宣言まであと3ケ月?シリア北部の「クルド自治国家」
2013年07月21日付 Milliyet 紙

シリア北部に拠点を構えるクルディスタン民主統一党(PYD)が、3ヵ月以内に臨時政府を樹立するとみられている。
Alモニターというウェブサイトの情報によれば、6ヵ月以内に憲法草案が準備され、普通選挙が行われるという。


シリア北部で、シリア政府が2年間続いている暴動のためにコントロールを失ったことで、勢力を拡大してきているクルディスタン民主統一党(PYD)であるが、この地域で政治的影響力を持つクルド勢力と共に臨時政府作りのため、準備していることが明らかとなった。

中東問題で評価の高いニュースサイト「Alモニター」記者で、クルド政治に詳しいウラディミル・ヴァン・ウィルゲンブルグ氏の情報によると、PKKと近い関係にあるPYDは、臨時政府樹立のため3ヵ月を見込んでいるという。
イラク北部のクルド自治政府内で活発に活動を続ける政党と協議しつつ、準備がなされているこの計画の第二段階には、6か月をめどに憲法草案を準備し、普通選挙に入ることが含まれている。

■マスウード・ バルザーニ大統領にも相談

ウィルゲンブルグ氏の情報によれば、PYDは自治国家計画を7月19日に公式宣言する予定だったが、レスラユン郡でジハード組織アル=ヌスラとの戦闘が始まったため発表を延期したという。

カムシュル郡をはじめ、クルド人口が大部分を占める9つの郡で、シリアのバッシャール・アサド大統領派諸勢力の撤退から一年目にあたる時期に発表されるのではと考えられていた自治国家計画において、イラクのジェラル・タラバーニ大統領やイラク北部クルド自治区リーダーのマスウード・ バルザーニ大統領らの政治的動きが重要な役割を演じてきた。
6月以降、PYD幹部らはタラバーニのクルディスタン愛国同盟と、バルザーニのクルド民主党関係者らと面会を行っている。

一方で、6月27日にはトルコ国境に近いアムダの町でクルド活動家とPYDの「人民防衛軍」の間で衝突が生じ、6名が亡くなったことで、シリアのクルド勢力の間に亀裂が見受けられるようになった。Alモニターの情報によると、PKKが積極的に支持している自治構想は、7月9日のバルザーニ―との会談で表面化した意見の相違を取り除くことにおいて重要な役割を果たし始めている。

■「シリアから分離しない」

PYDのアラン・セモ代表は、「現在のところ、臨時政府をどのようなものにするべきか話し合っています。イラクのクルド自治区ですら、いまだその作業の途上です。
ヨーロッパでも、クルド自治国家の整備を進めており、EUと国連からの助言を望んでいる。3ヵ月以内に高等クルド評議会の代わりに臨時政府が機能し始めるだろう。
われわれはシリアを分離しないし、独立を宣言したわけでもありません」と話した。
しかし、シリア国民評議会のファイズ・ザラ氏は、ルダウ紙に「クルド人がこの計画を破棄するば、状況は良くなる。このままだとシリアが分離しかねない」と警告した。

■イドリブに空爆

シリアでは首都ダマスカスとフムス市で反政府勢力に対する軍事作戦が続けられている。シリア軍は、反政府勢力の手の内にあるシリア北部イドリブ市への空爆を3日間絶え間なく行っている。
米国通信社Associated Pressは、内戦でアサド大統領勢力が巻き返してきたと強調する一方で、イドリブ市街中心部の重要地域も反政府勢力から奪回したという。
人口4万人のサラケブの町では、子ども3人を含む最低でも5人が亡くなったことが明らかになっている。町での死亡者数増加が懸念される。

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( 翻訳者:原田星来 )
( 記事ID:30901 )