北イラクの原油直接輸出にイラク中央政府の干渉は「笑い話」
2013年01月12日付 Hurriyet 紙
北イラクによるトルコへの原油直接輸出に関し、バグダード政府はすぐさま反応を示した。バグダード政府は、直接輸出の前日に法的手続きをスタートさせることもできると脅し文句を述べた。
しかし、イラク北部で事業を展開する企業や専門法律家らは、バグダード政府の会見を「笑い話」として受けとっており、一方向な法解釈であると述べている。
イラク石油省は、北イラク・クルド自治区からトルコまでトレーラーにより行われている原油輸出に対し脅迫的な会見を行った。同省は、イラクからの石油輸出に携わることができるのは唯一SOMO石油のみだと主張。
それ以外の企業に対しては法的手続きを発動したうえで輸送カーゴを没収することもできると強調した。北イラクで事業を展開する企業は、バグダード政府が政府に都合のよいように法律を解釈しているだけで、イラクの法にはSOMO石油一社のみが輸出企業であるなどという条文はどこにも見当たらないと話している。
■理由は「冬」
北イラク・クルド自治政府(KRG)が、タクタク地区からの原油輸出開始許可を(トルコの)ゲネル・エネルジー社に与えた。その主な理由は、冬支度に向け石油製品の需要が高まっていたことだった。エネルギー専門家らは、北イラクへは原油輸出と引き換えにに灯油やガソリンが送られていると明らかにしている。増大する需要を満たすため、近々、新たに別の地域からも輸出が開始される見込みだ。タクタク地区から産出される原油の売上量は最終的に北イラク・クルド自治政府によって発表されることも明らかになっている。
■パイプラインは停止
バグダードとアルビルは、新たな炭化水素法を制定しようと交渉を行ったものの、同じ条件で合意することはできなかった。この問題も北イラクで事業を行う企業を困難な状況に陥らせている。バグダード政府管理下のパイプラインを使って輸出を行っていた企業は、想定していた金額が支払われなかったためパイプラインへの原油供給を停止させたという。一方、KRGは企業がタンカーを使って輸出を行うことに許可を与えた。この行為にバグダード政府はすぐさま反応を示し、SOMO石油以外はいかなる企業もイラクから原油・天然ガス・石油製品の輸出入はできないと明らかにした。
■サダム・フセイン時代以前からの法律
しかし、北イラクで事業を展開するグローバル企業は次のように主張している。イラクの法に詳しい法律家もイラク石油省の会見は「ジョーク」だと考えており、 バグダードの中央政府はイラク憲法を自らに都合のよいように解釈しているという主張だ。法律家らは、SOMO石油による原油輸出は「専売」であり、法律上そのような条文は一つもないと明言し、件の法律もサダム・フセイン時代から残っているものだと主張した。
関係者らはサダム・フセインの法律は既に撤廃されており、イラクで2005年に制定された憲法にもあいまいな部分は残っていると話し、「憲法から自分たちに都合のよい解釈を引き出したのだろう」と述べている。
■流出はストップ、新しいラインに期待
この夏、支払いに関しバグダード政府ともめたKRGは、ケルクク-ジェイハンのパイプラインへの原油供給を停止した。9月に合意にたどり着き、北部で事業を行う企業へ支払いが行われることが見込まれている。またこの合意に伴い、改めてパイプラインへ原油供給が始められた。
しかしバグダード政府は、想定額を満額支払わず、それに加えて2013年の予算中、クルド自治区で事業を展開する企業に対する投資予算を大幅に削減した。
9月合意の後、またしてもはしごを下ろされ、クルド自治区で製造業を行う企業は困難にさらされた。先月はケルクク-ジェイハンのパイプラインに1日18万バレルの石油が供給されていたが4千バレルにまで落ち込み、企業側では、当面の一時的な解決策としてトレーラーによる貿易を行っている。
イラク北部からトルコまで伸びる予定の新しいパイプラインの建設が、本質的な解決策となるだろう。
■北部にはTPICとBOTAŞ
一方、トルコ石油会社(TPAO)は、イラク南部の第9油田の取り分をクウェート・エネルギーに引き渡した。
バグダード政府は、独自に北部との契約を結んだ企業には、南部の膨大な原油地帯での事業を禁止すると決定した。しかしこの決定にもかかわらず、エクソン・モービルなどのスーパーメジャーは、北部との原油合意にサインしている。
現在、トルコがイラク北部で行う予定の新たな合意が注視されている。トルコ・ エネルギー省関係者は、イラク南部で現在も事業を続けているTPAOに代わり、BOTAŞ社あるいは、TIPC(Turkish Petroleum International Company)社がイラク北部で事業を展開するとみられていると語っている。
(本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介
されています。)
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( 翻訳者:原田星来 )
( 記事ID:28862 )