イラン次期大統領は先の木曜日、ファーテメ・マアスーメ廟を参詣するとともに、マルジャエ・タグリード〔※シーア派の宗教最高権威〕らと会談して、第11期政権〔=ロウハーニー政権〕樹立に関する指導を仰ぐため、聖地ゴムを訪問した。
複数の通信社が伝えたところによると、ハサン・ロウハーニー師がゴムへの日帰り訪問の中で面会・会談したのは、
マカーレム=シーラーズィー師、
サーフィー=ゴルパーイェガーニー師、
ヌーリー=ハメダーニー師、
ショベイリー=ザンジャーニー師、
ムーサヴィー=アルダビーリー師、及び
ソブハーニー師といったマルジャエ・タグリードの面々であった。〔‥‥〕
■ 「他国とけんかすべきではない」
アーヤトッラー・サーフィー=ゴルパーイェガーニーは、ロウハーニー師との面会の中で、「あなたにはデリケートかつ重大な任務が委ねられている」と指摘した上で、「人々の幸福を考慮し、物価高やその他、国内に生じている多くの問題の解決に十分に努力することを期待している」と述べた。〔‥‥〕
マルジャエ・タグリードである同師は、経済問題の発生に注意を向け、「政府は、雇用状況や暮らし向きを好転させることができるようになる必要がある」と付け加え、さらに「外交においては、協力と対話というアプローチを選択すべきだ。他国とけんかするべきではない。イスラーム共和国の目的は、他国との平和と友好の維持である」と指摘した。
ロウハーニー師もまたこの会談の中で、国は特別な状況に置かれていると指摘し、「今ほど困難な時期は、これまでになかった。多くの工場は操業停止または半停止状態に追い込まれており、農業をめぐる状況も混乱している」と述べた。同師はさらに、政府が700万トンの小麦を輸入する考えであることに触れ、「現在、国民が生活必需品をどれだけ確保できているのかについて調査しているところである」と付け加えた。
■ 経済問題の解決の必要性
次期大統領はその後、イマーム・サッジャード神学校を訪れ、アーヤトッラー・マカーレム=シーラーズィーと面会・会談した。〔‥‥〕
アーヤトッラー・マカーレム=シーラーズィーはこの会談の中で、インフレ問題の解決の必要性を力説した上で、補助金問題についても言及し、「なぜ〔イランのおおよその全人口数にあたる〕7000万人に補助金を支給するのか。補助金は、それを必要としている〔人口の〕30%から40%の人々のためにあるのではないのか」と強調した。
同師は続けて文化的な問題の重要性に触れ、〔アフマディーネジャード政権が誕生してから〕ここ8年間で、イスラーム的・文化的問題が冷ややかな扱いを受けたと指摘した上で、「彼ら〔=アフマディーネジャード政権の関係者たち〕は妄想をイスラーム信仰の代わりとしようとした〔※〕。しかし彼らの試みは失敗に終わった」と言明した。〔‥‥〕
※訳注:アフマディーネジャードやその側近のマシャーイーが、マフディー(救世主)信仰を盛んに喧伝し、またイラン民族主義的な発言を繰り返したことを指す。
アーヤトッラー・マカーレム=シーラーズィーは次期大統領に対して、「あなたには、文化的な問題を重視することを期待している。文化的な問題は、経済問題、そして政治問題にも影響を及ぼし、もし人々が文化的・宗教的に忠実であれば、経済問題や政治問題は改善すると、私は確信している。つまり、それらは相互に影響し合っているのである」と語った。〔‥‥〕
同師はロウハーニー次期大統領に「あなたは多くの困難に直面している〔‥‥〕」と語りかけ、さらに「これらの諸問題は一夜にして解決できるものではなく、忍耐と時間の経過が必要であると、国民に訴えるべきだ。あなたの手によって問題が一夜にして解決し、奇跡が起こると国民が期待しているのなら、それは間違いだ」と指摘した。
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Asahi 中東マガジンでも紹介されています。
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( 翻訳者:8412101 )
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