ヴェラーヤティー「核交渉には新たな話し方で臨む必要がある」
2013年08月21日付 Mardomsalari 紙

【政治部】先の大統領選テレビ討論会でのアリー・アクバル・ヴェラーヤティー候補の核問題や外交政策をめぐる率直な発言は、その誠実さによって、ライバルたちの称賛を集めた。〔‥‥〕

 ご記憶の通り、穏健な原理主義者であり老練な外交官であるヴェラーヤティー氏はそこで、交渉とは声明文や自らの立場を読み上げるための場ではないとして、〔別の大統領候補の〕サイード・ジャリーリー国家安全保障最高評議会書記を批判し、〔ジャリーリー率いる〕核交渉チームとアフマディーネジャード政権の無能さが、国際社会における圧力と制裁の原因の一つであり、知性の欠如が国の状態を損ねているのだということを、自分がよく理解していることを、〔国の内外に〕示したのであった。

 AP通信とのインタビューでヴェラーヤティー氏が外交思想の転換と核交渉〔の積極的推進の必要性〕を認める発言を行ったことは、ロウハーニー大統領のことば通りに核交渉チームの陣容が変更されることは確実であり、さらに核交渉が〔従来までの国家安全保障最高評議会に代わって〕モハンマド・ジャヴァード・ザリーフ外相をトップに、外務省を中心として推進されていく可能性があるとの憶測を強めている。ザリーフ外相は国際舞台で、ロウハーニー大統領が国家安全保障最高評議会書記の時代に、核交渉チームに参加し、国連代表を務めてきた人物である。

 また、ザリーフ外相とアシュトンEU上級代表が電話会談を行い、そこで交渉再開の用意が表明されたことも、新たなアプローチのもとで互いの立場を近づけ合い、共通点をもとにして現在の行き詰まりの打開に向けた現実的な案を用意する試みが行われつつあることを示している。

 かつて外相を務めた経験のあるヴェラーヤティー氏はAP通信とのインタビューの中で、「イラン核交渉チームは5+1との多国間協議に精を出すだけでなく、6ヵ国と直接的・間接的に〔個別の〕話し合いを行うべきだ」と明言している。

 同氏はさらに、「ロウハーニーの勝利は、西洋諸国の善意を測る試金石となるだろう。彼らはこのチャンスを活用すべきだ」と述べた。

 ハーメネイー最高指導者の国際問題担当顧問を務めるヴェラーヤティー氏はまた、この件について「われわれがこれまでの口調を繰り返して、得るものがある、意味があるとは思わない。われわれは別の口調で話しをする必要がある。われわれの目的は変わらない。しかしわれわれの口調は変わる必要がある」と明言した。

〔‥‥〕

 同氏は「このような複雑な問題を解決するためには、より一層の知恵が求められる」と指摘した上で、次のように語った。

アメリカとの直接交渉は同国の態度次第である。もし彼らの振るまいがこれまでと同じであれば、何か新たなことが起こるとは思えない。彼らは歩み寄りを見せるべきである。アメリカはいまだ、自分のことを超大国だと思っているが、イランはウラン濃縮を停止しない。なぜなら、われわれには苦い経験があるからだ。

〔‥‥〕

 ヴェラーヤティー氏はまた、革命最高指導者は西洋諸国、中でもアメリカとの二国間協議の潜在的可能性を排除していないとも指摘した——ただし、ハーメネイー師は以前、その可能性を冷たくあしらったことも事実である。

 〔‥‥〕同氏はまた、こうした複雑な問題を解決するにはより一層の知恵が必要だとしつつ、核問題の最終決定権者はハーメネイー最高指導者であって、ロウハーニー大統領ではないということを西洋は認識すべきだと指摘し、次のように語った。

外交政策、特に核問題は最高指導者の手の中にある。革命最高指導者は外交政策の原則部分を決めており、政府はこれに従わねばならない。それゆえ、ロウハーニー政権は戦略的観点からは、これまでの政権のやり方を踏襲することになろう。しかし技術的・戦略的な点からは、異なる方法を採用することになろう。ロウハーニー師が相互の対話について繰り返し言及していることは、イランが直接交渉という考え方に対して柔軟になっているということを示している。イランの最高指導者は、(アメリカとの)二国間協議を禁じてはいない。しかしそれに対して悲観的であることも事実だ。なぜならアメリカ政府は信頼に足らないからである。アメリカもこうした協議が結果を生むことを楽観視してはいない。

〔‥‥〕

 ヴェラーヤティー氏はまた、「イランが再びウラン濃縮を停止することはないだろう。なぜなら、2003年に信頼醸成措置としてウラン濃縮を停止したことについて、苦い記憶があるからだ」と述べ、さらに次のように続けた。

われわれはあらゆる濃縮活動を2年間停止した。そこで得られた成果は何だったか?何もなかった。毎日のように、彼ら(欧州諸国)は以前の要求に新たな要求を付け加えてきた。なぜわれわれはこのような体験を繰り返さねばならないのか。

 イラン学生通信によると、AP通信は「ヴェラーヤティー氏の発言から、元国連イラン常駐代表で新たに外相に就任したモハンマド・ジャヴァード・ザリーフ氏が核交渉団のイラン側責任者になるのではないかとの憶測が強まった」との見方を伝えている。

 ヴェラーヤティー氏は次のように述べている。「ザリーフはベテランの外交官で、極めて有能なネゴシエーターである。彼には外交の分野で、良質かつ意味ある経歴を積んできた。ザリーフ博士がイランの外交機関のトップに就いたことで、われわれは核問題だけでなく、その他の地域問題についても、最終的に解決策を手に入れることができるようになるのではないかと期待している」。




本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:白糸台国際問題研究所 )
( 記事ID:31235 )