラン人参詣者が誘拐されたとの報道が流れた直後、巡礼参詣庁アタバート〔※〕局のホッジャトルエスラーム・メフディー・シャフサヴァーリー局長は、この事件に関して巡礼参詣庁に非はないとして、「誘拐されたイラン人参詣者らはシリアを個人的に旅行していたものであり、巡礼参詣庁は外務省と在シリア・イラン大使館を通じてこの問題をフォローしている」と表明した。

※訳注:アタバートとはシーア派聖地のこと

 この当局者は「巡礼参詣庁は現状を踏まえ、一人の参詣者もシリアには派遣していない」と主張してはいるが、本紙の取材は同氏の発言とは全く異なった事実を指し示している。

 本紙はこの問題を取材するにあたって、アタバートに参詣者らを派遣しているツアー・グループと接触した。その結果は、驚くべきものだった。一部のグループはシリアで安全が確保できないことを理由に、ツアーから手を引いているが、依然としてツアーを実施しているグループもあるというのだ。しかも興味深いのは、どのグループもツアーの続行ないし中止に関して、巡礼参詣庁からいかなる指示も受けていないというのである。

〔‥‥〕

 巡礼参詣庁の当局者たちはシリアの危険性について知悉しており、これに関して同国政府から警告を受けているにもかかわらず、同庁から正式の許可を得たツアーはいまだ、シリアにイラン人参詣者らを送り出しており、また自由に新聞・雑誌の紙上でシリア旅行を宣伝して、人々の命を危険に晒している。

 いずれにせよ、たとえ巡礼参詣庁アタバート局長の発言が正しく、この参詣者らは個人的にシリアを旅行していたとしても、巡礼参詣庁はシリアへの無認可ツアーに対する取り締まりに関して確実に責任があるだろう。またそれ以前に、個人的な旅行であっても、外務省には紛争に巻き込まれたシリアに巡礼者たちを派遣するような行為を禁止する義務があるのではないだろうか。集団でシリアを訪れているにもかかわらず、当局から「個人的な参詣者たち」などと呼ばれている参詣者48名については、言わずもがなである。

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( 翻訳者:8410068 )
( 記事ID:27361 )