ハーディー・ハーメネイー師「イスラームは民主主義を強調している」
2013年11月12日付 Mardomsalari 紙


 「イマームの路線に従う諸勢力会議」の総書記を務めるハーディー・ハーメネイー師は、イスラームと民主主義は互いに対立しているという西洋人の見解に言及し、「イスラームは民主主義や人民主権と対立していないばかりか、むしろそれを強く主張するものである」と述べた。

※訳注:ハーディー・ハーメネイーはアリー・ハーメネイー最高指導者の実弟で、改革派に近い存在として知られる。

 ホッジャトルエスラーム・ヴァル・モスレミーンのセイイェド・ハーディー・ハーメネイー師はムハッラム月に入ったことを記念してホセイニーイェ「ファーテメ・アッザフラー」で行われた式典の中で、初代イマーム・アリーのハディース(伝承)を引きながら、次のように指摘した。「アリー閣下のお言葉のなかに、私見では人民主権(マルドムサーラーリー)、そして今日民主主義(デモクラシー)の名の下で国際社会に通用しているものを支持すると思われる、最も普遍的な文章が存在する。その文章の意味とは、すなわち『国家を人民一人一人の肩の上以外に置くことはできない』というものである」。

※訳注:ホセイニーイェとは、ホセインをはじめとする預言者一族の殉教に関する宗教行事を執り行う施設のこと。ムハッラム月はイスラーム太陰暦の1月で、同月に入ると、シーア派信徒らは第三代イマーム・ホセインとその一族郎党がウマイヤ朝軍によって無残に殺害された日を記念して、追悼行事を執り行う。そのクライマックスが、ムハッラム月9日(タースーアー)と10日(アーシューラー)である。また、「ホッジャトルエスラーム・ヴァルモスレミーン」とは、アーヤトッラーよりも学識・地位が一段下のイスラーム宗教指導者に対する尊称のこと。

 同師は続けて、西洋に住む一部の人たちや、国内の一部の人たちの中には、イスラームは民主主義と何の関連もないと考え、そのように主張している人たちがいると指摘し、こうした主張は誤ったものだと強調した上で、「民主主義的人民主権はイスラームの法規範や考えと完璧なつながりがある。なぜなら、神の法の主権にあっては、〔イスラーム教徒の〕後見人・監督者(ヴァリー)によって出された命令こそ従わねばならないものだが、この命令に従うことは社会の運営において人民が担うべき役割と、何ら矛盾しないからだ」と述べた。

 「イマームの路線に従う諸勢力会議」の総書記はまた、イランをはじめとするイスラーム社会には議会というものが存在すると指摘した上で、さらに「事実、我々は今日自分たちの社会を、議会という枠組みを通じて運営している。社会における議会の重要性には極めて大きなものがあり、そのためにわれわれは人民が〔議会選挙に〕参加し、投票することがいかに有用で重要であるかを理解しているのである」と続けた。

 政治活動家である同師は、一部の人がイスラームには民主主義とも人民主権とも対立点はないと指摘していることに触れ、「〔‥‥〕イスラームは民主主義とも人民主権とも対立していないどころか、むしろそれらを強く主張すらしているのである」と言明した。

 同師は続きの中で、カルバラーで起きた出来事や伝説を歴史的に分析するにあたっては、実在した人物としてこれらの人たちに思いを寄せるべきではないと強調し、「我々はカルバラーの物語では、〔ウマイヤ朝のカリフである〕ヤズィードだとかイマーム・ホセインといった人物を、〔単なる〕一人の人物として理解するべきではない。そうではなく、これらの人たちを一つの大きな文化的潮流・出来事〔の象徴〕として理解すべきなのである〔※〕」と述べた。

※訳注:ここでハーディー・ハーメネイー師が述べているのは、ヤズィードやホセインを単なる歴史上の人物として捉えるのではなく、むしろヤズィードは悪の象徴、ホセインは正義の象徴‥‥という具合に、悪や正義に関する「大きな物語」の中で個々の人々を理解しなければならない、という主張である。こうした主張は1979年の革命を支えたカルバラー・イデオロギーを正確になぞるものであるが、恐らくはホセイン追悼行事で、聖人ホセインに個人的な願望実現の取りなしを求める傾向が、民衆の間でいまだ強いことを念頭においたものと思われる。



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:8411062 )
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