2020年オリンピック開催地候補であるトルコは、招致に向けた全ての準備を完了した。9月7日にアルゼンチンの首都ブエノスアイレスで行われる投票においてイスタンブルが票を獲得できるよう、政治、ビジネス、スポーツの各業界が尽力する。イスタンブルは招致を目指しマドリード、東京と激しく競うこととなる。東京と最終選考に残ることが、イスタンブルの戦略である。
トルコは2020年オリンピック招致レースを固唾を飲んで見守っている。トルコは、ブエノスアイレスで開かれオリンピックの開催都市が決定するIOC総会に強力なメンバーで臨み、大々的なデモンストレーションを行なう。アルゼンチンの首都で開かれるこの歴史的総会には、サンクトペテルブルグでのG20サミットから専用機で駆けつけるレジェプ・タイイプ・エルドアン首相のほかに、アリ・ババジャン副首相、青年スポーツ省のスアト・クルチ大臣、交通・海運・通信省のビナリ・ユルドゥルム大臣、環境・都市開発省のエルドアン・バイラクタル大臣も参加する。9月第1週にニューヨークで開かれる国連の集会に出席するアブドゥッラー・ギュル大統領については、アルゼンチンを訪れる可能性はない。
イスタンブル2020年招致団は、3つのグループに分かれてブエノスアイレスに入る。大臣、国会議員、官僚、報道関係者や新聞社の主筆らから成る、約200人以上の招致団の第1グループは、今日トルコを発つ。9月4日、5日にアルゼンチンへ向かう第2、第3グループには、大臣、国会議員、集合住宅局(TOKİ)のアフメト・カラベル局長、国際競技連盟で働く著名人、様々な競技で活躍するスポーツ選手、オリンピック招致アンバサダーがいる。2020年イスタンブルオリンピックをスポンサーとして支援するコチ・ホールディング、サバンジュ・ホールディング、ウルケル・グループ、ドウシュ・グループ、トゥルクセル社、ディジトゥルク社、トルコ航空の重役やCEOら、メディアスポンサーであるチャルク・ホールディング、ジネル・グループ、ドアン・ホールディング、コザ・イペキホールディングの代表者もアルゼチンへ向かうことが明らかになっている。2020年イスタンブルオリンピックのスポンサーとして各250万ユーロの契約を結んだ、コチ・ホールディングのアリ・コチ氏、ドウシュ・グループのフェリト・シャヘンク氏、ウルケル・グループのムラト・ウルケル氏、サバンジュ・ホールディングのギュレル・サバンジュ氏、トゥルクセル社CEOのシュレイヤ・ジリヴ氏、ディジトゥルク社のエルタン・オゼルデム社長もアルゼンチンを訪問する見込みである。彼らはオリンピック招致に向けて、開催地候補の間ビジネス界の結び付きを総動員する。
■最大のライバルはマドリード
開催都市投票においてトルコの最大のライバルは、2008年と2012年のオリンピック招致を最終選考で逃したマドリードになる。これまで5回オリンピック開催国候補となったトルコだが、招致にこれほど近づいたのは今回が初めてである。イスタンブルに対する政府の支援と国民の関心は大変大きい。新しいプロジェクトとスポーツへの投資がイスタンブルの強みである。また民間部門による大きな支援も、イスタンブルを後押ししている。2020年オリンピック招致のための最大の試練は最初の投票である。ラテン諸国と呼ばれ、一時期スペインの植民地であった国々の票は、マドリードに集まるだろう。日本は周辺地域から特に好意を持たれている国とはいえないが、経済分野において非常に有利である。舞台裏では、最初の投票により東京とイスタンブルが最終選考に残れば、イスタンブルが招致を勝ち取る確率が高くなると囁かれている。
■最初のプレゼンテーションはトルコ
投票によって2020年オリンピック開催国が決定する9月7日のスケジュールは過密である。土曜日の9時にIOC委員に向けた最初のプレゼンテーションをトルコが行なう。トルコのプレゼンテーションは、レジェプ・タイイプ・エルドアン首相の指揮のもと行なわれる。45分間のプレゼンテーションの後、15分間の質疑応答が行なわれる。トルコの後、東京とマドリードがプレゼンテーションを行なう。トルコ時間21時に最初の投票が行われ、この投票で得票が最も少なかった都市が落選し、残った2都市が最終選考を争う。最初の投票によって最終選考に残った2都市は、2時間後つまりトルコ時間23時に2020年の招致に向けた最後の競争を行なう。
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( 翻訳者:篁日向子 )
( 記事ID:31334 )