■エジプト証券取引所の大揺れ:1日で46億8000万ドルの損失
2012年11月26日『アル=ハヤート』
【カイロ:マールセール・ナスル】
ムハンマド・ムルスィー大統領が木曜日(22日)に発表した、大統領の権限拡大と大統領令の保護強化を規定する憲法宣言に対して再び抗議が沸き起こるなか、昨日(25日)エジプト証券取引所(EGX)の上場株は約285億エジプト・ポンド(46億8,000万ドル)下落、すなわち株価の9.5%相当の値下げが起きた。これは、2011年2月にフスニー・ムバーラク前大統領を失脚させた民衆蜂起の際に起きた急落以来、最も大きな下落とみられている。その際、エジプト証券取引所は株価の30%を損失した。
この損失額は、政府が国際通貨基金(IMF)から借入を決定した48億ドルに差し迫っている。同支援は、財政赤字の補填と、エジプトが採用した国家改革プログラムの実施支援への出資のためとされている。エジプト証券取引所の主要な指数である「EGX30」は、指数の9.51%ほど下落し、4,922.5ポイントへと下落した。この損失は、一日の取引の制限値幅である10%に近づいた。中小型株の指標である「EGX70」指数は、7.6%下落の444.72ポイントとなった。「EGX100」指数は、上記の両指標を含むより広い範囲をカバーするのであるが、8.4%安の739.05ポイントを記録した。
エジプト証券取引所のブローカーらは、証券市場では、企業および個人のエジプト人投資家によってランダムで集中的な売り取引が行われ、一方で、限定的に留まった海外やアラブの投資家による買い取引は市場の助けにならなかったと述べた。金融市場専門家のマジュディー・カエサル氏は、本紙に対して「政治情勢が証券市場の投資家らに打撃を与えている」と述べた。また「証券市場がこれほどの額の損失を被ったことは、歴史上ほとんどなかった」と指摘した。続けて「情勢の不透明さ、政治勢力の闘争、勢力間の抗争激化、そして大統領の諸決定の支持派および反対派双方からの100万人規模のデモへの呼びかけがなされていることにより、エジプト市民の声が更に分裂することとなった。それにより、政治的・経済的安定の実現を目指したあらゆる計画が脅かされている」と述べた。
カエサル氏によると、エジプトの金融・経済状況の悪化は、多くの投資が停止したことに起因している。これらの投資停止は、建設請負人らの賃金支払の遅延を引き起こした。また同氏は、政治的安定が戻ることの必要性を指摘し、それにより投資が戻ること、および連続する危機と継続する低迷に見舞われている経済状況を活性化させることとして、経済の分野に政治的安定が反映される必要性を指摘した。
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( 翻訳者:井上剛 )
( 記事ID:28352 )