トルコの若者は、デモではなくネットで政治参加
2012年11月04日付 Yeni Safak 紙
フェイスブック上で実施されたアンケートによると、若者の89.8%が選挙にて投票しているという。また85.1%が政治など国を取り巻く話題に関心を持っていることもわかった。政治的諸問題をインターネットを利用してフォローしている若者たちは、インターネットのソーシャルサイト上で意見を共有しているが、外に出て声を上げることには消極的だ。
10月の最重要議題の一つは、選挙年齢の18歳への引き下げを見越した憲法改正法案を、トルコ大国民議会(TBMM)に提出することであった。この改正における目的は、先進諸国のように選挙権及び被選挙権年齢を引き下げることで、若者を政治に積極的に参加させることであった。この改正により、若者たちも日々変化し進展する政治の一部分を担い、世界に彼らの声を届けることができるはずであった。この件は様々な観点からの議論が今でも続いている。では、若者たちは一体どれほど政治と関わっているのだろう。彼らにとって政治とはどのような意味を持つのか。今年の4月にフェイスブックにて500人の大学生を対象に、イスタンブルのアイドゥン大学マスコミュニケーション学部のファトマ・カミルオール助教授とイスタンブルのビルギ大学のエムレ・エルドアン教授が行った調査によれば、若者の80%が政治的な意見や立場を持つと答えたが、政治的話題に対して頭では親近感は感じても、実際の政治にそれほど関心を持っていないことがわかった。フェイスブックを利用する若者たちを対象としたこの調査によると、フェイスブック上で政治的活動を行うことではなく、社会的交流を共有することが若者たちにはより魅力的であるという。チャットによって政治的問題について議論することを好む若者たちの割合は、20%にも満たない。政治的指向を共有している政治リンクでもって発言する若者の中で、フェイスブック上での交流から出発し、実際の活動に参加する割合はたったの21%だ。イスタンブル大学とアナドル大学、そしてテキサス大学が共同で行い、「国際シンポジウム:21世紀におけるコミュニケーション」会議にて賞も授かったこの研究では、若者たちがフェイスブックでの政治に参加するのに何が影響したのか、政治参加の程度が調査された。研究に携わった研究者の内ファトマ・カミルオール助教授は、この調査に参加した学生らのプロフィールに関して以下のように伝えている。「アンケートの平均年齢は22歳で、参加者の54%が男性、46%が女性で構成されています。参加者の21%がイスタンブルの国立大学、38%が同じくイスタンブルの私立大学、そして残りの40%がイスタンブル外の大学の学生です」。
■20%が政治に積極的な関心を持っている
アンケートに参加した若者たちの34.4%といった高い割合が、自身の政治的アイデンティティを「ナショナリストである」と表現したことを、カミルオール助教授は以下のように解釈している。「大学生の若者たちは、もはやナショナリズムをかつてのイデオロギー的類型で認識してはいません。彼らが考えるナショナリズムとはより国民主義に近いです。つまり、右派の民族主義ではありません」。またこの研究が明らかにしたその他の興味深い結果は、若者たちの85%といった高い数値がトルコのニュースを「チェックしている」と回答したことだ。若者たちの間で政治の進展をチェックしている割合は76.6%であった。またアンケートによれば、大学生の89.8%が選挙の際に投票している。アンケートの質問が、若者たちがどれほど(政治に)積極的であるかどうかをはかるものになると、その回答は以下のとおり。今までの人生の中で一度でもデモに参加したことがある割合は48%である一方、政治と関係のある市民団体のメンバーである割合は20%であった。何かしらの政治的キャンペーンに参加したことのある割合は10%まで下がった。カミルオール助教授はこの調査に関して、「若者たちは頭では政治に積極的な関心を示すものの、実際の活動としては非常に受動的である」とコメントしている。なぜならこの調査結果によれば、大学生の83.6%が政治に関心があることが明らかになったためだ。またこの調査の中では、若者たちに周囲の人々とどれぐらいの頻度で政治について議論するかという質問も向けられ、21%の割合が頻繁に議論し、43%の割合が時々議論することが明らかとなった。では政治に関心を持つ若者たちは、この先積極的に政治に参加したいと思っているのだろうか。割合を見てみると、そう望んでいるという方向で結果にたどりつくことができる。積極的に政治を考える若者は36.4%である一方、そう考えない若者は39.6%程度であった。
■ファンにはなるが議論はしない
ファトマ・カミルオール助教授は、大学生がフェイスブック上で行う政治的活動に関して以下のように述べている。「参加者の3人に1人が政治に関するリンクをシェアしていると話しています。また同じく3人に1人が議員候補者のアカウントページを閲覧し、それをお気に入りにしたり候補者のファンになったりしています。しかしフェイスブック上で積極的に政治をプロデュースする若者は非常に少ないです。参加者の内たった7%が政治に関係するグループを作り、9%が地域の政治集会に関係する写真をアップロードしています。フェイスブック上ではチャットで直接政治を議論すること(19%)や、あるいは他の人のアカウントページに政治に関係する何らかのものを加えること(20%)が好まれています。大学生の若者は政治を共有してはいますが、直接議論したり他の人々をリードしたりすることは好みません」
■インターネットを通しての社会的交流
ファトマ・カミルオール助教授はフェイスブック上で社会的活動が十分でないという結論に至り、以下のように話した。「われわれが分かったことは、参加者らがフェイスブックを知識や情報を交換する手段として利用することを好んでいるということです。最も人気のある活動は、友人らにメッセージを送ること(67.6%)と、社会的交流の情報を入手すること(62.4%)です。回答者の半数以上がアカウントページを定期的に読み(56.8%)、これらの内42.2%がアカウントページに書き込みをし、半数以上が個人的なメッセージを送っています(54%)。社会的交流への参加はこれに比べると人気が少なく、プロフィールや写真のアップロード、また社会的なグループへの参加も似たような結果を示しています。参加者の3人に1人が友人らのアカウントページを閲覧していますが、これらの内たった22%しかこのアカウントページにメッセージを残していません。社会的グループを形成することや友人を招待すること、そして社会的交流を主催することは最も人気の少ない活動の一つです。」
■フェイスブックは外(実社会)に波及せず
研究結果によると、大学生の37%が今日まで少なくとも一度はインターネット上での交流に参加したことがあり、それを気に入ったりコメントしたりしているという。これに比べて、フェイスブック上で見て交流の呼びかけを受けて、実際に外で活動に参加した割合は21%であった。
(本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介
されています。)
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( 翻訳者:指宿美穂 )
( 記事ID:28137 )