タイイプ・エルドアン首相が先週発表した「民主化パッケージ」の一環として、昨日、ワクフ総局議会の決定のもと1615年の歴史を持つモル・ガブリエル修道院の土地がシリア正教団体(ジェマート)に返還された。少数派のジェマートに対する財産返還としては、過去最大の規模である。返還された土地の面積は、244,000㎡(24,4ha)である。
■返還は完了
マルディン県ミディヤト郡ギュンギョレン村のシリア正教デイルルムル・モル・ガブリエル修道院とそのワクフ(財団)は、2012年4月4日にワクフ地域局に返還申請を行った。そして昨日開かれたワクフ総局議会の会議で、同修道院に関する返還申請が審議された。ワクフ総局会議ではワクフ総局会長のアドナン・エルテムが議長をつとめ、歴史的な修道院の土地をモル・ガブリエル・ワクフに返還することが決定された。モル・ガブリエルは、これまでジェマート財団に対し行われてきた財産返還の中で最大の規模である。397年に設立されたモル・ガブリエル修道院は、「シリア正教の聖都」とも呼ばれている。
■返還手続き
エルテム会長は、今日まで250件の返還申請に肯定的な返答をしたこと、600件の申請を文書記録がないため却下したこと、500件の申請は現在評価段階であることを明らかにした。エルテム会長は、返還のプロセスについて次のように語った。
「ワクフ総局議会による決定後、土地の登録に2か月ほどかかります。ワクフはこの決定をみずからの構成員に通知してから2か月以内に不動産の名義を我々のワクフからデイルルムル・シリア正教修道院ワクフに変更します。返還手続きはこれで完了します。我々が決定を下しただけでは不動産の返還は完了しません。我々の決定は、法的手続きの第一段階にすぎません。我々ワクフ総局では、まず議会が肯定的決定を下した後、権利書を作成し、速やかに土地の登記を行ないます。」
■司法の決定がある
「ワクフ総局議会では、すでに司法の決定が下されていることが議論されました。この修道院の土地は我々のワクフのものではないという判決がすでにありました。しかし我々は議会で修道院返還の合法性を審査しました。もちろん我々はこの件に関する司法の決定を重視しています。しかし法律でははっきりと『(返還手続きは)ワクフ総局議会の肯定的決定がなされた後』と定められています。つまり、これはまず我々が決定を下さなければならない問題であり、司法が判断するのはその後です。今回問題になったのは、モル・ガブリエルからの申請と司法の決定が同時期に行われたということです。しかし我々はワクフ総局議会として、すでに司法で取り上げられ決定された数多くの件に関し、決定を下しました。なぜなら司法がすでに決定を下していても、我々も合法性の審査を行なっているのです。」
ビュレント・アルンチ副首相もツイッター上で、この決定が有意義なものになることを願い、返還に貢献したすべての人に感謝した。
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Asahi 中東マガジンでも紹介されています。
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( 翻訳者:篁日向子 )
( 記事ID:31634 )