エルドアン首相、国連のシリア対応を批判
2012年10月13日付 Yeni Safak 紙
レジェプ・タイイプ・エルドアン首相は、国連は「公正」といったことをもとに新たに再編成されるべきだと述べた。エルドアン首相はシリアでの出来事について触れ、「シリアでは20か月もの間世界の皆の目の前で非人道的行為が起きています。国連安保理はこれに何の介入もしませんでした」と話した。
イスタンブル世界フォーラムがイスタンブル・コングレス・センターで始まった。このフォーラムは、首相府広報外交推進局(KDK)と政治・経済・社会調査基金(SETA)の共催で2日間に渡って行われる。イスタンブル世界フォーラムは「公正」をテーマにしており、各国から首脳級、世界的学者、ビジネス業界各幹部、専門家、各市民団体のリーダー、アーティスト、作家、メディア関係者などが参加している。
エルドアン首相はフォーラムの開会の辞を述べ、公正という概念について話した。エルドアン首相はメヴラーナの言葉を引用し、「我が党名には公正という言葉が使われています。世界の多くの国で党名に公正という言葉が用いられた政党があります。我が党の名称に公正という言葉を使おうとする際に、トルコ全土で4万2千人を対象に世論調査を行いました。この調査の結果から、公正という言葉を使うことを決めました。公正という概念は、今日だけでなく、人類の歴史全てにおいて非常に重要な意味があります」と述べた。
公正さの中に並み居る人々は、常に称賛され続けると述べるエルドアン首相は、「圧政者や弾圧を行使する者らは、呪いや嫌悪と共に皆の記憶に残るでしょう」と話した。
■「国連はシリアでの非人道的行為に介入しなかった」
エルドアン首相は国連を批判し、「国連は公正という概念に則って構成されているとは言い難いです。国連は公正に基づき改編されるべきです。このことは国連総会でも申し上げましたので、今は堂々と言えます。(安保理の)常任理事国は5か国で、(現状は)この5か国が決めたことがそのまま採用されています。シリアでは20か月もの間世界の皆の目の前で非人道的行為が行われていますが、国連安保理はこれに何の介入もしませんでした。シリアでは3万人以上が殺害されました。25万人は国外に逃げました。トルコにもシリアからの難民がいます。シリアの兄弟たちは我々がもてなすべきお客です。シリア国内では、250万人が自分の家ではないところで、逃げ暮らしています。アサド体制に対して毎日たくさんの人々を殺すのを許してしまうような、態度が(国連側に)あるのです、明らかです。各国際機関は本当の意味で声をあげているでしょうか?残念ながら、そのような状況はありません。常任理事国5か国がどのような判断をするのかただ待つだけでは、シリアの結末はさらに危機的なものになり、シリアをただ傍観する者は人類の歴史に忘れ難いような傷をつけることになるでしょう。国連はシリアに関して無力です。この無力にはどんな言い訳もできないはずです。公正はシリア国民の権利でもあります。公正をきめる権限はアサドではなく、シリア国民が有しているのです。シリアでの出来事は、シリア国民が自由と幸福の権利を取り戻すための戦いなのです。トルコは、この問題に対して、公正を守り友愛に即した政策をとってきましたし、これからもそれを続けていきます」と話した。
エルドアン首相は、預言者ムハンマドを侮辱する内容が含まれていた映画についても触れ、「宗教信仰という面から世界を分裂させようとする者は、平和と公正にとって有害な存在です。イスラム教をテロと同一化しようとする人々は、テロを支援する考えの持ち主です。どの宗教の信者でもテロリストになり得ます。このことは、その宗教がテロを奨励しているという意味にはなりません。イスラム教とその預言者を侮辱する内容を含む映画が原因で起こった出来事を我々は目の当たりにしました。無罪の人々への暴力は許しがたい行為です。思想の自由という名のもとにイスラム教徒の宗教信仰を侮辱するなど受け入れがたい行為です。公正という概念を持つ全ての国家は、増悪犯罪(ヘイトクライム)を許してはなりません。我々は、ムハンマドを預言者として信じていると同時に、キリスト、モーセ、ダビデも預言者であると信じています。異なる信仰を持つ者らは信じていないとしても、我々は信じています。頼まれて信じているわけでもありません」と話した。
(本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介
されています。)
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( 翻訳者:津久井優 )
( 記事ID:27881 )