犠牲祭、いつもの風景―羊を切ろうと負傷者続出、逃げ出す牛や羊
2013年10月15日付 Radikal 紙
今年の犠牲祭(クルバン・バイラム)でも、お馴染みの光景が見られた。お決まりの表現をあえて繰り返すならば、素人の屠殺者が病院へ駆け込み、市場が血の海と化し、逃げ出した犠牲祭用の家畜を市民が追いかけ回し、再三警告が行なわれてきたにもかかわらす子どもたちの目の前で動物が屠られた。
■カイセリでは交通がストップ
犠牲祭の初日、カイセリでは概ね規則にのっとった形で屠殺が行なわれたが、メリキガーズィとコジャスィナンでは屠殺所へ向かう道が混雑した。
屠殺はパストゥルマとスジュクを製造する精肉所や屠殺場、農場、家畜の販売所などで行なわれた。屋内の市場も屠殺所として用いられた。大型の動物を切る際には鎖巻上機が用いられた。屋内市場では清掃員が血を洗い流していた。
メリキガーズィ郡セルケントの家畜販売・屠殺所とコジャスィナン郡カルプズアタンの家畜販売・屠殺所では、違法駐車と道路状況のためにしばしば渋滞が発生した。そのため市民は屠殺所へ辿り着くのに苦労した。
■素人屠殺人たちが病院へ駆け込んだ
経験の浅い屠殺人たちは、犠牲祭用の動物を屠る際、みずからも怪我を負い、病院へ殺到した。イスタンブルで負傷した市民は、ある者はみずからの足で、ある者は救急車でオクメイダヌ教育・研究病院へ向かった。
治療を受けた素人屠殺人たちは、主に手や脚、指を負傷していた。
■雄牛が逃走、警官が追いかけた
ブルサの中心部ユルドゥルム郡では、学生寮の前まで連れてこられた雄牛が軽トラックから降ろされる際に逃走し、警官と役所の捕獲班が追いかけた。雄牛は麻酔銃を撃たれ捕獲された。
イェシルヤイラ学生寮へ寄付されたこの雄牛は、学生寮の前まで連れて来られた際、軽トラックから飛び降りた。逃げた牛を捕獲するため、警官とユルドゥルム郡の捕獲班が集まった。バルトハーネ地区へ逃げた牛は、ギョクス通りで追いつめられた。逃げ道をパトカーが封鎖したところで、ユルドゥルム郡の捕獲班が雄牛に麻酔銃を撃った。首に針が命中し大人しくなった雄牛に、市民たちは窓から草を投げた。この牛は学生寮の前まで連れて来られ、屠られた。
■歩こうとしない家畜を背負う市民も
犠牲祭の初日、ボルでは家畜を買うため市場を訪れた市民たちに面白い光景が見られた。犠牲祭用の動物を背負って連れていく者もいれば、購入した家畜を無理やり車に乗せる者もいた。
犠牲祭の初日に家畜を買おうとする人々が、クルチャイ地区の家畜市場に殺到した。朝方から市場を訪れた市民たちは、時間をかけて値段交渉を行ない、購入した動物を車へ乗せようとしたが、そこで面白い光景が見られた。
小型の家畜を背負って運ぶ者もいれば、足の間に挟んで歩かせようとする者もいた。
父親らとともに市場を訪れた子どもたちは、犠牲祭用に買われた家畜を可愛がった。動物を車のトランクに詰めこんでいく者もいた。
サールク地区では屋外で家畜が屠られた。幼い子どもたちは、家畜が屠られる瞬間を、恐怖に満ちた目で見つめていた。怖がった子どもたちは、大人たちによって屠殺場から遠ざけられた。
■子どもたちの目の前で屠殺
ギレスンではこれまでと同様今年も屋外の子どもたちの目の前で屠殺が行なわれた。
今年はギレスン県の中心部では市民の多くが村もしくは搾乳場で屠殺することを選択したため、アクス・フェスティバル広場の横に設置された家畜市場では、例年の犠牲祭に比べ静かであった。しかし市場で家畜を買った者の多くが、公共の屠殺所や指定された場所ではなく、屋外で屠殺を行なった。ある者は草や砂利の上で、ある者はゴミ集積所の周りで動物を屠った。市が準備した屠殺所を利用した市民は非常に少なかった。
例年同様、小さな子どもたちの目の前で屠殺が行なわれている様子が目立った。屠殺の光景を携帯電話で撮影している子どももいた。
■警告の効果はなし、子どもたちがまたも目撃
専門家たちが、幼い子どもに屠殺の光景を見せないようにするべきと警告したにもかかわらず、アンタルヤではやはりお馴染みの光景が繰り広げられた。子どもたちは近くで屠殺を目にした。写真からも、一人の子どもが屠殺の光景を携帯電話で撮影している様子が分かる。
犠牲祭のためにアンタルヤで礼拝を行なった市民は、市が事前に指定した屠殺所で家畜を屠った。周辺地域では、市民たちは家の前を屠殺所に選んでいた。
屠殺による血の海を、子どもたちも近くで見ていた。特に幼い子どもには心理的に負の影響を与えるため見せないようにとの専門家らの警告は、今年も聞き入れられなかった。街の中心部では禁止されているにもかかわらず、家の前で屠殺が行なわれる様子も見られた。
■雄牛、川へ飛び込む
リゼでは持ち主の手から逃げた犠牲祭用の雄牛が畑へ侵入し、捕獲しようとする人々を攻撃した。獣医が麻酔銃で大人しくさせようと試みたものの牛は川へ飛び込み、4時間に及ぶ捕獲劇の末、ようやく捕獲された。
ドルトヨル村でメフメト・トプタン氏が所有する雄牛が屠られる直前に逃げ出し、斜面を転がって幹線道路へ出た。この牛はしばらく逃走を続け、サラルハ川の岸へ下りた。リゼ県の捕獲班は麻酔銃で落ち着かせようと試みたものの、牛は捕獲しようとする人々を攻撃し、川へ飛び込み泳いで対岸へ渡った。しかし道に出ることができずに戻り、疲れ果てたところを捕獲され、川のほとりで屠られた。
雄牛の所有者であったメフメト・トプタン氏は、家畜小屋で牛に麻酔注射を打ったものの麻酔が効く前に針が抜け、怯えて逃走したのだと語った。トプタン氏は、「牛は崖から転げ落ち、道に出た。川を渡った。全く捕まらなかった。4時間後にようやく捕獲できた」と話した。
■イスタンブルも血の海に
犠牲祭になると毎年イスタンブルのボスポラス海峡で見られる光景が、今年も変わらず見られた。ウスキュダルとその周辺の屠殺所で屠られた家畜の血が、下水道を通ってボスポラス海峡に流れ込んだ。下水道が海へ流入するベイレルベイ海岸の一部は、これまでの犠牲祭と同様に赤く染まった。
また、イスタンブルのヨーロッパ側でもお馴染みの光景が見られた。洗車スタンドでは屠られた家畜の血が下水に混じった。屠殺はやはり子どもたちの目の前で行なわれた。子どもたちの中には、屠られる前の家畜を可愛がり、餌をやっている様子が見られた。バイラムパシャ区が用意した屠殺所では、衛生的に屠られていた。
本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介されています。
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( 翻訳者:篁日向子 )
( 記事ID:31686 )