石油価格動向など
2012年11月28日付 al-Hayat 紙

■UAEはホルムズ海峡を避けたパイプライン経由で190万バレルの石油を輸出する予定

2012年11月28日『アル=ハヤート』

【アブダビ:シャフィーク・アル=アサディー】

「アブダビ国営石油会社(アドノーク)」と「国際石油投資会社(イービーク)」は、今週マルバーン原油をタンカー3隻で輸出する計画を発表した。輸出量は「アドコーブ」原油パイプライン経由で合計185万バレルにも上る。そのパイプラインはアブダビ首長国のハブシャーン地区からオマーン湾のフジャイラ港まで続く。この計画に加え、12月下旬にホルムズ海峡を避け(同パイプラインを経由した)タンカー2隻分の170万バレルと推定される輸出が行われる。

現在「国際石油投資会社」によってパイプラインの最終テストと付属施設の引き渡しが行われており、最終引渡しは2013年の第1四半期の間に完了すると予想されている。

リビア

一方、リビア原油獲得への国際企業の関心は、今週の諸般の交渉を前に薄れてきている。この交渉は、2013年の500億ドル相当の契約のための交渉である。関心低下の理由は、国内の政情不安定、ヨーロッパ諸国における膨大な余剰石油である。また、政治的危機への投資専門会社の「メナスアソシエイツ」社のチャールズ・ゴードン・マネージングディレクターは「政治的の不安定、諸般の治安問題は、国際石油企業にとっても、貿易業者にとっても(リビアからの石油調達の)魅力を低下させている」と述べた。リビアで生産される硫黄分の少ない高品質の原油の販売が困難になっていることは、契約交渉を複雑にしている。リビア産と同様の硫黄分の少ない原油の世界的な供給は充分だが、これはアメリカでのシェール・オイル(生産が)繁栄しているからだ。それと同時に、リビア原油を専門に扱っていたものも含むヨーロッパの複数のターミナルが閉鎖され(リビア原油の)需要が減少している。

イスタンブル会議

交渉の為にイスタンブルに集結した石油企業は、かつてリビアが連日要求していた高価格は、もはや正当ではない、世界市場は硫黄分が高い原油の不足に苦しんでいるのであって、その逆ではない、と指摘した。リビアは以前、競争相手であるカザフの「CBC」原油とアルジェリアの「サハラ」原油の価格よりはるかに高値で公式販売価格を決定した。これにより、諸企業は(リビアからの)購入量を大幅に削減した。

このことは、リビアの原油生産が1日あたり30万バレル減少する原因となり、リビア石油公団は顧客との石油危機会談を余儀なくされた。

その時以来、公式価格は下落したが、ゴードン氏は「おそらく、リビアの石油部門高官たちには継続的な政治圧力がかかっている。圧力は、高値を維持するためのものである。すなわち、IMFが2012年に発行した報告書によると、石油・ガス収入はリビア政府の歳入の90%を占めているのである」と述べた。

ゴードン氏は「革命後は、国営化された資源(石油)について、人々に対し外国企業により良い条件を与えなくてはならないと言うのは非常に難しい」と続けた。

また石油部門筋は(リビアの)石油についての契約の透明性が著しく低下している、と苦情を述べた。透明性の低下は、今年リビア国営石油がインターネットのサイト上で(契約の)価格と数量の公開をやめた後に起きた。

またリビア国営石油のヌーリー・バールーイン社長は今月、同社の石油の大半を有期限契約で販売するよう努めるが、充分な関心を呼ばない場合は直接販売に頼ることになると指摘した。

原油価格

市場においてはギリシャ救済合意により1バレルあたり111ドルで安定しているが、ロイター通信社によると米国では差し迫った金融危機への懸念から利益は限られた。

「ブレント」原油の価格は、前の取引で1バレル111.36ドルに上昇した後8セント下落、1バレル110.84ドルとなった。アメリカ原油は5銭と値上がりし、1バレル87.79ドルとなった。「コメルツ銀行」の解説者たちは報告書で「リスクをとることへの欲求が、投資家たちを石油市場へ引きつけることになるだろう」と書いた。

トレーダーは、世界経済の脆弱性が原因で(石油)価格の上昇は限定的になるかもしれないと警告した。

経済開発協力機構は、世界経済の成長予測を引き下げたが、これはユーロ圏での債務危機を警戒してのことである。ユーロ圏は不況に苦しんでおり、債務問題は世界経済の最大のリスクである。

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( 翻訳者:奈佐朋香 )
( 記事ID:28377 )