アンカラの警察情報技術局とその真向かいにある警察宿舎に向かって、3発のロケット弾が発射された。その内の2発がビルに命中したが、死者は出なかった。警察は、この襲撃が革命人民解放党・戦線(DHKP-C)によるものとして捜査している。
アンカラの警察の心臓部が集まるディクメンにおいて、警察総局のビルに付随する公共ビルの中にある情報技術局とその真向かいに位置する警察宿舎に、ロケット弾による襲撃が行われた。第一報によると、2つのビルに面し、ユカル・アイランジュとディクメンをつなぐメスネヴィ通りに立った2人の襲撃者が、通りの中央付近から2つのビルにロケットランチャーを使って襲撃したという。幸い死傷者の出なかったこの襲撃の後、この2人の犯人はディクメン渓谷の方向に逃走したのが目撃されている.
首都のアンカラで昨日(20日)の22時半頃、立て続けに発生した爆発音が大きな恐怖を生み出した。第一報によると、ユカル・アイランジュとディクメンをつなげ、警察宿舎と警察総局に付随する公共ビルの両方の建物に面するメスネヴィ通りに立った2人の人物は、そこにある広告板の位置からロケットランチャーで2つのビルを狙ったという。警察宿舎の食堂と宿舎部分の間にある階のコンクリート部分に命中したロケット弾は、ビルのガスパイプを膨張させ穴をあける原因となった。
この2人の襲撃者は、警察宿舎と警察総局の敷地内にあり通りに最も近い場所にある付属公共施設にもロケット弾による襲撃を行った。付属公共施設内の情報技術局がある部分に命中したロケット弾は、こちらでも壁のガスパイプを膨張させ破裂させた。
■3発目は命中しなかった
2つのビルで比較的軽度ではあったが広範囲にわたる損傷がでたが、ロケット弾が壁を打ち抜いて建物内に入り込まなかったことにより、それ以上の大きな損害は防がれた。2人の襲撃者は警察総局に向けて3発目のロケット弾を発射したが、このロケット弾は命中せず、不発状態で見つかった。警察はこの不発弾を、現場で行った指紋採取やその他類似する捜査の後廃棄した。
この襲撃の犯人らは警察宿舎のように婚礼や式典などが行われ、宿泊施設も併せ持つビルを標的としたにも関わらず、死傷者が出なかったことは不幸中の幸いであった。ムアンメル・ギュレル内務相は、メフメト・クルチラル警察総局長やカーディル・アイアンカラ警察局長とともに捜査に加わった。ギュレル内務相は、ディクメンにある警察宿舎の壁に2発のロケット弾が命中したが死傷者は出なかったこと、襲撃が行われた場所で1丁のロケットランチャーと不発弾、そして非合法組織と関係のある布切れの一部が発見されたことを公表した。
■同様の襲撃
この襲撃は、公正発展党(AKP)と法務省にも同時刻に行われた襲撃とも類似点がみられることが注目された。これらの襲撃の後にも、その地域でDHKP-Cと関係のある布切れが発見され、この組織が政府の中枢に入り込むことができるということを誇示するために襲撃を行ったということが公表された。
■クムルラル事件の3周忌
これらの襲撃は、クムルラル通りで2011年9月20日に行われ5名の死者を出した爆発事件の3周忌の日に行われたことも注目された。
■襲撃の標的は警察のシンボルだった
アンカラの警察総局の付属ビルと警察宿舎が同時に狙われたこの襲撃は、非合法左派系組織が自身の力量を誇示したいがために行ったのか、それともこの組織は利用されていて、シリアで起きている内線との関連性としてトルコ国内の安全保障に対する警告を発することが目的だったのかという議論を呼び起こした。
■標的は警察関係の建物だった
シリア内線が、大きな要因により最早国内の安全保障問題という状態に変化し始めたトルコは、金曜日の夜にアンカラの心臓部で起きたロケット弾によるテロ行為によって震撼した。第一報によると、この襲撃は21時半頃に行われたという。標的は警察総局の付属ビルとその向かい側にある警察宿舎であった。2人、あるいは3人であったと推測される犯人らは、3発のロケット弾を発射したと第一報は伝えている。これらのロケット弾の内1発は警察総局の付属ビルの4階に、そしてもう1発は警察宿舎の建物裏から2階に命中した。3発目は庭部分に落下し、爆発しなかったと伝えられた。2発のロケット弾が壁にめり込んだにもかかわらず、死者は出なかった。
■警察関係の建物の立地…
襲撃の様相を明らかにするため、現場で検証された地政学的な特徴を把握する必要がある。トルコ大国民議会の正門前から始まるディクメン通り沿いには、国会議事堂から少し離れた場所に警察総局のビルがある。そして警察総局のビルの隣で2つ目の坂道に差し掛かる2本の通り交わる地点の先に警察宿舎が位置する。警察総局の付属ビルは警察総局本館と警察宿舎の間に位置している。警察宿舎の建物裏にはディクメン渓谷公園がある。
警察総局のビルと警察宿舎があるこの地域は、アンカラの都市地理学の中で警察の存在を象徴する文化的特徴を有している。つまり、この場所は警察を象徴する都市の立地的特徴を備えているのだ。この状況は、今回の襲撃により警察と特にアンカラの、より広く言えばトルコの社会的秩序を標的としたという疑惑も浮かび上がってくるのである。
■建物の表側には襲撃しなかった
象徴としての警察を標的としていたとするならば、テロリストらがディクメン通りから警察総局の本館と、その少し前方に位置し同じ通り沿いに建つ警察宿舎にロケット弾を発射していれば、彼ら自身の襲撃目的という観点からもより大きな被害をもたらす場所に命中させることができたはずである。しかし、ディクメン通りから見ると右側には士官学校が位置しており、且つ前方と後方のそれぞれに退路を確保するという観点から視察をした結果、この通りからの襲撃はテロリストらにとって最善とは判断されなかった可能性がある。
■建物裏から攻撃した
未確定の第一報によれば、テロリストらは今回の襲撃をメスネヴィ通りの終点で且つチェティン・エメチ大通りに入る地点で行ったという。襲撃地点の右側には警察総局の付属ビルが、左側には警察宿舎がある。またこの襲撃地点の通り沿いで、警察宿舎前に走る2本の通りの交差点には地下道への入り口がある。警察宿舎の後方にはディクメン渓谷公園もある。テロ行為を行うにあたって、この通りが退路の観点からも適切であるとして選ばれたことがわかる。テロリストらはこの理由で、付属ビルと警察宿舎の後方を攻撃したと推測される。
今回の襲撃と襲撃方法は、2つの可能性を当初の計画として浮かび上がらせている。
1つ目の可能性は、左派系テロ組織が自身の力量を誇示したいがために行ったということである。そして2つ目の可能性は、テロリストによる襲撃がシリア内戦の周辺部でトルコに対し、国内の安全保障への警告を発するために行われたということである。襲撃後に行われた1回目の事件解析は、このような形で要約することができる。
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( 翻訳者:指宿美穂 )
( 記事ID:31487 )