イラン人メッカ巡礼者たちの旅行カバンから土産物が激減:自国通貨の価値暴落で
2012年11月14日付 Jam-e Jam 紙

【マルヤム・ユーシーザーデ】われわれはこれまで何度も、イラン人メッカ巡礼者たちに、我らがイランのお金を無駄遣いしないよう、訴えてきた。あなた方の使うお金は、その他のムスリムの殺害を心に決めた者たち〔=ワッハーブ派のイスラーム教徒〕の所有するバーザールを活気づけるだけだということを、またあなた方がサウジアラビアのバーザールで中国製の商品を買うのに使っているお金は、孤児のお腹を満たし、あるいは病院や学校、老人ホームなどを建てるのに使うことも可能だということを、目をしっかりと見開いて理解して欲しいと、われわれは何度も訴えてきた。

 しかし、イラン人巡礼者たちはこれに耳を貸そうとせず、毎年ハッジ(巡礼)の季節になると、サウジのバーザールを空っぽにするほど、モノを買い漁るのが常だった。ここ数年、われわれの訴えは巡礼者たちに何の影響も与えてこなかったが、ところが今年は状況が違うようだ。ドルの高騰によって、彼らが浪費をする道が閉ざされてしまったのだ。巡礼参詣庁によると、イラン人巡礼者たちのサウジでの買い物は、3分の1にまで減少しているというのである。

 本紙の取材によると、今年のウムラ(小巡礼)の季節にサウジに向けて出発した直近の巡礼団7万5千人は、アーザル月9日〔11月29日〕に帰国予定だ。各巡礼者は旅行の前に、政府の決めたレート1ドル1260トマーンで、銀行から300ドルを買うことができた。もしこれ以上の現金を国外から持ち出したい場合は、自由市場でドルを調達することが許されていた。

 これらの巡礼者たちがサウジに旅立った頃、国内におけるドルのレートはかつてない上昇を続けていた。自由市場からドルを買い求める場合、その価格は政府の設定した価格の約4倍にもなっていたのである。こうした状況が原因で、多くの巡礼者たちが自由市場でドルを買うのを諦め、例の300ドルとともにサウジに旅立ったのであった。

追加のナップサックも、追加の荷物も、追加の飛行機も必要なし!

 そんなに買い物をする気がないのなら、あまりお金は持っていくなと、昔から言われてきたが、このことは今年のイラン人巡礼者たちにぴったりと当てはまる。彼らはポケットをあまり膨らませることことなくサウジを訪れているために、同国のバーザールでの「収穫」も諦めざるを得ないのである。その結果、中国製やアメリカ製のガラクタは、サウジ商人たちの手の上で、売れ残ったままとなっている。

 巡礼参詣庁の広報局長を務めるベンヤミン・ショクーファル氏は、今年のハッジでは巡礼者たちの買い控えが目立ったことを認めた上で、ジャーメ・ジャム紙に「どの巡礼者もナップサック2つの携行が認められているが、しかし今年はナップサック1つに〔土産物を〕詰め込んでいるだけで、もう一つのナップサックは空っぽ、という巡礼者が多かった」と指摘している。〔‥‥〕

 同氏は今年の巡礼者たちの買い物が大きく減少したもう一つの証拠として、「例年、巡礼者たちが帰国する際、われわれはもう1機飛行機を荷物運搬用にチャーターせざるを得なくなるものだが、今年はそうしたことをする必要がなかった。報告によれば、荷物用のオーバーチャージを支払わなかった旅行者たちも多かったとのことだ」と指摘している。

〔‥‥〕

(本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介
されています。)

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( 翻訳者:ペルシア語記事翻訳班 )
( 記事ID:28259 )