「割礼は傷害」論争、再燃―ドイツの裁判所
2012年08月23日付 Zaman 紙

ドイツのケルン州裁判所が下した割礼禁止の決定が、新たな議論を呼んでいる。

この決定が下される原因となったオメル・ケッゼ医師は、裁判官は法廷にやって来る前に頭の中で既に割礼禁止を確定していたと述べた。「その目的は、私に刑罰を与えるということよりも、むしろ割礼を禁止することにありました」と話した。ケッゼ医師は、どのようなプロセスを経てこのポイントに達したのかをザマン紙に説明し、「2010年4月に、私はチュニジア国籍の家族のこどもに割礼をとりおこないました。しかし、子どもの母親は、独自に行ったので、子どもの血が止まらなくなりました。そのため、子どもは病院に運びこまれ、裁判の過程が始まりました」と述べた。ケッゼ医師は、裁判を担当する地方裁判所は医師自身が弁護することさえ必要ないと無罪放免したことを喚起し、次のように続けた:「決定を受け入れられなかった検察官は、裁判をケルン州裁判所に持ち込み、その結果が出ました。裁判所は、家族が子どもに割礼をほどこす権限を奪ったのです。」
ケッゼ医師は、事件を裁判所にもちこんだ検察官は、医者が罰されること、また割礼禁止を要求したと説明し、地方裁判所の裁判官は、医師自身の弁護さえ望まずに裁判を却下し、医師を無罪放免とさせたと説明した。ケッゼ医師は、決定を受け入れられない検察官が、裁判をケルン州裁判所にもちこんだと強調した。

客観的、中立的、かなりポジティブな法廷専門家による報告書であったことから、自身を無罪放免としたと強調するケッゼ医師は、それにもかかわらず、(ケルン州)裁判所は「家族が子どもに割礼をおこなわせる権限」を取り消したと述べた。ケッゼ医師は、「裁判官は、あまり実の無い決定を行った。私を無罪とし、このような上級裁判所に行く、私の権利を妨害しました」と述べ、裁判所の態度を批判した。「決定は、間違いなく挑発目的です」と述べる、シリア出身のケッゼ医師は、「NSUテロ組織が出現したときに、私が割礼の議論を始めたのは、NSUを日々の話題からそらすためではないことを誓います」と述べて、(かけられた)疑いについてそう話した。
ドイツ連邦議会は、全社会から大きな反発を集めた割礼禁止の差し止めに関して、政府が法整備を行うように呼び掛けた決議案を承認していた。ドイツ政府と連邦議会に対して様々なテーマで意見具申を行う目的で構成されている倫理委員会も、昨日ベルリンで行った会議で、割礼に関して、一定の条件下で許可されるように提案した。

■割礼反対の歴史は古い

ドイツにおける割礼禁止の過程は、実は2008年から始まっている。パッサウ大学のホルム・プツケ教授は、長年、宗教を理由にした割礼を禁止し、(割礼は)傷害罪とみなされるべきと主張していた。プツケ教授は医師会の出版物を始め、小児科医、泌尿器科医を対象としたセミナーや参加したテレビ番組で、宗教を理由にした割礼の禁止、しかし医学的な必要性があれば、割礼に許可が与えられるという考えを述べていた。
ケルン州裁判所が割礼を傷害罪としてみなすと決定した後、割礼を行い続ける理由から、最初の刑事告訴は、ユダヤ教祭司デイヴィッド・ゴールデンベルグ氏に関して行われた。ドイツ連邦の歴史で、初めてユダヤ教祭司について刑事告訴がなされたという特徴ももつ申請を、ヘッセン州のある医師がおこなった。イスラエル生まれのユダヤ教祭司ゴールデンベルグ氏は、「世界の多くの国々で割礼は行われている。これほどに議論されるたった一つの国はドイツです。これまでに 4000もの割礼を行いました。どんな問題にも遭遇していません」と述べた。

(本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介
されています。)

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( 翻訳者:石川志穂 )
( 記事ID:27433 )