カーバ神殿、工事現場の現状
2013年03月16日付 Hurriyet 紙


英インデペンデント紙は、先日イスラム世界の最古の3つのモスクが壊される予定だと報じたが、この度は「サウジアラビアが見せたくない光景」のタイトルで、メッカのカーバ神殿周辺にあるオスマン朝時代の回廊が撤去されている工事現場をとりあげた。

ヒュッリイェト紙が2月17日に報じたカーバ神殿の拡張工事については、イギリスの有力紙ザ・インデペンデント紙も大きくとりあげた。
同紙は、「サウジアラビアが見せたくない光景」のタイトルで、メッカにあるカーバ神殿の周囲の、オスマン朝期とアッバース朝期に造られた遺構が撤去された工事現場の写真を公開した。インデペンデント紙によると、この写真はここ数週間の間にとられたものだ。写真は、Mescid-i Haram(聖モスク)の東側にあるオスマン朝期とアッバース朝期の遺構のある場所でブルドーザーを使って始まった工事の模様を示している。

■95%、なくなった

撤去された回廊アーチの一つは、預言者ムハンマドが昇天のために天馬ブーラークに乗った場所を示していると信じられている。同紙によると、かつて歴史的遺産の保護に熱心な英チャースル皇太子がサウジアラビアを訪問した際にメディアに流された写真でも工事の様子が映っており、専門家の反発を呼んでいたという。ワシントンに本部をおくガルフ・インスティチュートによると、メッカにあった1000年の歴史をもつ建物の95%は、ここ20年の間に壊されたという。

■歴史が消えつつある

イスラーム遺産研究財団のイルファン・アル・アレヴィー総裁は、この写真に対し次のようにコメントした。「回廊の多くは、預言者がすわり、礼拝をした場所をしめしていた。今、この歴史的な記憶は消え失せた。次の世代のムスリムは、これらについては、何の知識をえることもないだろう。なぜなら、痕跡が消え去ったからだ。こんなことをせずとも、メッカとメディナの歴史遺産を守りながら拡張することは可能だったはずだ。」インデペンデント紙によると、聖モスクの工事後の状態を示したプレゼンテーションでは、預言者ムハンマドが生まれ、今はその場所に図書館のある家も撤去が予定されている。この計画は、もし反発があれば、変更されうる。

■先月はじまり、トルコが撤去を阻止

聖モスクにあるオスマン朝時代の回廊の解体は、カーバ神殿拡張プロジェクトの一環として先月はじまった。石のひとつひとつにナンバリングがされ、注意ぶかく梱包された回廊の石材は、工事のあと、15メートル移動して新たに組み立てられると発表されている。380億リラの予算を費やす予定のこの工事は、(反発により)危機的な状況に陥っていたが、トルコのエルドアン首相が介入し、アブドゥッラー国王が命令を下し、撤去ではなく、一度解体してのちオリジナルにふさわしいかたちにレストレーションし、再び組み立てると発表された。

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( 翻訳者:和泉由美子 )
( 記事ID:29501 )