南キプロスのニコス・アナスタシアディス首相は、経済危機に伴って南キプロスの人々が北キプロストルコ共和国(KKTC)の不動産委員会 に土地の売却を申し込むケースが増えていることに言及し、「不動産を競売にかけないように。トルコがキプロスの土地を買い占めれば、交渉で我々が不利になる」と警告を発した。
KKTCで設立され欧州人権裁判所に公認されている不動産委員会へ、1974年以前から北キプロスに不動産を持っていた[キプロス共和国の]ギリシャ系住民からの売却申し込みが急増している。キプロス交渉を控え、準備を進めているアナスタシアディス首相の指摘は、こういった現状が背景にある。2006年に設立された委員会には、これまで5399件の申し込みがあり、トルコは437名のキプロス[南部]住民に1億3859万3千ポンド(約4億4千万リラ)を支払っている。売却された土地の合計は900万平方キロメートルに上る。
アナスタシアディス首相は、一昨日ギュゼルユルト出身のギリシャ系住民の会合に出席した際、KKTCが所有地を急速に広げていることに言及し「交渉のテーブルに着いた際、 所有権の問題で我々が不利になる一方だ。経済状況が厳しいのは理解するが、トルコ側に土地を売らないで欲しい」と話した。
トルコとKKTCの「3月までに解決を」という呼びかけに対しても触れ、「トルコが行動を起こし、国連安保理とEUの決定を推し進めればいい。3月と言わず、年内に解決できるだろう」と述べた。
トルコがキプロス島の北部を不当に占領していると主張し、信頼増加の措置として強硬に要求している[緩衝地帯にある]マラシュ地区についても早急に返還するよう訴えた。
アナスタシアディス首相がマラシュ地区を急に要求してきた最大の理由もまた、不動産委員会への売却申し込みだ。マラシュ関連の売却申し込みは全体の5,339件のうち670件。6平方キロメートルのマラシュで申し込みどおりの売却が進めば、大部分が「トルコ所有」となり、返還を要求することもできな くなる。
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Asahi 中東マガジンでも紹介されています。
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( 翻訳者:湯澤芙美 )
( 記事ID:31708 )