エジプト:経済危機がムバーラク政権崩壊以来のドル最高値を招く
2012年12月30日付 al-Hayat 紙
エジプト:経済危機がムバーラク政権崩壊以来のドル最高値を招く
2012年12月27日『アル=ハヤート』
【カイロ:マールスィール・ナスル】
ドル価格は今週の最終取引において1ドル6.23ポンドと1月25日革命以来の最高値を記録した。背景には、市場のディーラーのニーズ保証を欠く為替取扱業や金融業を含む各銀行のドル準備高の減少がある。またディーラーたちの間で稀な存在となったドルの危機は、特に銀行が為替取扱業や両替業向けに行っている市場のドル需要量に見合う額のドル投入を停止に伴い、事態が深刻化している。またほとんどの金融業や為替取扱業が、ドル残高に関するディーラーたちの疑問への回答を拒否している。
他方で、2日前からカイロ国際空港と全ての港の税関当局は、中央銀行と銀行制度関連法の改正に関するムルスィー大統領の決定を実施し始めた。この決定は、中央銀行と金融システムに関する法の一部の条項野改正で、外貨の流入や、国外に出る全ての旅行者に保証されている約1万ドルまたは、それに相当する他の外貨の持ち出しによる外貨流出などに関するものである。また手紙や郵便小包による一切の外貨送金の禁止を規定している条項も改正された。税関当局筋の話によると「この法律はその正式な受理後に適用され、1万ドルを超える額は全て没収される」とのことだ。
観光業の懸念
観光業における懸念も高まっている。観光業は最も顕著な国家収入源と外貨獲得手段のひとつである。しかし、新憲法の承認と両議会ともにイスラーム主義者らの手に再度政権が渡る可能性があることを受けて、その収入源と獲得源は著しく縮小した。それに従い、現在成立の見込みがある諸法案はこの分野を混乱させるかも知れない。同様に、昨今巷で見受けられる混乱や抵抗は観光業を喘がせている。観光業は、500万人以上のエジプト人が従事しているが、彼らは革命から2年が経った今なお続く観光業の損益に絶望を感じている。
またエジプトのホテル関係会議所の代表者が、観光投資家の申し出に関して本紙に次のように明らかにした。「ルクソールの複数のホテルは売りに出されているか、売却が決まっている。ルクソールでは損害や観光の低迷によって最終的にオーナーが破産を宣言する前に、280のホテルのうち、約200のホテルが売りに出されている。現在のホテルの稼働率は10%程度である」
またヒシャーム・ザアズーア観光大臣は、諸政党と諸政治勢力間で行われた観光に関する国民会議の席で観光への投資規模は縮小したことと、今後の投資の停止を指摘した。この会議は「エジプト観光会議所連合」が開催したものである。しかし、先月(11月)までに1000万人の観光客がエジプトを訪れており、その数は昨年の同時期と比べると17%増加した。また総収入は90億ドルであると推定され、これは、エジプト観光への志向に基づいた需要が存在することが確認された。
また同大臣は、次のように明らかにした。「観光業部門が直面している最も重要な課題は、治安問題と失業率の上昇、投資の縮小、財政赤字が800億ドルに達したことだ」
さらに同大臣は「危機からの脱出には治安の回復と安定、そして集中的な広報運動と新たな観光投資の誘致が必要となる」とみなし、特にエジプトの市場において最大の市場の代表者との情報説明的、また専門的な会議の重要性も強調した。また観光ビザ取得手続きの簡略化も必要である。ちなみに、昨年は10か国以上の国からの旅行者は、空港到着時にその場で入国ビザを取得している。
(後略)
(本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介
されています。)
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( 翻訳者:今井花南 )
( 記事ID:28734 )