おそらくソーシャルメディアが最もよく使用された市民運動として歴史に残るであろうタクスィム・ゲズィ公園抵抗運動が、ツイッターにどう映ったか見てみよう。
歴史に特筆すべきであり、かつ私たちの記憶を刷新し、トルコの話題をさらったゲズィ公園デモを簡単に振り返ってみよう。
レジェプ・タイイプ・エルドアン首相は、タクスィム広場に残る最後の緑地であるゲズィ公園を、「歩行者天国プロジェクト」の一環で取り壊し、トプチュ兵舎を再建してショッピングモールとして生まれ変わらせようと計画した。建築家商工会議所や都市計画会議所はこれに反対。これらの団体による再開発計画反対は、文化自然遺産保護委員会によって認められ、一旦はプロジェクトが停止された。しかしエルドアン首相が強い姿勢に出ると、同委員会は3週間後に決定を覆し、再開発工事を承認した。
5月27日、誰の命令を受けたかが不明である工事用重機が、この承認に基づいて公園に入った。2011年からこれまで公園の監視を続けていた「タクスィム連帯プラットフォーム」の監視人が制止するまでの間に、公園の一部の壁が破壊され、5本の木が切り倒された。そこで監視人らは翌日の5月28日、公園にテントを張っての見張りを開始した。
しかし政府のショッピングモール建設への決意は堅かった。この決意を、翌29日に警察の機動隊を動員し、警棒と催涙ガスを用いて監視する人々に介入することで示した。テントが焼かれる事態にまで及んだこの強引な介入は、平和民主党のスッル・スュレイヤ・ギョンデル議員の尽力で一度は阻止された。それからすぐ、事件はソーシャルメディアで広まり、情報を知った数千人の人々が木を守るためゲズィ公園に集結した。
―ストーリーのその後は誰もが承知である。
3週間に及び全国各地で続いたゲズィ公園抵抗運動は、すでに様々な分析の対象となっている。この分析の過程で最もよく聞かれる言葉は、間違いなく「ソーシャルメディア」だろう。特にツイッターは、(ゲズィ公園)運動の情報が行き来する神経の役割を果たした。
今週は、ツイッターが発表した公式データをもとに、ソーシャルメディア分析会社ソメント社(somemto.com)が発表したデータについて見てみることにしよう。なお調査は、事件が取り立たされるようになった5月29日から6月10日までの間、ツイッターに投稿されたトルコ語のツイート、総数1億 4379万5432件を対象とする。
■ツイッターの「復活」
データに目を通すとまず気付くのが、ツイッターで書き込みをリツイートしたり、ツイートを投稿したりする利用者の増加である。デモより前ではただ見るだけであった利用者に加え、新しくアカウントを開設した利用者も合わせると、その数は明らかな増加を示している。5月29日に180万人であったトルコ国内の (自ら書き込みを行う)アクティブ利用者数は、6月10日には950万人に増加した。
日付―総利用者数
5月29日―1,819,403人
5月30日―2,875,435人
5月31日―3,874,144人
6月1日―4,775,473人
6月2日―5,512,087人
6月3日―6,122,647人
6月4日―6,709,327人
6月5日―7,240,546人
6月6日―7,769,427人
6月7日―8,233,243人
6月8日―8,690,022人
6月9日―9,156,847人
6月10日―9,548,503人
■フォローのトレンド
デモとは関係なく最もフォロワー数を増やしたのは、12万1199人の新規フォロワーを獲得したジェム・ユルマズとなった。デモで名前が挙げられた人物では、新規フォロワー獲得数リストで5万2424人のエルドアン首相が1位を獲得、20万8158人でオカン・バユルゲンが2位となった。側近による厳しい批判を受けたメメド・アリ・アラボラは、上位15名のリストにランクイン出来なかった。
■ツイート数の推移
調査対象の期間のうち、最も多くのツイートが投稿された日は大規模デモ初日と呼べるであろう6月1日で、その数は1893万5909件に上った。6月3日以降の1日の平均ツイート数はおよそ980万件を数える。
日付―総ツイート数
5月29日―7,328,937件
5月30日―7,383,464件
5月31日―15,077,500件
6月1日―18,835,909件
6月2日―16,720,801件
6月3日―11,727,313件
6月4日―10,080,541件
6月5日―8,823,148件
6月6日―10,112,126件
6月7日―9,753,916件
6月8日―8,591,716件
6月9日―10,620,826件
6月10日―8,739,231件
ツイートが24時間にわたり大量に投稿され続けていた6月1日を除いて統計を取ると、ツイッターの利用は警察による暴力行為の開始と終わりの時間に最も高い数値に達したことが観察できる。また深夜1時から朝方6時までの間はほとんど投稿されずに時が経ったことにも注目したい。
■最も関心を集めたアカウント
この期間デモに関して最も多くリツイートされた(つまり共有された)書き込みは、ジェム・ユルマズによる催涙ガスを批判したツイートである。4万4000人以上がリツイートしたこのツイートは、同時に4日間にわたってリツイートされ続けた点でも特徴的である。またスカーフを巻いた人によるツイート は、6日間にわたって最も多くリツイートされ続けた書き込みとなった。
ツイッター利用者は、5月31日と6月1日に最も多くリツイートした。
その日に最も多くリツイートされた書き込みは、それぞれ次のとおり。
5月30日―@memetalialabora:問題はゲズィ公園だけじゃないのがまだわからないのか?さあ来て。#direngeziparkı
5月31日~6月3日―@CMYLMZ:もう水やガスを撒かないでくれ..この人々は敵か?もう死んでしまうと(彼らから)何通ものツイートが来ている、これは何と罪深きことか、何と恥ずべきことか!誰を誰から守っているのか?
6月4日~9日―@suuummmm:私はスカーフ巻いてタクスィムに行ったわ!(彼らは)悪口も言わずに私のことを守ってくれた!嘘をつくのはやめて!うんざり!@beyaztvcomtr
また、この期間に累計で最も多くリツイート(RT)された書き込みはこの10件。
1位―@CMYLMZ:もう水やガスを撒く仕事は止めてくれ..彼らは敵か?もう死んでしまうと(彼らから)何通ものツイートが来ている、これは何と罪深きことか、何と恥ずべきことか!誰を誰から守っているのか分かっているのか?(44,466RT)
2位―@AHMTKURL:もし寝たら裏切られてしまうかもしれないと思っているのではないか?#direngeziparkı(26,753RT)
3位―@suuummmm:私はスカーフ巻いてタクスィムに行ったわ!(彼らは)悪口も言わずに私のことを守ってくれた!嘘をつくのはやめて!うんざり!@beyaztvcomtr(25,903RT)
4位―@murat_aras:5歳の息子に木を切ろうとする人がいるからぼく達は怒っているんだと話したら、息子がどうして警察に通報しないのって言った。笑ってしまった...(22,272RT)
5位―@Forumkartal:最新:ゲズィ公園に居れることをアッラーに千回感謝します。公園は我々とフェネルサポーターが占拠している!これは心の問題だ...(20,683RT)
6位―@CMYLMZ:私たちは警棒ではなく木を支持している!(19,935RT)
7位―@memetalialabora:問題はゲズィ公園だけじゃないのがまだわからないの?さあ来て。#direngeziparkı(19,747RT)
8位―@okanbayulgen:ガスを撒くのをやめて入ってきてくれたらいいのに。人々がそこにいるのが分かるだろう。あなたたちの母親、父親、友人、子供が...(18,994RT)
9位―@metinustundag怒るとより美しくなるな、トルコよ!(17,085RT)
10位―@okanbayukgen:国のあらゆる場所でこうして人々は同時に広場に集まり、警察の介入下で何日も耐えるのだ...(17,067RT)
■リツイートされたURL
デモの期間中最も多く共有されたURLのトップは、デモのスローガンとなったdirengeziparki.comとなった。しかし興味深いことにこのアドレスからデモに関する情報にアクセスすることはできない。2位にはヒュッリイェト紙のアフメト・ハーカン氏が書いた「誰も説明できない、ではまず私が説明しよう」という見出しのコラムがランクインした。
<中略>
■最も人気のハッシュタグ
デモの間、ハッシュタグとして知られるタグが幅広く利用された。最も多く使われたハッシュタグベスト10は次のとおり。
#direngeziparkı (抵抗せよゲズィ公園)―2,140,709回
#direngeziparki (抵抗せよゲズィ公園)―1,611,029回
#direnankara (抵抗せよアンカラ)―1,114,267回
#occupygezi (ゲズィ公園を占拠しろ)―846,020回
#direngaziparki (抵抗せよガズィ公園)―617,384回
#sesvertürkiyebuülkesahipsizdeğil (声を上げろトルコよ、この国は私たちの国)―589,118回
#direnizmir (抵抗せよイズミル)―438,813回
#tayipistifa (タイイプ首相は退任しろ)―403,050回
#direnbesiktas (抵抗せよベシクタシュ)―382,252回
#takipedenitakipederim (フォローをつなげよう)―372,852回
(本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介されています。)
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( 翻訳者:池永大駿 )
( 記事ID:30491 )