イスラエル、「帰還権」に反論:アラブ系ユダヤ人の財産回収計画
2012年09月07日付 al-Hayat 紙
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■イスラエル、「帰還権」に反論:アラブ系ユダヤ人の財産回収計画

2012年9月7日金曜日『アル=ハヤート』

【占領下エルサレム:アーマール:シャハーダ】

イスラエル外務省が「私はユダヤ人難民」キャンペーンを発表して以後、幾つもの疑問が浮上した。このキャンペーンは、1948年とその後数年間の期間にユダヤ国家建設のため、特に複数のシオニスト機構による作戦でアラブ諸国からイスラエルへ移住したユダヤ人に対してアラブ諸国からの補償を求める計画の準備を目指すものだ。

今日、イスラエルはパレスチナ人との交渉に関する提案をしていないにもかかわらず、「私はユダヤ人難民」キャンペーンを通じてパレスチナ難民の事案を自身の国際的事項に盛り込んだ。このキャンペーンは外務省の発案によるもので、ダニ・アヤロン外務副大臣が監修を務める。アヤロン副大臣は、自分自身をこの「ユダヤ人難民」の一人と考えており、彼によると父の出自はアルジェリアで、父は自分の家と国を去りイスラエルに移住するよう強制されたという。そのためアヤロン氏は自身の家族が「アラブ諸国からのユダヤ人難民」に含まれると主張しており、イスラエルはその彼らのためにアラブ諸国から補償を得ようとしている。このキャンペーンの提唱に際してアヤロン氏は、「自分の家族とその他のユダヤ人家族に被害を及ぼした歴史的欺瞞の修正を望む」と発言した。

世界が核問題とイラン攻撃の是非をめぐる議論にかかり切りとなり、パレスチナの事案が議題に上がらないこの時世をイスラエルが利用していると考える者もいる。パレスチナ人の帰還権の問題に対抗し、交渉の道具として使える「アラブ諸国からのユダヤ人難民の問題」を準備するためだ。この「ユダヤ人難民」の事案がパレスチナ問題のどの事案よりも困難な事案であるということを考慮した上でのことであり、さらにこの事案はパレスチナ問題の進展を前に障害となるだろうと予想されている。イスラエルはこの事案を価値が高く、和平交渉の当事者や国際社会を説得できるものと見ており、パレスチナ難民の帰還権の問題に劣らない重要性を持つものとしてこの問題についての議論を行い、イスラエルの事案への見返りとして、パレスチナの事案から取引と譲歩の可能性を見出したい意向である。

こうした見解に対し、ユダヤ人難民問題の提案は、和平交渉を進めるためのパレスチナ-イスラエル間の秘密連絡が行われている時に行われたのだということを否定しない筋もある。ダニ・アヤロンとアヴィグドール・リーベルマン外相は、パレスチナ難民の帰還権に関しても入植地に関してもこの和平交渉には頑なな姿勢を崩しておらず、イスラエル外務省はこうした方向性から「私はユダヤ人難民」キャンペーンを打ち出したのだ。

同キャンペーンはアラブ諸国出身のすべてのユダヤ人に、彼らがイスラエルに来る前にアラブ諸国で生活していたことについての証拠資料や証明を用意することと、それをフェイスブックにある外務省のページで公表するよう呼びかけた。アラブ諸国出身のユダヤ人が記入する欄を見ると分かるが、出国を決断した瞬間から家を出た方法、イスラエル到着の瞬間に至るまで完全な詳細を書き記すことが求められている。またこの文書には、イスラエルが「出国したアラブ諸国で彼らが受けた苦しみや権利の剥奪、またどのように金銭や所有物を強奪され、追放されたか」とするものに関する説明も含まれる。また文書の詳細には、家や権利の売却に際して弁護士のところに赴いた際にユダヤ人が支払ったであろう些細な金額や、生活していた国から出る前と出国後に使用した分の通話料など、金銭的負担も含まれている。キャンペーンの全般的な目標は、イスラエルがパレスチナ難民に対する補償の数倍に相当する補償金額を提示することである。

イスラエルはアラブ諸国でユダヤ人が失った財産はパレスチナ難民が失った財産の2倍に相当すると主張している。その主張に準ずると、パレスチナ人が損失した合計金額は約4億5千万ドル(現在の39億ドルに相当)である一方、ユダヤ人難民は総計7億ドル(現在の60億ドルに相当)に相当する財産を失った。

比較

イスラエルはキャンペーンに関する文書の中で、1948年に移住、離散させられたパレスチナ人(同文書では「委任統治領パレスチナ」または「イスラエル」から「逃げた」あるいは「出た」アラブ人、という表現を使用)の数は75万人である一方、同時期のアラブ諸国のユダヤ人は90万人を超えていたという点についても記している。

またアラブ諸国のユダヤ人(同文書では「ユダヤ人難民」という表現を使用)は農村部での生活を営む傾向がより強かったパレスチナ人と異なり、都市部で生活し様々な職に就く傾向にあったため、より多くの富や財産を集め、出自国でそれらを手放すことを強制されたとも記している。さらに、イスラエルは凍結口座や銀行の貸金庫内の私物、難民に属するその他財産の90%以上を取り戻したとも付け加えている。

帰還権?

イスラエルは準備中の文書の中でアラブ諸国のユダヤ人とパレスチナ人難民の間には重要かつ大きな違いがあるという点に注目している。それは「パレスチナ・アラブ人の多くはアラブ諸国が引き起こした紛争に関わっていたが、それに対してアラブ諸国のユダヤ人は出自国で数千年とまではいかないが数世紀に及んで啓典の民の地位にあり、平和的な住民であった」という点である。さらにイスラエルはこの問題で国際社会を説得する試みの中で、同文書に「通常、難民の定義は庇護を求めて避難した者にのみ適応されるが、パレスチナ難民は避難しているわけではない上、子供や孫から未来永劫(の子孫に至るまで)、(当人だけでなく)家族全員が難民扱いである。これはユダヤ人にも同じことが当てはまる為、(アラブ諸国から非難してきた者の子孫の)ユダヤ人もまた難民である。」と付け加えている。

『難民の真実のストーリー』と題した自身に関する映画を作成し、自らがアルジェリア系の出自であることを「ユダヤ人が補償を受ける権利」に関する国の立場の強化に利用したダニ・アヤロン外務副大臣は、「自分の父のような人や、イスラエルに移住してきた数十万人と[その子孫も含め、難民である]数百万人のイスラエル人に補償を受ける権利があり、中東の紛争においてアラブ人やユダヤ人が二度と同様の醜い扱いを受けないよう、彼らの問題はもう一度国際的な議論事項に復活させるべきだ。」と述べた。アヤロンはこの問題に関するあらゆる議論に先駆けて、パレスチナ人の帰還権と、国連総会がこの件に関して採択した国連決議の合法性の程度について論じ、「イスラエルとパレスチナ人の直接交渉が再開されれば再びこの『帰還権』と呼ばれるものに光が当てられるだろうが、それは法的なトリック以上のものではなく、『帰還権』の法的根拠とされている国連総会が採択した決議第194号もこの表現[『帰還権』]には触れていない。同決議に法的拘束力がないことは言うまでもないが、意図的にそれが何であるかを言うことなく『難民』という曖昧な表現を使う(パレスチナ問題に)関連するあらゆる国連決議に関してもまた然りである。」と述べた。

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( 翻訳者:秋山俊介 )
( 記事ID:27548 )