警察長官も政府主催の10万人集会に異議
2013年04月16日付 Mardomsalari 紙
イラン警察長官は、「ノウルーズ旅行促進本部の公僕たちを褒め称えるための10万人祭典」の挙行に警察は反対である旨を明らかにした上で、「祭典の挙行は、不健全な選挙が行われようとしているとの批判の口実を、〔イランにおける選挙の健全性に疑問の声を上げている〕ライバル・グループに与えることになる」と述べた。
エスマーイール・アフマディー=モガッダム長官はメフル通信とのインタビューの中で、「ノウルーズ旅行促進本部の公僕たちを褒め称えるための10万人祭典」の挙行に警察が反対していることについて触れ、「こうした式典を10万人収容の〔アーザーディー〕スタジアムで催すことは、選挙の過程で『われわれの選挙は不健全だ』などと主張するための口実を、ライバル・グループに与えることになる。そうなれば、国民一般の〔選挙への〕信頼に傷が付きかねない。多大な政治的悪影響をもたらすものであり、政治及び選挙をめぐる状況に〔新たな〕問題を引き起こす可能性もある」と述べた。
同長官は続けて、「こうした集会を開くことは、〔ハーメネイー最高指導者によって年初に発表された〕「政治と経済における偉業の達成」という〔本年度の〕スローガンにも反するものである。式典開催に伴う莫大な費用も、今年のスローガンにそぐわない〔‥‥〕」と指摘した。
同長官は、こうした式典を開くことは、スタジアムの設備の面で、式典参加者に様々な問題を引き起こす可能性があると述べた上で、「もちろん、警察は式典の安全性を確保する責任を負っており、今回の式典についても、われわれは安全性の確保に努める所存だ」と語った。
ファールス通信によると、「ノウルーズ旅行の公僕たち」〔※イラン国民のほとんどが休み、家族・友人との団らんを楽しむイラン正月(ノウルーズ)期間中に、安全・安心な旅行を国民ができるよう、サービスを提供してきた公務員たち〕を称える式典は毎年、アーザーディー・スタジアムよりもずっと小規模な場所(例えば「首脳会議ホール」や「イラン国営放送会議センター」など)で、大統領出席のもと開かれてきた。ところが現政権の最終年に当たる今年、しかも大統領選挙までいくばくも残っていない時期に、〔大統領府直轄の〕文化遺産観光庁はこの式典を「祭典」と題して、10万人収容のアーザーディー・スタジアムで挙行することを発表した。これに対し、国会議員や政治・メディア関係者らは反発、さまざまな理由から、それを「選挙向けのミーティング」に他ならないとの見方を示している。
一部のニュースサイトは10万人規模の祭典を催すのに莫大な費用がかかることや、さまざまな機関の職員に対しこの祭典への出席が義務づけられていることなどを報じている。それによると、この祭典の実施には数十億トマーン〔※公定レートで10億トマーンは約8000万円〕もの費用がかかり、また最終的に〔アフマディーネジャードが支持する〕次期大統領候補の紹介が、この祭典で行われる予定だという。
なお、この祭典で使われる横断幕には、「ハーメネイーよ、私はあなたのご命令に従います」〔※「私は‥‥」以下は、メッカ巡礼の際に巡礼者が神に対して唱和する時の文句〕と書かれ、また文化遺産観光庁の広報部長によると、「国家旅行促進本部の関係者たちは『ハーメネイーよ、私はあなたのご命令に従います』のかけ声とともに、労をねぎらわれる」予定となっているという。
これについて、テヘラン選出の国会議員であるホセイン・タラー氏は、「こうした集会は過ちに満ちた逸脱(ビドア)だ。〔国家旅行促進本部の〕関係者たちがしたことは彼らの〔公僕としての〕義務であり、彼らが自らを褒め称えるのに数十億トマーンもの費用を費やすべきではない。むしろ彼らは、〔政府による〕誤った政権運営に堪えている人民に感謝すべきである。現下の経済状況で、こうしたお金の使い方は人民にとって受け入れがたいことだ」と述べた。
同氏はさらに、「アーザーディー・スタジアムでの祭典を催すのに使われる予算は、貧しい生活にあえぐ多くの人々の生活費に充てることも可能なはずだ」と続けた。
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( 翻訳者:ペルシア語記事翻訳班 )
( 記事ID:29739 )