オスマン土地証文を手にづづく36年来の土地争い、調停へ
2013年02月20日付 Milliyet 紙
イズミルに住む農業技術者のオカイ・セルチンオールさんは、アイドゥン県境のバファ湖の北にある、祖父から受け継いだおよそ750万平方メートルの土地の所有権が、36年間に渡る法廷闘争にも関わらず遺産相続者へ与えられなかったために、欧州人権裁判所で訴訟を起こし、1万8,100ユーロの賠償金を獲得した。これを見た同地域の他の遺産相続者45名が行動を起こし、弁護士を通して司法省に設立された委員会へ訴え、欧州人権裁判所の決定の適用と、180万リラの支払いを求めた。
オカイ・セルチンオールさんの司法レースは、1972年、父オスマン・ヌーリー・セルチンオールの父親ハジュ・アフメト・セルチンオールが遺した、オスマン土地証文のあるおよそ750万平方メートルの2ヶ所の土地を自身に与えるよう申請したことから始まった。
セルチンオールさんは、手元にあるオスマン時代の登記証書の、共和国の証書への書換えを求めた。アイドゥン証書委員会は、バファ湖の北、オルデキ・ゲディイ、スィヴリ・チレキ、キョリスタン・ブルヌ、カフヴェ・ブルヌの間にある約300万平方メートルの土地のうち、2,189番地と2,191番地、広さにして約750万平方メートルの土地が、村という法人に属するものであるとした。これを受けて、オスマン・ヌーリー・セルチオールはソケ土地裁判所で所有権訴訟を起こした。1991年、裁判所は2,191番地は個人の所有にはなりえず、他方の土地も希望者の間で分割する必要があるとの決定を下した。
最高裁判所は地方裁判所の決定を覆したが、オスマン・ヌーリー・セルチンオールが結審前に亡くなったことから、訴訟は上級農業技術者である息子のオカイ・セルチンオールさんに引き継がれた。地方裁判所は、再度同じ判決を出したが、最高裁判所は2007年に2度目の判決棄却を行った。オカイ・セルチンオールさんは、訴訟ファイルが再度送られたソケ土地裁判所に決定修正を求めた。この要求が検討される中、2008年にオカイ・セルチンオールさんは、父親が始め、結果に辿り着かないこの訴訟について、欧州人権裁判所へ訴え出た。
2人の兄弟の権利も請け負ったセルチンオールさんは、「公正な裁判と所有権が侵害された」と主張し、トルコ共和国から120万ユーロの精神的損害賠償、825万ユーロの財産的損賠賠償、56万ユーロの裁判費用の合計1,101万ユーロの賠償金を求めた。
セルチンオールさん個人の訴えは受け入れられたが、双方間の合意の為の面談は否定的な結果に終わった。欧州人権裁判所の第2法廷は、公正な裁判の権利が侵害されたことを認めたが、所有権が侵害されたとの訴えは退けた。裁判所は、公正な裁判の権利を侵害されたセルチンオールさんに合計18,100ユーロの賠償金支払いをトルコへ命じた。賠償金総額はセルチンオールさんの口座へ振り込まれた。
■45人の相続人が81万4,500ユーロを要求
同じ土地の他の区分の権利を所有している者たちも欧州人権裁判所で裁判を起こし、これも判決の段階まできている。45人の遺産相続人はセルチンオールさんへの賠償金額を例に取り、弁護士を通して司法省に訴えた。遺産相続人らは、欧州人権裁判所でこれまで賠償金支払命令の判例の根拠となった第6384条を挙げて、81万4500ユーロ、つまり180万リラの支払いを要求している。
■「公共の損害を誰が支払うのか」
セルチンオールさんは、自身が欧州人権裁判所から賠償金を受け取る直前に、他の相続人らがこの訴えを行ったという。「45人が欧州人権裁判所で起こした訴訟で、私の訴訟と同じような決定が下されたら、世界におけるトルコの立場を傷付けることになります。これを防ぐために発布された第6384条は、こうした訴訟を起こしている人たちを合意へと導くものです。これに従った遺産相続者は、自分たちの権利を国に求めました。支払われるだろうと見られているこの高額の賠償金により、公共の損害が出るでしょう。この損害を誰が支払うのかも興味のあるところです」と述べた。
この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る
( 翻訳者:釘田遼香 )
( 記事ID:29316 )