イラク死刑判決のハーシミー副大統領に、トルコ「引渡さない」
2012年09月11日付 Radikal 紙


トルコ政府は、死刑判決が出たイラクのハーシミー副大統領の(イラクへの)身柄引き渡しについては問題にしないことを決定した。

トルコは、イラクのタルク・ハーシミー副大統領への死刑判決は「政治的」だと認識し、ハーシミー副大統領を引き渡しに関しては問題にしないとの決定を下した、外務省によれば、(死刑)判決は裁判所の判断とは別のところでの政治闘争の結果下されており、イラクの宗派間抗争を再燃させる危険な一歩だという。アンカラで記者会見を行ったハーシミー副大統領も欠席裁判で下された判決は、「政治的」だとの認識を示した。

■死刑も引き渡しもありえない

ハイレベルなある外交筋は、イラクのクルド人とイラキーヤ・グループが(イラク)国内の一連の出来事に関連し不安に駆られていることに注目し、ハーシミー副大統領に関する死刑判決もこの不安を大きくしていることを強調した。同筋は、「イラク政府がこのアプローチを続けるならば、国内の宗派、エスニックの違いが危険な形で深まり、抗争に回帰する」と警告した。
外交筋は、トルコが国内法において、死刑判決を受けた人をその国へ引き渡す可能性がないことを強調し、「一方で、これは政治的な判決です。ハーシミー副大統領の訴訟内容ではなく、その結果をみて私たちは判断しています。引き渡しは別にしても、この件について議論の余地はありません」と述べた。
トルコ政府によれば、イラクの政治状況は、米国の選挙が一段落し、現状に介入するまで続く見込みである。したがって、ヌーリー・アル・マーリキー政権とこの件で論争したくないトルコは、2013年にイラクで政治的状況が新しい形になると予測している。外務省高官は、ハーシミー副大統領の(身柄引き渡し)要求が積極的に行われると予測する一方、ハーシミー副大統領もトルコが承認するならば、トルコに滞在するが、難民申請(亡命)はしないことを明らかにした。ハーシミー副大統領は、アフメト・ダヴトオール外務大臣が自身を支持していることを喚起し、「ヌーリー・アル・マーリキー首相及び彼の政治的影響下にある裁判所が私に対し進めている演劇的キャンペーンが昨日終わった。この判決により司法は死んだ」と述べた。ハーシミー副大統領は、裁判を「ばかばかしい」と認識し、「私に信頼を寄せるものは今、誰も安全ではありません。誰もが危険にさらされています。私ではなく、マーリキー首相が国連で裁かれるべ きです。数十万の人々の死の責任があります」と語った。

■国連へ申し立てた

ハーシミー副大統領は国連へ申し立てをしたといい、国連とイラクの合同捜査が実施されることを望んでおり、この形式(合同捜査)で下されたいかなる判決も尊重すると述べた。ハーシミー副大統領はこの申し立てへの回答を得たか得ていないかの質問に対し、国連の遅い動きを指摘した。ハーシミー副大統領は、国連とある人権団体に書簡を送ったが、そこの職員が彼に対し、来月何らかの対応がおこなわれると話したと語った。

■ハーシミー副大統領の(トルコ)滞在は続く

ビュレント・アルンチ副首相は閣議後におこなった会見で、ハーシミー副大統領は現在、トルコに滞在していると語った。アルンチ副首相は、イラクのジャラール・タラバーニー大統領も含むハイレベルなイラク人政治家らがハーシミー副大統領への陰謀が企てられているかのように言及した時、「これらの発言はハーシミー副大統領への判決が公正ではなく、(イラクの)国内政治の方向が敵対的な状況に向かっていることを私たちに示している」と語った。アルンチ副首相は、 トルコとイラクの間で1989年に法的支援プロセスに関連して署名された協定があることを思い起こし、「政治的、軍事的に意味ある犯罪者と受刑者の引き渡しにおいて、(トルコ)政府は選択権がある。この権利をトルコは、(適正な)時期、場所が到来したとして行使するであろう」と述べた。

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( 翻訳者:岸田圭司 )
( 記事ID:27572 )