「10万人式典」にマシャーイー、現れず:これといった発表もなし
2013年04月20日付 Mardomsalari 紙


【政治部:イーラーン・サドラーイー】巨額の開催費用とともに政府に近いメディアによって大々的に宣伝された「ノウルーズ旅行促進本部の関係者たちを褒め称えるための祭典」は、「春よ、万歳」(ゼンデ・バード・バハール)〔※アフマディーネジャード大統領が最近多用している、次期大統領選挙向けのスローガン〕が叫ばれる代わりに、「お昼ご飯よ、万歳」(ゼンデ・バード・ナーハール)といった趣となった。

 過去8年間の経験が示すように、マフムード・アフマディーネジャードとその側近たちはメディアの注目を集めることに並々ならぬ関心を示してきた。そして今回、大統領は「ノウルーズ旅行促進本部の公僕たちを褒め称えるための10万人祭典」を催すことで、世間の話題をさらったのであった。

 モハンマド・シャリーフ・マレクザーデ文化遺産観光庁長官が、10万人収容のアーザーディー・スタジアムで、大統領の演説付きの集会を同庁主催で催す意向を示したことが、政治=選挙関係者たちの関心を引くきっかけとなった。大統領はここ数ヵ月間、国内外への訪問の際にエスファンディヤール・ラヒーム=マシャーイーを同行させ、最近行われたセムナーン州訪問の折には、ステージの上でイランの国旗をマシャーイーに渡すパフォーマンスを見せた。こうしたことによって、アフマディーネジャードはあらゆる努力を傾けて、政府が擁立する予定の次期大統領候補をアーザーディー・スタジアムに華々しく登場させようとしているのではないかとの分析が、これまでなされてきた。

 この間、ウラマーやマルジャエ・タグリード(シーア派宗教最高権威)、国会議員や政治活動家らは、式典開催を前にしてこうした政府の動きを批判、国の予算を使って選挙で一部の党派の願望を実現させようとしているとして、式典開催の決定に反発する姿勢を示してきた。護憲評議会の報道官司法権長官らは、式典開催に向けた動きに対して警告を発するまでになっていた。

 ここ数ヵ月間、マシャーイーが次期大統領選で政府の擁立する主要候補となるだろうとの分析が唱えられ、彼はアーザーディー・スタジアムにも姿を現すだろうとの見方も示されていた。しかし紆余曲折を経て、最終的にマシャーイーはスタジアムに現れず、アフマディーネジャードは自らの永遠の友を欠いた状態で、一人会場に姿を現したのであった。

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 喧々囂々たる議論を引き起こし、集会は開かれないのではないかとの憶測が流れたにもかかわらず、ついに「ノウルーズ旅行促進本部の関係者たちを褒め称えるための祭典」がアーザーディー・スタジアムにて、木曜日〔4月18日〕の午後に挙行された。しかし式典開催とともに明らかになったのは、これらの騒動によって、式典の様子にも影響が及んでいたことだった。選挙向けらしい雰囲気は見られず、エスファンディヤール・ラヒーム=マシャーイーも現れなかった。

 アーザーディー・スタジアムの入り口には、約500台のバスと、大量の自家用車、そして交通警察や治安維持軍の特殊部隊の姿が見られた。

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 10万人収容のスタジアムは上下二層に分かれており、それぞれに5万人が収容できるようだ。政府は10万人の参加者を集めようと準備してきたにもかかわらず、席がほぼ埋まったのは下層だけで、上層はまばらだった。ざっと計算してみた感じでは、5万人以上、6万人以下の関係者が政府主催のこの祭典に参加した模様だった。

 参加者らが着ているロゴ付きの服装からは、彼らが文化遺産観光庁、道路整備局、そして赤新月社の関係者たちであることが分かった。彼らは口々に、「お昼ご飯、お昼ご飯」のシュプレヒコールを上げていた——そして後に、昼食が参加者らに配られた。一部の人が認めたところでは、参加者らには〔携帯電話通信サービスを提供する〕「ライテル」社の〔プリペード用の?〕シムカードも配られたとのことである。

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 式典が開かれている間、一人の参加者に話を聞いた。文化遺産観光庁の服を着たこの人物は、この祭典に参加するために〔エスファハーンから南西に位置する〕チャハールマハール・バフティヤーリー州からはるばるテヘランにやって来たのだという。彼は本紙とのインタビューの中で、この式典に参加した理由について、「私は赤新月社で働いています。「大統領に会いたい者はグループでテヘランに行かせてやるぞ」と声がかかったのです」と述べた。

 この人物はさらに、「チャハールマハール・バフティヤーリー州からは900名がバスでこの集会にやって来ました」と続けた。彼は昼14時になってもまだ、朝食も昼食も口にしておらず、疲れ切った様子だった。

 多くの参加者らは〔大統領らの〕演説が始まる前にスタジアムを後にした。この集会では、大統領の前にまずナッジャール内相が演説を行い、ノウルーズ旅行は全国で国民としての一体性を創出する最高の方法の一つだと論じた。その後、大統領の演説の番となった。大統領にはいつもの活気がなく、不機嫌そうな面持ちで約15分間演説を行った。その中で大統領は、今年のノウルーズ旅行は、イラン国民に対する圧力を成功させようとする敵の目論見が挫折したことを示したと述べ、さらに次のように語った。

頂点を征服しようとする国民にとって必要なのは、全員の意志と〔同胞に対する〕愛情である。イラン国民は長き歴史に中で、こうした価値観の旗手であり続けてきた。イラン国民の再興期にある今日、そして歴史上のさまざまな時代において、イラン国民は常に正義を希求し、自由な思想を求め、平和を愛してきた。そして今、一つ一つ頂点を征服しつつあるのである。

 大統領は最後に、意図的か間違えてかは分からないが、「春よ、万歳(永遠に)」のスローガンを抜かして、「イラン、万歳。正義よ、万歳。愛よ、万歳。親愛なるイラン国民の掲げる旗よ、万歳」と述べた。

 アフマディーネジャード大統領は17時45分、スタジアムを後にし、式典は終了した。12台の特殊部隊の車両が、隊員らを回収するためにスタジアムに入った。政府主催の喧々囂々たる集会の結果残されたのは、無数のゴミと、アーザーディー・スタジアムからテヘラン市街までの区間の渋滞だけだった。

お昼ご飯、万歳

 今回の式典で興味深かったのは、集会参加者らへのお昼として配られるサンドイッチの配布が遅れたことである。この遅れは、式典が正式に始まり、マフムード・アフマディーネジャード大統領が登場するまで、参加者らを会場にとどめておくために起きたもののように思われる。しかしながら、参加者らは食事を手にするや、次々とスタジアムを後にし、アフマディーネジャードの演説の時にスタジアムに残っていたのは2万人以下だった。そしてアフマディーネジャードの演説が終わる頃には、ほとんどの席は空席となり、残っていたのは1万人に満たなかった。

 式典が正式に始まって約2時間後には、長々と続くプログラムに飽きてしまったかのように、数千人の人がスタジアムを去った。正午頃から席が埋まっていったスタジアムの下層部分は、アフマディーネジャードが登場する頃には、空席が目立った状態だった。

 今回の式典に目立って参加していたのは、赤新月社の関係者たちであった。式典の数時間前、〔イラン北西部の〕マラーゲ県でマグニチュード5.2の地震が発生した。こうした事態にもかかわらず、式典は続行されたのであった。

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( 翻訳者:ペルシア語記事翻訳班 )
( 記事ID:29743 )