サイード・ジャリーリー氏の経済チーム

　ジャリーリー氏支持を打ち出しているブログは、彼の経済チームの陣容についての紹介も行っている。これらのブログの記述によれば、〔ジャリーリー氏が大統領に当選した場合〕マスウード・デラフシャーン氏（1361年〔西暦1982年〕にイマーム・サーデク大学経済学部を創設した人物）〔‥‥〕などの人物が、ジャリーリー氏の内閣に経済関連の要人として参加する可能性が高いという。このチームの基本的特徴としては、現在の資本主義的な経済体制を根本から変革し、イスラーム経済を実現させることを、信念として掲げていることが挙げられている。

ジャリーリー氏が大統領選に勝つチャンスはどれくらい？

　しかし、果たしてジャリーリー氏に国民の票を獲得するチャンスはあるのだろうか。ジャリーリー氏の政治的領域における経歴は外交分野に限られており、一般市民にとってさして目立つものではない。彼の存在感が最も発揮されるのは、イラン核交渉チームの責任者としてだが、その交渉も現在行き詰まりに陥っている。

　サイード・ジャリーリー氏は1344年〔西暦1965/66年〕にマシュハドで生まれ、イマーム・サーデグ大学で政治学の博士号を取得した。1365年デイ月〔西暦1986年12月/1987年1月〕にホラーサーン州ナスル師団の歩哨として〔イラン・イラク戦争に〕従軍したが、「カルバラー5」作戦〔※1987年1月〜2月にかけて行われたイラン軍による軍事作戦〕で足を負傷し、シャラムチェ地区の野戦病院で治療を受けるも、機材の不足と緊急事態のために、右足を失ってしまった。ジャリーリー氏はその後、軍の補給部隊で従軍した。

　1368年〔西暦1989/90年〕にイラン外務省に入省し、その2年後には外務省査察課長に就いた。ジャリーリー氏は1376年ホルダード月2日〔＝西暦1997年5月23日のハータミー政権誕生〕以降、外務省アメリカ課に異動し、同課の課長補佐となった。このように、彼の経歴はそのほとんどが外交分野に関係しているのである。1380年〔西暦2001/02年〕に最高指導者事務局入りし、最高指導者事務局の調査部門の責任者として活躍した。

　ジャリーリー氏は彼を支持するブログの主張とは反対に、次期大統領選では厳しい戦いを強いられるだろう。というのも、〔アフマディーネジャードを支持する〕原理派の人々はジャリーリー支持で完全にまとまっているわけではないからだ。過去の選挙でアフマディーネジャード氏に対して与えられていた〔原理派からの〕支持がジャリーリー氏にも繰り返されるとしても、一般国民全体から票を獲得するチャンスはさほど望めないだろう。というのも、彼には一般受けするような経歴や個性的カリスマ性が欠けているからだ。

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（ 翻訳者:8410186 ）
（ 記事ID:29017 )