■エジプトポンドが米ドルに対して再び下落し1ドル=6.61ポンドを記録。需要と供給の弾力性は流通しているドルの値動きを制限している
2013年1月16日『アル=アハラーム』
【ハリーファ・アドハム】
エジプトポンド(ギニー)は昨日(15日)ドルに対し再び下落に転じ、2ピアストル(1ピアストル=1/100ポンド)安となり、1ドル=6.6128ポンドを記録するまでになった。それは、中央銀行が規定した1%の追加の後のトレーダーへの販売レートである。諸銀行は昨日、中央銀行が7500万ドル分発行したうち入札で7,400万ドル分を応札した。今回のポンド値下がりは昨日ポンドが相対的に安定していた後に起こった。その当時、中央銀行がドル売り入札を行わなかったにもかかわらず、約4ミリム(1ミリム=1/1,000ポンド)しかドルが値上がりせず、この相場変動は2012年12月30日に中央銀行がドル売り介入を行うようになって以来最も小さい上昇幅だった。介入によるポンドの下落局面では、対ポンドのドルの価値の上昇は、入札の度毎に約3ピアストルに達した。ポンドの下落率は新制度の適用を始めた日以外は0.5%を記録した。新制度導入の導入日は、下落率が1%となり、それ以来現在までの下落率は7%となった。インターバンクでの価格はドルの値上がりに反応し、昨日1ドル=6.5828ポンドを記録。それは諸銀行間の売買のメカニズムで、為替でのドルの価格は約6.67ポンドに達した。
カイロ銀行のムニール・アッ=ザーヒド総裁は、ドルに対するポンドの下落傾向は続かないだろうと予想した。同総裁は、市場にあらゆるドルの急騰を吸収する能力がないため、市場の購買力がポンド下落傾向の継続を許さないと指摘した。また同総裁は「エジプトの消費者の購買力は、為替レートの安定を保証している。なぜなら、ポンドの下落が一定の範囲に達すると、必需品ではない商品への需要の縮小を招くからだ。これは非必需品への需要の弾力性と特徴づけられる。非必需品とは、輸入食品、衣類、車、携帯電話などである。一方、段階的な価格改革を行う中で、小麦や小麦粉、石油製品など価格弾力性のない商品の需要は正しく導かれるだろう」と付け加えた。
アッ=ザーヒド総裁は、為替市場における現在の需要と供給の弾力性は、ドルの新たな急騰を許さないと見ている。同総裁は「ドルの価格は安定に向かっており、同様にドルに対する物価の上昇ギャップは後退し始めている。これは昨日の状況であり、昨日のドルの上昇幅は以前の3ピアストルから2ピアストルに減少した。一昨日も価格は安定していた」と指摘した。そして総裁は、中央銀行が投機の禁止を目的に諸銀行に対しトレーダーにドルを売却する際に課した1%の手数料制度の下で、投機が明白な形で減り始めた、と指摘した。
アッ=ザーヒド総裁は、1%の手数料のおかげで、流通しているドルが表向きは減っていると指摘した。ドルが多数流通していた現象は、ドル買いによって利益を得、その後闇市場や両替所でそれを売るということに走った人たちがいることに象徴されている。
この文脈の中で(ドル相場の今後についての)予想は錯綜している。そのうち1つは、今後ここ数日の間から今月の終わりまでエジプトポンドに対するドルの上昇が続くという予測がある。これらの予測は、外貨準備高の減少と外貨資源の不足、そしてまた約9億ドルになる対外債務の定期返済がある(という事実に)基づいている。一方、こうした予想に対し、為替市場における投機の減少、中央銀行の外貨準備に、カタールによる預金と資金供与に加えトルコによる5億ドルの預金が加わったことなどの複数の肯定的な指標に裏付けられたポンド価格安定予想もある。中央銀行の外貨準備には、カタール、トルコの資金に加えて、EUを筆頭とする複数の出資機関が経済援助として55億ドル以上を提供するとの発表がある。この資金は、国際通貨基金との調印の後に出資される。これらの指標は、市場の操作、恣意的な投機の抑制、ポンドの下落傾向の停止に取り組む中央銀行の努力を支えるものだということには疑いが無い。
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( 翻訳者:千北友佳理 )
( 記事ID:28899 )