AKPの10年(ラディカル紙特集)―教育はどう変わったか?
2012年11月03日付 Radikal 紙


過去10年で公正発展党(AKP)が教育の質を向上させるために行ってきた最大の取り組みは、教育制度を全面的に見直したことである。

公正発展党(AKP)が与党となった2002年から2012年の間で、国民教育省はトルコでより多くのこどもたちが就学前に教育を受けて初等・中等教育を始められるよう取り組んできた。国民教育省は、1997年に義務教育が8年制となったことに伴って始められた基礎教育改革を主軸に、基礎教育を全国規模で普及させた。このプロセスにおいて、特に、全面的に見直された初等教育国民教育省総局の仕組みの中で、女子児童をはじめとする(これまで)ハンデを 負っていたこどもたちに焦点をあてた政策効果は有効であった。一方で、初等・中等教育を始めたこどもたちのその後の進路については、(政策的)成功を収めたとは言いがたい。また、初等教育と中等教育それぞれにおいて懸案となる高い数値となっている中退率も、こどもたちが基礎的な教養と能力を身につけるのに障害となっている。継続的に学校に通わないことや中退は、中等教育においてより深刻な側面となっているのだ。国民教育省はこうした問題を解消しようとしているが、政策の効果を示すデータはいまだ見られない。

この10年間で公正発展党(AKP)が教育の質を向上させるために行ってきた最大の取り組みは、教育制度を全面的に見直したことである。しかし、この過程では教員と教員政策が無視されてきたため、教育プログラムの改良は、教育効果としては十分に反映されてこなかった。教育効果という点では、2003年および2009年のPISA(OECD生徒の学習到達度調査)の結果によると、数学、理科、そして国語 (トルコ語)の各教科において、トルコは平均して0.5学年分、向上していた。これは特に、成績下位層が(過去に比べて)底上げしたことによっている。 しかし一方で、2009年のPISAでは、トルコでは15歳の生徒の42%が数学において、30%が理科において、25%が国語の読解力において基礎レベ ルを下回る結果となった。トルコは国際的にはOECD加盟国の中でメキシコ、チリとワースト3位を争っているのである。

公正発展党(AKP)は、2002年から2012年の間、トルコにおける行政と公共財政の改善に重要な取り組みを行ってきた。こうした政策は国民教育省をも動かし、特に、戦略的な計画への移行と、データにもとづいた政策への発展が期待されてきた。これに加え、国民教育省の8年間の取り組みの結果、改革が 2011年9月に652号の教育組織法の改正とともに行われた。しかし、こうしたあらゆる構造的・法的な改革は、教育におけるファティフ・プロ ジェクトの一環での学生へのタブレット端末の配布、義務教育の期間・仕組み・内容を変えるという「4+4+4」法、あるいは大学の学費無償化と同様に、計画 やプログラムにおいて内容・論拠をもたない、十分な議論・準備が尽くされていない政策を食い止めることはできなかった。

政治と経済の安定、市民社会と行政の間で発展した協調関係、国際組織による技術的な支援を得てきたことで、公正発展党(AKP)が(政権を担ってきた)この10年は、教育において 有効な政策がなされるためのベストな環境にあったと言うことができる。しかしながら、今日私たちが直面している問題から、良質な教育を実現するための鍵となる政治的意志は弱まっているという結果が現れている。トルコでの教育上の法律は、いまだこどもたちの権利を守る形で実現していない。特に、教育上の言葉と宗教教育の分野で不足が目につく。教育法および学校環境において民主化を進める必要がある。客観的な考え方にもとづいた教育はいまだ実現されていない。また、特別な配慮が必要なこどもたちに対する、統合教育(訳者注:障がいのある児童と健常児が一緒に教育を受けること)をはじめとした試みで、実現されるべきことが多くある。トルコの未来という点から極めて重要な問題を担っている良質な教育の実現という点で、性別、 個々の学校、都市と地方、それぞれの地域と所得層といった単位で生じている深い不平等が、今後の公正発展党(AKP)の教育における成功に影を落としている。

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( 翻訳者:萩原絵理香 )
( 記事ID:28117 )