米下院、ゲズィ公園問題を討議、トルコ政府の対応を批判
2013年06月26日付 Hurriyet 紙

ゲズィ公園抗議運動についてアメリカ連邦議会は特別公聴会を開き討議した。連邦議会議員はトルコ政府のデモへの対応を強く非難した。

 ゲズィ公園抗議運動に関しては警察隊がデモ隊へ過度の武力を行使したとしてアメリカ政府はこれまで何度もトルコ政府を批判してきたが、今回アメリカ連邦議会も この問題を取り上げた。公聴会は下院の外交委員会の下で開かれ、専門家が議員へ助言を行った。

 欧州ユーラシア新たな脅威小委員会で行われた公聴会は小委員会の議長である共和党カリフォルニア州選出ダナ・ローラバッカー議員の呼びかけで開かれた。 公聴会の題目は「岐路に立つトルコ:ゲズィ公園抗議運動は当該地域の民主主義にとって何を意味するか」。専門家としては元在アンカラアメリカ大使で現在ワシントン近東政策研究所研究員のジム・ジェフリー、同研究所のソネル・チャアプタイ、ネオコンに近いハドソン研究所の政治的イスラム専門家ヒレル・フラド キン、シンクタンクSETAからトルコ政府の推薦を受けたカーディル・ウストゥン、ミッリイェト新聞コラムニストのカドリ・ギュルセルが招へいされた。

■健全な民主主義ではない

 ローラバッカー議員は開会のスピーチを行い、シリアでの危機的状況からアメリカはトルコと協力する必要に迫られているが、スンナ派のシーア派に対する抵抗にシンパシーを感じているトルコ人がどんな人たちを支援しているのかと指摘し「エルドアン政権はどれほど信頼できるパートナーなのか」と問いかけた。また以下のように述べた。

「各地で諸問題をめぐって起きた群衆による抗議運動はエルドアン政権を揺さぶった。デモ隊を武力で制圧するという方策が社会的な反発を生んだ。さらに悪いことに、エルドアン首相の支持者は『ユダヤ人ロビー』を非難し、アメリカン・エンタープライズ研究所がデモを計画したと主張する陰謀説を信じた。首相自身もユダヤ人を侮辱して使われる『金利ロビー』という言葉を使用した。これらは健全な民主主義の兆候ではない」。

続けてローラバッカー議員はエルドアン政権の目指すものは何なのか、そしてそれがアメリカの利益に与える影響は何かを論議していくと述べた。またアメリカ国務省は公聴会に専門家を派遣せず、同省は今も一連の出来事を観察していると述べた。

■エルドアンは恐れるべきではない、喜ぶべきだ

 ローラバッカー議員の後に発言した少数党院内総務の民主党マサチューセッツ州選出ビル・キーティング議員も警察隊がデモ隊に介入したことについてトルコ政府の対応を批判した。キーティング議員は、一連の出来事の結果死者が出ており、4,000人以上が負傷したと明らかにし、「トルコ政府の声明がデモに火を付けた」と述べた。キーティング議員は「トルコ内務相は直近の3週間で250万人がデモに参加したと発表した。多様なデモ参加者がいたと見られることから、これは民主化の兆候である。エルドアン首相は[このことを]恐れるべきではなく、喜ぶべきことだ」と話した。

■ギュル大統領の位置づけ

 チャアプタイ氏は公聴会で最初に証言を行い、近年トルコの政治的闘争を形作っていたのは世俗派とイスラム主義者の論争であったが、今回のデモはトルコの民主主義の質やリベラルな価値の追求のために起きたものであると述べた。デモが将来に与える影響については「この新しい民衆的な運動形態やリベラル勢力は エルドアン首相の政策を複雑なものに変える可能性がある。例えば議会制民主主義を大統領制に変える決定をした場合、強烈な反発にあう可能性がある。一方でアブドゥッラー・ギュル大統領はデモ隊を支持し民主主義とは単に選挙で勝つことだけではないと発言するなど、自身を早くも中立的な存在として位置付けている」と述べた。

■誰のためにもならない

 ジェフリー氏はデモがアメリカの外交政策へ与える影響とアメリカが取るべき措置に焦点を当て、「アメリカはトルコの友人として非公式に、政府が継続している政策と我々が目にしたようなデモに対する姿勢が長期的にもたらす結果について、脅すのではなくしかし力強くトルコ政府に助言をする必要がある」と述べ た。また「(註:トルコが国際的なイメージと経済的繁栄、社会的安定を損なうことは)トルコにとってもアメリカにとっても地域の安定にとってもためにならないことだ」と述べた。

 ウストゥン氏は、一部の国民は政府の政策に失望を感じたと述べ、その不満がこれほどの規模の運動につながったのは力のある野党が存在していないことに起 因しているとした。また「周辺地域にとってトルコの民主化はインスピレーションを与え続けるだろう」と述べた。ウストゥン氏は、今回のデモはアラブの春ではなく、欧州やアメリカのデモに似ていると話した。デモを支援したグループとしては共和人民党(CHP)支持者、超国家主義者、アンカラのアメリカ大使館を襲 撃した違法組織を挙げた。デモが将来に与える影響については、今後CHPは自己を改革する必要に迫られるだろうと述べた。

■汚職の報道

 ギュルセル氏はトルコでの自由についての質問に答え「2008年以降、政府の汚職について新聞等で報じられた記憶がない。つまり不正はないということか?そうとは思わない」と述べた。また投獄されたジャーナリストについては「60人以上のジャーナリストが牢屋にいる。そのほとんどはクルド寄りの ジャーナリストだ」と述べた。

 キーティング議員がデモに外部からの影響があったのかを質問すると専門家らは否定する回答をしたが、ウストゥン氏だけは肯定し、デモを支援したレイハンルやアメリカ大使館襲撃事件の首謀団体はアサド政権と関係があり、よってデモと外部とのつながりができていると述べた。


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( 翻訳者:小野里ゆみ )
( 記事ID:30587 )