エルドアン首相、「エジプト問題の背後にはイスラエルがいる」
2013年08月21日付 Zaman 紙
エルドアン首相は、エジプトで軍がムルスィー大統領に対して実行したクーデターの背後にはイスラエルがおり、世界的に有名な哲学者のベルナール=アンリ・レヴィ氏がある集会で述べた内容がこの証拠となったと述べた。
レジェプ・タイイプ・エルドアン首相は、エジプトにおける事態の進展とクーデターの背後にはイスラエルがいると主張しながら、「エジプトで皆が言っている。『民主主義は投票ではないのである』。背後にどこの国がいるか?イスラエルだ。我々の手元にはその資料がある。2011年の選挙前にフランスで行われたある集会で、法務相とフランスのある知識人が、彼もまたユダヤ人であるが、まさに次のような表現をしていた。『エジプトでムスリム同胞団が選挙に勝ったとしても、彼らは勝てないであろう。なぜなら民主主義は投票ではないのである』。同じことの繰り返しだ、これは。それなら西洋は民主主義についてもう一度定義を把握し、学ぶ必要がある。」と述べた。
エルドアン首相は、昨日県知事集会で演壇から降りる際に場内からラービア・サイン(4本指をたてる、クーデターへの抗議を示すハンドサイン)を向けた人々に対して、自身もラービア・サインで挨拶を返した。エルドアン首相は次のようなメッセージを残したが、声がしわがれていた点が注目を引いた。
■我々は転び、立ちあがった
AKP(公正発展党)は12年目に到達した。大変な損害も受けた。だがいかなる時も諦めなかった。まっすぐ我々の道を歩き続けていることを神に感謝する。
■背後にはイスラエルがいる
西洋の『民主主義は投票だけではないのである』という道理は、当時もトルコで実行された。今、これを再び実行しようとするものがいる、しかし我々が言うように、民主主義の道は投票により実現され、投票は民意そのものである。現在エジプトで行われていたのはこれだ。エジプトで人々は何と言っているか。『民主主義は投票ではないのである』。背後にどこの国がいるか。イスラエルだ。なぜならイスラエルは、我々の手元にその資料があるが、2011年の選挙前にフランスで行われた集会において、法務相と、フランス人の知識人は、彼もまたユダヤ人であるが、まさに次のような表現を使っているのである。『エジプトでムスリム同胞団が選挙に勝ったとしても、彼らは勝つことができないであろう。なぜなら民主主義は投票ではないのである』。同じことの繰り返した、これは。
■西洋は民主主義を学ばなければならない
それなら、西洋は民主主義についてもう一度定義を把握し、学ぶ必要がある。もしこれらがなしえないのならば、民主主義の定義におけるこれらの食い違いや矛盾は、世界を別の場所に向かわせるだろう。独裁政権に向かわせるであろう。我々の心配はこれだ。もし国民が主権を有する世界を我々が求めるならば、その世界は、国民がその意思を示した投票に敬意を払わねばならない。
■無駄にはしない
トルコ共和国として我々は世界に民主主義の模範となる必要がある。さて、周知のゲズィ騒動において我が国民はその意思を主張し、必要な教え(モデル)を必要とされる形で示してくれた。しかし窓枠を振りおろしたり、火炎瓶を使ったりしてではなく、合法的に広場で主張されるべきことを主張しながら、示してくれた。我々は走りつづけなければならない。10年間にわたり辛抱づよく結び目を一つ一つ、一針一針織り込んできたものを、われわれがそのまま放棄すればそれを無駄にすることになる。そんなことはさせない。
■独裁者と言う者へ、出来るものならやってみろ
我々に対し、われわれに最もそぐわない『独裁者』という者たちへ、今日ここで、出来るものならやってみろと私は言いましょう。3月に選挙がある。民主的で、自由な、透明なやり方で国民は投票箱の前に立つ。誰が民主主義を、誰が独裁政権を望んでいるのか、その日に国民ははっきりと示す。もし独裁者を目にしたいのであれば、どうぞ、エジプトへ行ってください。
■彼らは動揺させようとするだろう
ベキル・ボズダー副首相にたいして愚か者が卑劣な攻撃をした。最大野党の副大臣らが、乱暴者を可愛がっている。この愚か者は、しばらく尋問された後、ご存じの通り、表彰されるかのごとく釈放されている。失礼だが、独裁政権であるところでは誰も独裁者という言葉を口にすることさえできない。エジプトで起こっているように、彼らは動揺させようとするだろう。御覧なさい、かの地で何人の出版関係者が、メディア関係者が殺されたか。その独裁者が任命した者を、彼らが殺した。トルコで誰がこんなことに言及できようか。
■CHP(共和民主党)は挑発するだろう
CHPは選挙プロセスを挑発するためにどんな手法にもでるだろう。彼らは今濁った水の中で魚を捕まえようと必死だ。しかし、我々は皆さん方に濁った水を残しはしない。
■アラブ人批判
西洋の支援が途切れても、アラブ世界、イスラム教徒は、『我々はとても豊かである。援助する』と言う考え方がある。アラブ世界に金持ちがいるのと同じだけ、イスラム世界の中には喜捨を(受けるのを)必要とする人々もいる。さて、そのうちの何人にあなたは手を差し伸べたか。アフリカの人々、ムスリムの国々の現状は明らかである。どちらかに行ったことがあるか?これらの人々は独裁者を有している。
■バフチェリMHP(民主主義者行動党)党首批判
デヴレト・バフチェリMHP党首は『首相はエジプトのクーデターを容認できなかった』と言っている。バフチェリ党首殿、あなたはこのクーデターに耐えられたというのか?そうだ、我々はエジプトのクーデターを容認できないし、容認することは無い。もしエジプトのクーデターに対して我々が沈黙を守るならば、明日同様の災難がまた別の国で起こった時、我々は声を上げる権利を持たないことになるのだ。
■「ユスフ(ヨゼフ)」的批判
さて、西洋はエジプトでのクーデターに際して上手く試験に通ることはできなかったようだ。現在イスラム世界はまるで聖ユスフ(ヨセフ)を井戸に落とした兄弟と変わりない状態にある。しかし神がユスフを井戸から救い出しエジプトでスルタン(宰相)にしたように、その兄弟らがユスフを必要とし、ユスフに対して恥じたなら、今日もまた、兄弟の裏ぎりにもかかわらず、エジプト国民がエジプトを治めようとすることを誰も止められないであろう。
■レヴィ氏が軍を動かす主張をした
レジェプ・タイイプ・エルドアン首相は、エジプトの事態の背後にはイスラエルがいると主張し、「我々の手元に資料がある」という発言が、ある集会の記録と関係していることが明らかになった。話題となっているビデオ記録では、世界的に有名なフランス人哲学者のベルナール=アンリ・レヴィ氏が、ムスリム同胞団が合法的な選挙において政権を掌握することは、民主主義と一致しないと主張しつつ、軍をクーデターに動かすことが可能であると説明している。2011年6月2日の集会でレヴィ氏に向かって、「エジプトの選挙でムスリム同胞団が議会で多数派を勝ち取るとしよう。アルジェリアでのように、軍がこの状況を阻止するため介入すべきだとお思いですか?」という質問がなされている。レヴィ氏は、この状況が民主主義とは一致しないと主張しながら、次のように述べている。「1992年、アルジェリアのクーデターに賛成していた。エジプトでムスリム同胞団が与党になった時、『民主主義はこれを望んでいる。そのままにしておこう』とは、私はもちろん言えない。民主主義はたんに投票ではないのである。幾つかの価値と関わっているのである。(略)エジプトで最近進展している雰囲気はムスリム同胞団によい風をもたらさないであろう。ムスリム同胞団が合法的な選挙で政権を握った時には、私は彼らを阻止するため軍を扇動するであろう」(アンカラ・ミリイェット紙)
■アメリカ、エルドアン首相を非難
エルドアン首相の発言に対し、アメリカの反応は素早かった。ホワイトハウス報道官のジョシュ・アーネスト氏が行った会見では、「エルドアン首相による本日の発言を非常に強く非難する。イスラエルがエジプトの事態に何らかの形で責任を持っていると言うことは、攻撃的で根拠のないことであり、間違いである」と述べた。
■イスラエルから即刻の返答
エルドアン首相の発言に対してイスラエル外務省報道官イガル・パルマー氏は、「これはコメントするに当たらない類の発言のひとつだ」との返答をした。パルマーのこの発言はイスタンブルにあるイスラエル総領事館によって行われた書面発表でもって伝えられた。
本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介されています。
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( 翻訳者:吉岡春菜 )
( 記事ID:31241 )