〔‥‥〕
この人物は、「農産物を国境の外に持ち出したり、自由貿易地区に持ち込んだりといったことは、通常《クール・バル》〔※大きな荷物を肩や背中に担いで運ぶ者、という位の意味〕と呼ばれる人々によって、密輸という形で行われている。〔‥‥〕こうした人々は毎回、一人につき60キロ程度の小麦を国境の外に違法に持ち出している」と説明した。
この人物はまた、次のように述べている。「アラス自由貿易地区の一部の当局者が指摘するには、この地域で生産された農産物が、最近になって自由貿易地区で〔一般〕消費財や贅沢品と交換されるようになっており、〔そのような形で贅沢品等が〕我が国に流入しているという」。
アルボルズ州青果輸出業者組合のホセイン・ベヘシュティー理事長も、この問題について本紙記者に興味深い内容を指摘している。
例えばレタスだが、はっきり言って今や、アルボルズ産の高級レタスはまったく国内市場に流通しておらず、ペルシア湾岸地域の市場にのみ供給されている。考えてみてほしいのだが、1000トマーンでレタスを買ってくれるアラブ人バイヤーがいるというのに、農家たちがそれを国内価格400トマーンで売らなければならない道理がどこにあるというのだろうか?
〔‥‥〕
アルボルズ州青果輸出業者組合の理事長はさらに、次のように続ける。
確かにわれわれとしても、石油以外の産品の輸出が拡大中であること、イラン産の高品質の農産物が海外市場で脚光を浴びることは喜ばしいことだ。しかしここで真に問わねばならないのは、果たして〔農産物に対する〕我が国の需要について正確な数字がわれわれの手元にあるのだろうか、それによってこれらの輸出による国内市場の混乱を防ぐことができているのだろうか、という点にあるのだ。
農家協会の当局者も本紙記者とのインタビューの中で、カタール人ブローカーがケルマーンやケルマーンシャー、コルデスターンといった各州の農産物市場に進出していることを明かした上で、「ブローカーらは、ケルマーンのタマネギやコルデスターンのイチゴをイランの国内価格の2倍の値段で、それも時にドル建てで購入し、それらをカタールやオマーン、アラブ首長国連邦といったペルシア湾岸諸国に運んでいる」と述べている。
■ 原因は何か?
イラン商工会議所のシャーロフ・ザヒーリー農業委員会書記は、農産物の保証買い取り制度は間違った政策だと指摘し、本紙記者に次のように述べている。
政府が農産物市場に干渉して、実際の価格よりも低い価格を設定すれば、農家がそれを政府に売ろうとしないのは当然だろう。なぜなら、現金払いの良質の買い手がいるからだ。農家は自分の作ったものを売りたいだけなのだ。
同氏は加えて、「政府は保証買い取り価格制度を撤廃して、農産物の価格決定を市場に委ねるべきである。こうしてはじめて、農産物が違法に輸出されるのを防ぐことができるのであり、また政府が〔国内需要を満たすために、輸出された産品を〕再度輸入する羽目に陥って、貴重な外貨資源を浪費するのを避けることができるのである」と述べた。
同氏はさらに、「海外のブローカーたちによるイラン農産物市場への進出は、農業分野における政府の失政の結果だ〔‥‥〕」と明言した。
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( 翻訳者:8410111 )
( 記事ID:30102 )