NATOからトルコへ送られるパトリオット・ミサイルが、まずディヤルバクル県とマラトゥヤ県へ配備されることになるとみられる。
関係者は、シリア国境に近いシャンルウルファ県、ガズィアンテプ県、ハタイ県のうち、いずれかへミサイル配備するための交渉が続いていることを明らかにした。
シリア情勢の進展に関連して、トルコがNATOに要請したパトリオット・ミサイルの、配備地点の検討が概ね完了した。トルコ軍司令官らがミサイル配備地点に関して、NATO関係者とおこなっている会談が決着をみつつある。基本合意によれば、ミサイルはディヤルバクル県とマラトゥヤ県に配備されることが提案された。
それ以前に、シリアにおける情勢変化を鑑み、ディヤルバクル県の第二空軍指令本部がNATOの中心基地として使用されることが決定していた。こうした展開が、ディヤルバクル県へのミサイル配備の決定に影響があったと述べられた。
関係者は、計画によるとディヤルバクル県の空軍基地には6~8台の発射機をもつ2基の発射サイトが配備されることを明らかにした。ディヤルバクル県にはシリア国境に最も近いNATOの空軍基地があることが、この決定に影響を与えたことが説明された。最も近い空軍基地であるために、シリアに対して何らかの軍事行動がとられる場合、ディヤルバクル県の第二空軍指令本部第8主要ジェット戦闘機基地が主に用いられ、そしてここが司令本部となることが提案された。
パトリオット・ミサイル配備が確定したもう一つの地点は、マラトゥヤ県だと説明された。マラトゥヤ県のキュレジッキにレーダー基地があるため、軍事的に重要であり、それゆえここへ最低でも1基のミサイル(発射サイト)配備が計画されていることが明らかにされた。
■シャンルウルファ県、ガズィアンテプ県、ハタイ県について話し合われる
トルコ軍関係者らはミサイル発射台の配備が検討されている他の地点に関して、NATOの関係者と交渉を続けている。関係者たちは、ミサイルのうち少なくとも2基(の発射サイト)が、シャンルウルファ県、ガズィアンテプ県、ハタイ県へ配備されるようにとの要請がNATO委員会に伝えられたことを明らかにした。
トルコへのミサイル攻撃をトルコ領域外で迎撃するために、シリア国境付近の配備が強く主張された。パトリオット・ミサイルのうち少なくとも2基がシリアとの国境付近であるシャンルウルファ県、ガズィアンテプ県、ハタイ県に配備されるために交渉が継続されており、この問題は、交渉の最後に決定がなされるであろうと述べられた。
パトリオット・ミサイルがトルコへ供給される際の運搬方法に関しては検討中である。トルコに配備されるミサイル発射台のうち2基は、まずディヤルバクルへもたらされる、配備される。ミサイル発射台は、ディヤルバクルに数週間以内に配備される一方で、そのための準備も進められている。
■米、独、蘭の軍がやってくる
パトリオット・ミサイルが配備されると同時に、その地域には約800名の外国軍が配備される模様である。主にディヤルバクルに配置されるアメリカ、ドイツ、オランダ軍は、NATO軍としてトルコへやってきて、パトリオット・ミサイルの到着まで活動する。トルコに展開する外国軍に対し、トルコ軍司令官も全面的に協力する。トルコで活動する外国軍の数は少なくとも800名に及ぶことになり、この数も交渉の後、明らかになるであろうと述べられた。
■偵察飛行は続く
シリアにおける情勢進展に関して、トルコ空軍が国境線上で行っていた偵察飛行も引き続き行われる。ディヤルバクル県の第二空軍指令本部で、第181,182飛行団に属するF-16戦闘機が毎日定期的に偵察飛行を行っている。
空軍基地では対応可能な5機のF-16戦闘機が、攻撃可能な状態で、定期的にシリア国境線上で偵察をしている。
以前は国境内で行われていた偵察飛行は、先週から国境線上空で行われ始めた。シリア軍用機がトルコ領空を侵犯するのを防ぐ目的で行われている偵察飛行を行っている戦闘機が、今日まで領空侵犯に対応したことはないと述べられた。もし領空侵犯が起こった際には、シリア軍用機を撃沈させる命令をもって飛行している戦闘機は、偵察飛行を領空侵犯を犯さずに遂行しているという。
(本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介
されています。)
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( 翻訳者:田中けやき )
( 記事ID:28542 )