アフマディーネジャード大統領、現金補助金の支給額を5倍にすると言明
2012年12月24日付 Mardomsalari 紙

 マフムード・アフマディーネジャード大統領は土曜日夜のテレビの生放送で、現金による補助金の支給額を5倍に増やすとする、自らの構想を明らかにした。

 ニュースサイト「ファルヤードギャル」が伝えたところによると、大統領のこの発言が意味しているのは、政府は一人あたりの補助金額を月約23万5千トマーン〔約7800円(1円を300リヤールで計算)〕に引き上げようとしているということである。この発言は、次期大統領選挙に向けたアフマディーネジャード氏の構想がスタートしたことを示しているのではないかとの疑惑が浮上している。〔‥‥〕

 〔前回の2008年に行われた〕第10期大統領選挙では、アフマディーネジャード氏はジャガイモの無料配布に始まり、選挙戦の最後のあたりになると、「公正の株」〔※〕の配当の支払いまで行った。そして今、選挙戦の季節が近づきつつある中、政府は国民にこれまで以上の補助金を支払うことで、第10期大統領選挙での戦略を再び、より大規模な形で実施しようとしているように思われるのである。政府は現段階ですでに、補助金の支払いで財源不足に陥っているにもかかわらず、である。ただし、アフマディーネジャード大統領はこのことを否定しており、独自の計算によって、現在の支給額の5倍を各国民に支給することは可能だとの認識を示している。

※訳注:低所得者層を中心に配布された国営企業の株のこと。

 もしこの額の補助金が支払われるようなことになれば、4人家族の場合、一世帯は月に100万トマーン〔約3万3千円〕近い額の収入を棚ぼたで得ることになる。この額は、一世帯の平均成員数が〔都市部よりも〕多い農村部では、200万トマーン近くにまで達するだろう。もしそうなれば、特に世帯あたりの成員数の多い、農村や小規模都市に住む下流階層の人々から労働意欲を奪う危険性が高くなるだろう。〔‥‥〕

 現政権は、かつて同政権で閣僚を務めた人々をはじめ、多くの支持者を失ってきた。そのため、次期大統領選挙で〔アフマディーネジャード大統領の後継となるべき〕候補者として、カリスマ性のある人物を見つけられずにいる。次期大統領選に政府サイドの候補者として立候補する可能性のある人物としては、ニークザード〔道路住宅都市整備相〕やハージー=バーバーイー〔教育相〕、あるいはダーネシュジュー〔科学研究技術相〕らがいるが、何もしなくても国民から票を集めることができるような力をもっている者は見当たらない。エスファンディヤール・ラヒーム=マシャーイーは、その他の政府関係者よりも、票を得られる可能性は相対的に高いかもしれないが、しかし彼が大統領候補として資格審査でパスする可能性はほぼゼロに近い。

 こうしたことから、アフマディーネジャード大統領は現金による補助金支給額を前代未聞の額に引き上げることで、次期大統領選で政府サイドから出馬するカリスマ性のある候補者がいないという不利な状況を穴埋めし、以前の選挙と同様に、金銭の支払いという手段によって、国民の票を意中の候補へと誘導しようとしているのではないかと思われるのである。〔‥‥〕しかし国会の反対を考えるならば、こうしたアフマディーネジャード大統領の選挙シナリオがいつ実行に移されるのかは、まったく不明である。

〔‥‥〕

(本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介
されています。)

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( 翻訳者:ペルシア語記事翻訳班 )
( 記事ID:28684 )