PKKの旗掲揚作戦
2012年08月30日付 Yeni Safak 紙


PKK(クルディスタン労働者党)はシェムディンリで、PKKの旗を掲揚する試みを2度行ったものの失敗に終わっていたが、6つの郡で同じような計画を企てようとしていることがわかった。テロ組織で主導権を握るジェミル・バユクが「わずか1時間であっても、政府の建物に旗を揚げよ」という命令をしたと知り、治安部隊は3つの県でPKK掃討作戦の準備にとりかかった。

PKKで近頃影響力を増すジェミル・バユクが、テロリストらにこの1週間で、「わずか1時間だけであっても、政府の建物のどれか一つで、トルコ国旗を下ろし、PKKの旗を揚げよ」といった命令を下したことが明らかになった。バユクは近頃高まる「旗揚げ」命令において、テロリストらがユクセコヴァ、シェムディンリ、ジズレを始めとし、政府の建物を襲い、トルコ国旗を下ろしPKK旗を揚げるよう命じていることがわかった。

■1分であれ旗が空でたなびくように

治安部隊が手にした情報によると、テロ組織はこの目標が達成されなかった場合、B計画を実行し、シュルナク-ベイトゥシュシェバプ、マルディン-ヌサイビン、ハッキャリ-チュクルジャで同様の行動をとる予定。この1ヶ月でシェムディンリを2回攻撃したPKKが、「政府の建物にPKK(クルド人労働者党)の旗をたなびかせる」という目標を達成するために、広い地域で再度攻撃を行うという情報を得た治安部隊は、警戒態勢を敷いている。PKKの計画達成を防ぐために、軍と警察は山岳地帯に潜伏する750人のテロリストを追跡した。また、この地域で更に大きな掃討作戦の準備が行われたことがわかった。テロ組織はシェムディンリを何度も攻撃して多大な損失を与え、駐屯所襲撃では何度も蹴散らされているにもかかわらず、ハッキャリ-シュルナク間の地域を手放さずにいるが、このPKKに対し、ジェミル・バユクが先週の木曜日に通信機を使い「ジュマ」というコードネームで、「政府の建物を攻撃せよ。1分であれPKKの旗を揚げよ。死を覚悟して戦え」という命令を下したことが明らかになった。

■ギリシャ人のように死んでも、私たちは勝つ

バユクは通信機でこの地域のPKK戦闘員に、「欧州人権裁判所はキプロス島で1996年に、トルコ国旗を旗用ポールから下ろそうとした際に撃たれたアナスタシオス・イサク氏の裁判で、トルコ側に罪があると見なし、死亡したギリシャ人の親族に33万9千ユーロを支払うよう判決を下した。お前たちも同様の案件で訴えよ、こうした行為により、ヨーロッパで司法の分野で闘争を続けているわが同胞らを力づけることになる。われわれにもアナスタシオス・イサクのような人々が必要なのだ」と述べた。

■カメラを持ち動き回っている

政府の建物を標的にしているテロリストらはPKKの旗を携え、また戦闘活動を行うテロリストはカメラを持ち、そのカメラでPKKの旗がたなびく映像を撮ったのち、PKKはこの映像をソーシャルメディアで世界に配信しようとしていることが分かった。7月以降、頻繁にシェムディンリを攻撃するテロ組織は外の世界に対し、シリア北部のクルド人居住地域で起こっている出来事と同じように、「民衆蜂起」のイメージを与えようと努めていることが明らかとなっている。

■特殊部隊はゴマン山に

ハッキャリのシェムディンリ郡が焦点となっている。PKKの「旗掲揚計画」をふせぐため、山岳部のテロリストを追跡している治安部隊は、ゴマン山で掃討作戦にあたった。シェムディンリ郡の大部分を占めるゴマン山へ、前日の夕方から現在まで特別訓練を受けた隊員がヘリコプターで降下している。ユクセクオヴァから飛び立ったヘリコプターは、シェムディンリ第34国境部隊や第3山岳特殊部隊から「特殊部隊員(ボルドー・ベレー)」を乗せ、ゴマン山に送っている。ここでテロリストらを追跡している治安部隊は、ギュンヤズ村に属するイイトレル地区を丹念に調べている。なぜならデレジッキ地域のウムルル駐屯所を近頃頻繁に襲撃し、道路を遮断させているテロリストたちが、ここの地区に潜んでいると考えられているからだ。テロリストらがハッキャリ-ヴァンを結ぶ幹線道路に埋めた遠隔操作の爆発物は、治安部隊により事前に発見され、処理された。一方コジャエリのカラミュルセル郡の雑木林から、60―65キロほどの硝酸アンモニウム爆弾をつくることができる材料が押収された。この件に関し、15人が逮捕された。

■透析が必要なバユクはイランが用意した家に

PKKではムラト・カラユランがこの45日間音沙汰のない状態が続いているため、主導権を手にしたジェミル・バユクが、PKKの金の流れをも手中に収めていることが分かった。バユクは組織内部でイラン寄りとして知られている。バユクはウルミイェでイラン側から用意された家で住んでいるが、護衛付きで腎臓病のためイラン側が用意した透析器を継続的に使い、医師の診察を受けていることが明らかになった。バユクは、卑劣な攻撃のため「バホズ」というコードネームをもつフェフマン・ヒュセインに任務に当たらせ、シリアでの活動はムスタファ・カラスを通して状況把握をしている。

■注意をそらさせようとする

ユクセコヴァ、シェムディンリ、ジズレを攻撃し、政府の建物にいわゆる「PKKの旗」を揚げたいと考えるテロリストらは、この目的のために興味深い戦術をとっている。テロ組織は注意を分散させるために、まずダールジャーイェシルタシュの駐屯所への攻撃を計画し、治安部隊がここに軍事力を結集させるのを狙って、こんどは3つの郡を大規模に攻撃し、「旗掲揚計画」の実現に臨もうとしていることが明らかになった。

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( 翻訳者:畔上曜子 )
( 記事ID:27489 )