「恩赦の条件は非協力クルド人の殺人」―PKK「法廷」の内実
2012年10月17日付 Yeni Safak 紙


PKK(クルド労働者党; 非合法)の隠れ蓑であるクルディスタン社会連合(KCK)の、いわゆる「法廷」は、組織の資金20万トルコリラを横領したとしてI.トゥジ氏に判決を下し、彼にヴァン在住の政府側のある一家を襲撃することを「恩赦の条件」として提示した。

テロ組織がヴァンで起きた事件を受けて設けた、いわゆる「法廷」がとった決定および人物へ提示した「恩赦の条件」は、PKKの暴力行為にかかわり合うことを好まないクルド人に組織がかける圧力をあからさまに提示した。組織は、20万トルコリラの横領で罪に問うている人物に、「政府側」とみなす一家の子供を誘拐することからライフル銃での襲撃にいたるまで、一家にヴァンを去らせる行動を行うことを「恩赦の条件」として提示した。

■幼い少女をカト山に誘拐

7月29日にH.サンジャルさんの娘Sちゃんが行方不明になった。娘の誘拐を心配したサンジャルさんは警察と軍警察に訴えた。Sちゃんの友達Y.I.Oちゃんによると、ヴァン中心の自宅付近の道で声をかけられ、誘拐されたらしい。保護下に置かれたY.I.Oちゃんは、検察への供述で、SちゃんはI.及びS.トゥジ両名により誘拐され、PKKに引き渡されたと主張した。Y.I.Oちゃんが事件を知っていると言ったS.Bさんの供述も、Y.I.Oちゃんの主張が正しいことを 裏付けた。2人ともSちゃんがカト山に連れ去られたと話している。

■自己弁護文を入手

S.Bさんは供述で、トゥジ氏がPKKの資金に手を出し、この嫌疑から身を守るためにサンジャルさん一家に対し圧力をかけ、誘拐するといった行動に出たのだと 話した。Y.I.Oちゃんは供述で、状況をより詳しく話し、PKKは組織への忠誠を示さなければならない人びとに、政府側のある村落防衛隊の一家に対し圧力をかけ、誘拐とような暴力的行為に出るよう求めたと説明した。供述のあとで、Sちゃんの誘拐事件に関し、I.トゥジ氏の事務所に強制捜査が行われた。しかしトゥジ氏は事務所の地下へと続く空気溝から逃亡した。捜索が行われ、I.トゥジ氏の事務所でカラシニコフ銃とPKKに提出した「自己弁護文」が入手された。PKKの「法廷」に提出された「自己弁護文」には、PKKの活動のために自身を介して動いた20万トルコリラが紛失してしまったことに関し、組織に対する反省が書かれていた。
■一家を奇襲

ヴァンで行われたKCKの「法廷」では、トゥジ氏が、組織の資金20万トルコリラ着服したことで裁かれていることが明らかになった。「法廷」は資金を「紛失した」と主張するトゥジ氏を有罪とした。しかしトゥジ氏に、政府側のある一家の家長を殺害し、家族を引っ越しせざるを得ない状況にすれば、赦すという条件を与えた。トゥジ氏は、この条 件を呑み、この一家の少女を誘拐したにも関わらず、サンジャルさん一家がヴァンを去らなかったため襲撃するに至ったと述べた。トゥジ氏がサンジャルさん一家襲撃を企てたと言われている。罠を設け、サンジャルさん一家の車の前方を、I.及びS.そしてC.トゥジ氏がカレシュニコフ銃を用いて塞いだ。衝突が起き、S.トゥジ氏は現場 で亡くなった。I.及びC.トゥジ氏は捕まった。

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( 翻訳者:大嶽真梨子 )
( 記事ID:27923 )