パレスチナ:東エルサレムにおける教育の懸念と入植計画の奨励
2012年09月17日付 al-Quds al-Arabi 紙

■教室の深刻な不足、公有地で学校建設の代わりにユダヤ的計画と入植計画を奨励
■生徒の逃亡率の高さと予算や人材における顕著な差別
■東エルサレムの教育に関する包括的報告書:エルサレムの生徒2万4千人が占領者の記録から消滅。イスラエルの犯罪的政策。

2012年9月17日『クドゥス・アラビー』

【ナザレ:ザヒール・アンドラーウス】

新学期の始まりと同時にイスラエルの市民権団体とイール・アミーム(=諸民族の都市)[エルサレムの紛争解決を目指すNPO]は、東エルサレムの教育機関に広がる怠慢や周縁化の現象を観察する包括的報告書を公表した。報告書は「アル=ラーマ・ラーシブ(証は沈殿する)」というタイトルで、教育における住民の基本的権利の明確な侵害について様々な形で触れている。同報告書には教室の深刻な不足や、パレスチナ人居住区において集中的なユダヤ的計画や入植計画を奨励する一方で学校建設を進めようとしないことを反映する憂慮すべき詳細と数値が含まれている。また、報告書は、学校で働く職業的人材の少なさや生徒の逃亡率の高さ、3歳・4歳児の収容に十分な保育園の深刻な不足、その他多くの周縁化現象についても記している。

おそらく東エルサレムの教育機関を蝕む周縁化の状態を反映する最も端的な事例は、東エルサレム在住で就学年齢のパレスチナ人の子供の正確な人数に関する基本的な質問に、責任を負う当局が答えられないことだろう。

この報告書の情報を収集するにあたって、我々は東エルサレムのパレスチナ人生徒の実際の人数について、複数の情報筋から相互に矛盾する情報を入手した。即ち、エルサレムの子供たち2万4322人がどの名簿にも載っておらず、どこで学んでいるかもわからないのだ。また、報告書は、東エルサレムの教育機関には基本的施設が無いという点も明らかにしている。例えば教室の不足が深刻であり、不足を埋め合わせ、新入生を収容するにはおよそ1,100の教室が直ちに必要である。

また同報告書はイスラエル当局が好んだ事例も扱っており、その中にはエルサレム市による、一部は入植者による計画を含むユダヤ的諸計画の奨励がある。そうした計画は、東エルサレムでパレスチナ人に残された僅かな公有地や区画に建設を進めることである。例えば去年(2011年)、住民に必要なものに使われるべきアッ=トゥールの公有地に士官学校を建設する計画が進められた。また、アル=アイサウィーヤ、アッ=トゥール両地区に隣接する国立公園をつくる計画が提案されたが、これは公私を問わず将来の人口増加の可能性を減らすものである。ラアス・アル=アームードの入植地、キドマット・ツィヨンのために教育ビレッジを建設する意図があることは言うまでもない。
(後略)

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( 翻訳者:秋山俊介 )
( 記事ID:27631 )