バルザーニー・北イラク大統領、トルコ訪問を総括「夢のようだった」
2013年11月20日付 Radikal 紙


北イラク・クルド自治政府のマスード・バルザーニー大統領はアルビルでの集会に参加し、「始まり」と評価したディヤルバクル訪問時に、経験したことの無いほどの関心が示されたと述べた。

バルザーニー大統領はトルコでクルド問題が平和的に解決されることを長らく願ってきたと述べた。また過去には トゥルグト・オザル大統領がこの問題に高い関心を示したがその力は及ばなかったとし、「タイイプ・エルドアン首相が今この問題の解決に向けて始めた対話を前向きにとらえている」と述べた。

■2局で放送された

イラク・クルド自治政府マスード・バルザーニー大統領の40分に及ぶスピーチはバルザーニー大統領が党首を務めるクルディスタン民主党の「クルディスタンTV」と「ザグロスTV」で放送された。
バルザーニー大統領は週末の、長年ぶりのディヤルバクル訪問について、宗教関係者らも参加し盛況となった集会で言及し、人々の関心に感謝していると述べた。クルド人のリーダーは次のように話した。

■「夢かと思った」

「ディヤルバクルで見た風景に、これは夢なのか現実なのかと思った。そこで以前非公式(無許可)にではあるがクルディスタンの旗(北イラクのクルド人自治政府が使用している旗)が掲げられているのを目にし嬉しく思ったことがある。しかし今回ディヤルバクルの町にクルディスタンの旗が公式にはためいているその風景は 非常に感慨深かった。」

■オザルとエルドアンを比較

マスード・バルザーニー大統領はトルコで故トゥルグト・オザル大統領と3度会見したと述べ、次のように続けた。「故オザル氏はクルド人が1つの民族であると言っていた。トルコのこの問題の解決に向けて努力もした。しかしその力は及ばなかった。AKP(公正発展党)と我々の間にも衝突が生まれそうだった。彼らにも我々にも間違いがあった。北(東部・南東部アナトリア地域)でPKKとの戦争があったことを我々は知っている。我々の目的はトルコに住むクルド人の権利を平和的方法で解決することである。

トルコで初めて平和的手法が議論されている。これが継続されると祈っている。クルド問題の解決は我々にとっても幸せなことだ。エルドアン首相はアルビル訪問時にクルド問題の解決に関し「もはやクルド人が否定されることはない」と述べた。私も対話と平和的手法での問題解決のためにあらゆる支援をすると話した。これは1つのチャンスだ。トルコでは軍やケマリストがこの問題の前でいつも障害となった。クルド人の同化は実現せず、クルド人が否定されることがないとなれば我々もトルコと政治において新たな時代を始めた。15年の後にトルコで真摯な政治が始まった。」

■ペルウェルを連れ出したのは私だ

バルザーニー大統領は「アメド」として知られるディヤルバクルで約400組の結婚式のために招待されたと聞き非常にうれしかったと述べた。さらに、「アメドでそのような式に参加できるのは私にとって幸せなことだ。ディヤルバクルに来る際、華やかになるようシヴァン・ペルウェルを連れてきた。実はシヴァンはそれほど乗り気ではなかったが、私の誘いを断らなかった。彼はこれまでに何度も招待されていたのだ。私が懇願したため断れず一緒に来た。もしも380ではなくこの2倍の結婚するカップルがいれば彼らにも我々からの贈り物を配れただろう。大きな興奮に包まれたディヤルバクルでシヴァン・ペルウェルとイブラヒム・タトゥルセスが「ペシュメルゲ」の歌を共に歌うのを聞き感動した。私にとって思ってもみなかったことだった」と述べた。

■「市役所訪問は素晴らしかった」

イラク・クルド自治政府のマスード・バルザーニー大統領はディヤルバクル広域市の訪問でも大きな感銘を受けたことを、以下のように話した:「市役所訪問での暖かな歓迎は世界のどこでも見たことがないものだった。クルディスタンの多彩な代表者を一所に見ることができることは喜ばしいことだ。このような歓迎を受け大きな感銘を受けた。エルドアン首相は私にクルド語で「ようこそ」と言った。これまでクルドを話す人などいなかった。あらゆることが素晴らしかった。この訪問はク ルド人にとって1つの始まりであった。新しい日、新しい時代が始まる。この解放の扉を閉じさせないことが必要だ。」

■「クルド会議はクルド人の一体性」

バルザーニー大統領はスピーチの中で自身にとって障害になっていると言われる全国クルド会議にも言及した。「クルド会議に唯一期待していることがある。それはクルド人を世界的に一つの民族として認めさせることだ。民族主義者ではなく平等、兄弟愛、人間の価値を認める、人間的な生活を我々は目標にしている。クルド会議では各党が党の力を誇示するのではなく、皆にとっての会議となる必要がある。」

バルザーニー大統領はシリアの北部でクルド人が多く住むロジャヤという地域についても言及し、「私はそこにいるクルド人がいかなる国家の助けも必要とせず必要なものを何とかするだけの力を持っていると明らかにした。しかしこの件ではPYD(民主統一党)はほとんど関わっていない」と述べた。



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

Tweet
シェア


この記事の原文はこちら
原文をPDFファイルで見る
原文をMHTファイルで見る

 同じジャンルの記事を見る


( 翻訳者:小野里ゆみ )
( 記事ID:32044 )