盲目の反抗:青少年の多感な時期を考える
2013年10月01日付 Iran 紙


【ファリーバ―・ハーン・アフマディー】青少年の反抗は、社会に犯罪が生まれる第一歩であり、専門的な管理・統制によって、彼らを健全な生活の道へと導くことが可能となる。

 一部の犯罪者(あるいは今日の強盗恐喝犯であり、かつての家庭内暴力者だった者、と言った方がいいかもしれない)の過去を一瞥して分かるのは、彼らはまさに自らの恐喝行為、暴力行為、窃盗行為を青少年時代から始めていること、そしてその温床は家庭内にあることである。

 一部の父母の心の内に寄り添い、彼らの話に耳を傾けて分かるのは、今の世の中が何と無情なものとなってしまったのか、ということである。青少年らは自らの極端で、時に不条理な願望を叶えるために、自分たちの両親に暴力をふるっているのである。

 〔親への〕心理的な圧迫、窃盗の脅迫、家庭の経済状況に対する無関心、そして同年代の者たちに対する対抗心、これらがより合わさって、反抗的な青少年らが家庭内に深刻な危機的状況を作り出し、そこで卑劣な暴力行為に及ぶ原因となっている。

 少し前、買い物のためにある店に立ち寄ったときのこと、私はそこで恐るべき現場を目の当たりにした。ある通りの隅に、プラスチック製品を売る店があった。その近くを通り過ぎたときのこと、店主の男性はすでに店の前にあるスタンドを片づけ、ブラインドを下げているところだった。その時、私は店主の男性と彼の息子が何事かを言いあっていることに気がついた。店主の息子が店内に入ると、父は息子を見て笑顔を浮かべて、店先にある「プライド」車〔※イランで一般的な大衆車〕を指し示しながら、ズボンのポケットから車のキーを取り出した。すると息子はプライド車を見るなり、父に殴りかかり、このように叫んだのだ。「プライドなんて欲しくねぇって言っただろう。もっといい車が欲しいって言わなかったか」。

自らが蒔いた種

 児童・青少年臨床心理学者のカームラーン・アスギャリー博士は、自らの願望実現をめぐって親と青少年の間で起きている深刻な対立について、次のように述べている。「青少年は成熟期に入ると、自分の願望を変化させます。そうした中で、両親との間で深刻な対立も生じます。こうした対立が家族関係における深刻な危機へと進展することもあるのです」。

 子供が青年期に入ると、両親は自分の子供をコントロールする能力をかなりな程度失ってしまう。実際、子供は青年期に入ると、〔それ以降自らの性向を〕変えることがあまりなく、両親の教育も効果がない。それゆえ、子供たちのパーソナリティーが完全には固まらないうちに、子供たちの教育問題をしっかりと考えることが必要なのである。なぜなら、成熟期に入ってしまうと、子供たちのパーソナリティーの85%が形成されてしまい、それ以降、子供たちの行動様式を教育によって変えることは、困難になるからだ。

 アスギャリー博士は、多くの要因が青少年を攻撃的・好戦的・威嚇的な性格へと育てると指摘した上で、次のように言う。「限度を超えた受動的・要求的な教育や両親による〔過度の〕叱責、ケアされないまま残された子供時代の〔心の〕キズ、青少年の放任と彼らの教育への無関心、鬱や多動性障害などの障害はどれも、青少年が自分自身や家族、そして社会に対して深刻な問題を抱える際の原因となるものです」。

 心理学者で家族カウンセラーのアッザム・アスギャリー博士は、自らの願望を叶えるために両親を圧迫し、それがかなえられないときは窃盗の脅迫までするような青少年は、反社会的階層に位置づけられると指摘する。こうしたグループは数の上では少ないものの、行動に問題を抱える彼らは、青少年犯罪者の多くを構成しているという。

 こうした障害は青年期に入った初期の頃、つまり12歳から14歳の間に始まり、子供たちや両親を脅迫したり、軽微な盗みを働いたりする。青少年の間に存在するこうしたグループは学校で、その他の生徒たちに暴力をふるう。こうした障害は男の子に多い。虚言、隠蔽、暴力の脅し、詐欺などは、こうした行動障害の結果であり、矯正されない場合、これらの青少年たちは家族から拒絶され、社会で各種の犯罪に手を染める強盗・恐喝犯になってしまう。

 恐喝や窃盗、両親への圧迫といった問題が起こるとき、反社会的な青少年たちは社会の中で大きな被害に遭っており、その他の青少年たちから完全に孤立しているようにも見える。彼らが牢屋暮らしをしたり、麻薬密売に手を染めたり、麻薬中毒に陥ったりしてしまうのは、こうした状況においてなのである。

 子供が健全に育つためには、適切で規律ある、教育への責任感をもった家族が必要であり、そうした家族では両親に対する脅迫や暴力は一切見られない。

子供にむやみにモノを買い与えちゃダメ

 アスギャリー博士は子供にむやみにモノを買い与え、子供中心主義が家庭内に蔓延することの問題を指摘した上で、「残念ながら一部のテレビ番組を視聴したり、家庭内の教育システムに混乱が生じたりすることが原因で、両親、特に若い母親の中には極端な道を選択し、子供の精神的・根源的・人格的な必要を無視して、彼らに物質的な必要物ばかり与えるようになる人も見受けられます。その結果、家庭内に節操のない消費の温床が作り出されているのです。無節操な消費や同年代との無意味な競争に際限はありません。高価な携帯電話の購入に取り憑かれるといった症状の中に、こうした無節操な消費の影響を見ることができます」と指摘する。

 家庭にはこうした問題を修正する、根本的な役割が与えられている。もし家庭が自然なシステムや適切な機能を取り戻すならば、青少年が自らの極端な願望をかなえるために、脅迫的な行動に出るようなことは、通常抑えられる。モノへの無節操な愛情や〔モノの〕過度な飽和状態が、家庭に機能障害をもたらすのである。

 子供の養育義務に対する意識が低かったり、自分自身が陥っている問題の解決に手一杯だったりする父母は、その無関心によって、知らず知らずのうちに、本来あるべき生活の道を子供たちが見失う原因となっているのである。

〔‥‥〕



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:白糸台国際問題研究所 )
( 記事ID:31645 )