原理派、ジャリーリーがアフマディーネジャードと同じ道を歩むことに懸念も
2013年06月02日付 Mardomsalari 紙
【政治部:アミール・バーラーン】サイード・ジャリーリーは、「選挙現象」の一つと見なすべきだろう。彼は予期せぬ形で、これといった政治グループへの明確な所属なしに大統領選への立候補届を行い、護憲評議会で立候補資格が確定した後、今や勝利の可能性の高い候補者の一人と見なされている人物である。
こうしたことから、次のような疑問が沸いてくる。ジャリーリーは誰、あるいはどのグループに属しているのか、そして「革命の言説とイスラーム的価値」に対する彼の強調は、彼がマフムード・アフマディーネジャードに近いということを示すものと考えるべきなのか、という疑問である。
「ジャリーリーはイスラーム革命の言説を強調する唯一人の立候補者だ」。ジャリーリーと同じく、国家安全保障最高評議会から休暇をもらって、ジャリーリーの選挙本部長として活動しているアリー・バーゲリーはこのように述べ、さらに次のように続けている。「彼は世界中に輸出することのできるモデルを自分の中にもっている人物である。そのゆえ、彼が革命最高指導者のお考えから外れた潮流に属しているという意見は明確に否定される」。
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これに関し、イスラーム連合党の代表代行を務めるハミード・レザー・タラッギー氏は本紙とのインタビューの中で、ジャリーリーが大統領選に出馬したことについて、「ジャリーリー氏は革命の言説に依拠せよとのスローガンとともに、選挙戦に足を踏み入れた。それゆえ、〔革命の理念の防衛を志向する〕一部のグループを自らの支持層としている」と指摘する。
タラッギー氏は続けて、「ジャリーリーは《ティール月3日の言説》の代表者〔※〕として捉えるべきだ。もちろん、過去4年間〔アフマディーネジャード政権が抱えていた〕問題や無法状態を、彼も受け入れてはおらず、それを繰り返すようなことはないだろう」と述べている。
※訳注:ティール月3日とはアフマディーネジャードが大統領に初当選した2005年6月24日のことで、「ティール月3日の言説の代表者」とは、要するにアフマディーネジャード的な考え方や政策の継承者、という意味。
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他方、国会第二副議長のバーホナルは、84年〔=2005年〕の頃のアフマディーネジャードのやり方・レトリックを継続することは、ジャリーリーに可能かとの疑問に対し、次のように答えている。
それはアフマディーネジャード自身にとっても不可能である。アフマディーネジャードのやり方・レトリックはすでに陳腐化しており、もはやその独自性を失っている。疑惑を言うぞ言うぞという暴露主義によって、かつて彼は正当か不当かにかかわらず、数百万もの票を動員したが、こうしたことが〔次の〕選挙でも再現するとは思えない。
同氏はまた、「ジャリーリーは体制の一部の幹部の支持を受けているという噂も聞かれるが、少なくとも最高指導者はそうしたことを明確に否定している。それゆえ、〔2005年にアフマディーネジャードがラフサンジャーニーを破ったときのような〕票のツナミ現象は起きないだろう〔‥‥〕」と続けた。
同氏はさらに、次のように述べている。
アフマディーネジャードとジャリーリーが会合を開いて、ジャリーリーが政府の擁立する立候補者になることで合意した、というような事実はない。ただ、アフマディーネジャードは8名の立候補者のうち、第一に彼の味方となってくれるような人物を支持するだろうし、もしそういう人物が見つからなければ、彼にとって危険とならないような人物を後ろから支えるだろう〔※〕。こうしたことからするならば、アフマディーネジャードはジャリーリーを望ましい人物と考えているだろう。しかしこれは、互いに一つのシナリオで合意に達しているというような意味ではない。ただ、アフマディーネジャードとジャリーリーの「血液型」が互いに似通っている、ということだ。
※訳注:アフマディーネジャード退陣後、彼や側近のマシャーイーが金権疑惑等で逮捕される可能性があることを示唆している。
こうした中、ダーヴード・アフマディーネジャードは「私の意見では、ジャリーリー氏はアフマディーネジャードと同じ道を歩んでいる。〔ジャリーリーが大統領にならぬよう〕全員が気をつけなければならない。ヴェラーヤティー氏の勝利のために、全力を傾けるべきだ」と述べている。
アフマディーネジャード大統領の兄である同氏は、次のように述べた。
私は革命勢力の結集のために、大統領選の立候補を辞退した。これは、誰かを利そうとしての行動ではなかった。私は護憲評議会に宛てた辞退届の中で、誰の名前にも言及しなかった。ところが当時、私の辞退がジャリーリー氏に有利になるための行動だったという嘘の報道が流れてしまった。
同氏はその上で、「私の意見では、ジャリーリー氏はアフマディーネジャードと同じ道を歩んでいる。〔ジャリーリーが大統領にならぬよう〕全員が気をつけなければならない。ヴェラーヤティー氏の勝利のために、全力を傾けるべきだ」と語った。
〔かつての〕マフムード・アフマディーネジャード支持勢力がジャリーリーの元に結集していることから、
メスバーフ=ヤズディーとその支持者たちは今回、サイード・ジャリーリーの周りに集まって、自らの権益を守ろうと考えていることが分かる。〔‥‥〕実際、アフマディーネジャードが政権の座に就いて以降、メスバーフ=ヤズディーが主催する研究所〔=イマーム・ホメイニー教育研究所〕の活動のために計上された予算額は数倍になり、またメスバーフ学派で学んだ一部の勢力はさまざまな領域に進出した。最近では、ハミード・ラサーイーやルーホッラー・ホセイニヤーン、クーチェクザーデといった人物が国会へと進出しているのである。
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( 翻訳者:ペルシア語記事翻訳班 )
( 記事ID:30212 )