拡張工事の進むカーバ神殿、オスマン時代の回廊は15m移動へ
2013年02月17日付 Hurriyet 紙
カーバ神殿拡張計画の枠組みで、マスジド・ハラーム・モスク内の歴史的なオスマン時代の回廊の移動工事がはじまった。一つ一つ番号をつけられ厳重に梱包された回廊は、点検の後15m移動させられ、再び組み立てられる予定だ。
解体が議論される中、マスジド・ハラーム・モスク内のオスマン時代の歴史的建造物である回廊がカーバ神殿拡張工事計画に伴い、移動工事が始まった。
この工事計画には、800億サウジリヤル(約380億トルコリラ/約2兆円)もの予算がかけられることがあきらかになっており、工事はトルコにとっても非常に重要な段階に入っている。
■番号で管理
サウジアラビアのアブドゥッラー・ビン・アブドゥルアズィーズ国王は、昨年、オスマン時代の回廊を巡礼シーズンの終わりに完全に撤去することを承認した。しかし、トルコのエルドアン首相の申し入れとアブドゥッラー国王の再度の勅命により、回廊は撤去ではなく、解体後に忠実な修繕を経て、復元されることが決定した。
特に巡礼シーズンや断食月の巡礼では、礼拝スペース(不足)が超混雑の原因となっている。礼拝スペース内のオスマン回廊関連の修繕作業は、カーバ神殿拡張計画を受注したビン・ラディン・グループから、トルコ企業のギュルソイ・グループに任された。ギュルソイ・グループはトルコ国内で、基礎・地上工事、 歴史建造修繕分野のエキスパートだ。
なお、新設計画では、回廊解体がスタートが始まると、一つ一つ番号をつけ、厳重に梱包されたうえで、点検の後、再びカーバ神殿に設置される。バーブ・セファ門も工事計画の一環として忠実に復元される。
■高低差は修繕
カーバ神殿内のオスマン時代の回廊の床は、中庭の高さ、つまり礼拝スペースと同じ高さになり、回廊床と中庭の高低差は完全になくなる予定だ。
ドームの飾り、ロゼット、碑文の石の出っ張り、正面と下部の石の覆い、手で刻まれた漆喰、当時から残るドームの煉瓦、アーチを構成する石、 柱、柱の上部装飾部分と基部といった建築部位も、すべてナンバリングされた後、解体、保全される。解体された回廊は、点検を終えた後15m移動され、礼拝ス ペースと同じ高さになるよう改めて工事が行われる。工事が完了した暁には、収容可能礼拝者数は現在の5万人から20万人に、さらに同時に礼拝可能な人数 は、現在の40万人から1500万人に拡大される。
■忠実に復元
回廊のパーツは合計500にもなる。また、オスマン時代から現在まで度々修繕され、今日まで残った回廊の一部も工事が行われてきた。タワーフ(カーバ神殿の周りを拝巡する儀式)スペースの拡張工事の工程では、後ほど付け足された40程のコンクリート柱が撤去される一方で、歴史的回廊全体がトルコ企業によって保存される。
また、サウジ政府が増築した回廊についても、原岩が採掘される採石場がみつかり次第、忠実に復元される。解体時時に取り出された建材は、点検後元の位置に戻される。
■ヘリポート併設
新計画では、緊急時における巡礼者の避難を想定した整備も行われる。タワーフとサイの間には、女性2千人を収容できるスペースが設置される。カーバ神殿の2階は、高齢者や障害をもつ巡礼者のタワーフスペースとして使用される。各階で1時間に6000名の巡礼者を受け入れる予定だ。
カーバ神殿の正門にはアブドゥッラー国王の名が冠され、ミナーレ(尖塔)が2本建立される。ミナーレ増設によりカーバ神殿内のミナーレ数は11本に増えることになる。またマスジド・ハラーム・モスク内はすべてエアコンが導入される。カーバ神殿では1日5回の葬儀礼拝がおこなわれており、遺体の出入りも容易になる予定だ。さらに工事計画では、エレベーターで2ヵ所のヘリポートに上ることができる。
拡張工事で、オスマン時代の回廊に関連する事業を進めるギュルソイ・グループは、これまでにスレイマニイェ・モスク、ピヤーレパシャ・モスク、イェニカプ・ メフレヴィー教団修道場、エジプト領事館、フェスハーネ・ビル、ミニアチュルク、1453パノラマ美術館、そしてアタシェヒルに建設されたミーマル・スィナン・モスクなどの工事計画を完成させている。
グループ組織内では、トルコ人技師120名が懸命な建築・修繕作業にあたる。工事の全行程で5000名の労働者を雇用し、3年以内に工事を完了させる計画だ。
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( 翻訳者:原田星来 )
( 記事ID:29286 )