トルコの刑務所は、どこも満杯―首相は空にするといったが・・・・
2013年11月20日付 Hurriyet 紙


レジェプ・タイイプ・エルドアン首相は、ディヤルバクルで行った歴史的演説の中で、「山にいる人々(ゲリラ)が山を下り、刑務所が空になるのを我々は目にするだろう」という発言が誤って解釈されたとして、「私はあくまで夢を話しているのだ、だがあなた方は恩赦だと思っている」と述べた。サドゥッラー・エルギン法相が行った「刑務所は満杯だ」という説明は、首相の夢が実現には程遠いことを明らかにした。

エルギン法相は、昨日(11月19日)の法務省予算案会見で、合計収容可能人数が15万1,444人である359の刑務所に、受刑者11万1,923人、拘留者2万8,597人の計14万520人が収容されていると明らかにした。拘留者のうち76.8%が1年または1年以下、8.7%が3年以上、0.3%が7年以上拘留されているという。法相が公表した数字によれば、刑務所の空きは1万924人分の空きであり、857人が7年以上拘留されていることが明らかになった。

■欧州人権裁判所のランク付でトルコは5位

以下、エルギン法相の発言
「法曹界における刷新後、欧州人権裁判所での被起訴国ランキングでトルコが2位から5位になった。11月初頭時点で、(起訴件数は)ロシアが1万8,850件で1位、イタリアが1万4,600件で2位、ウクライナが1万3,400件で3位である。セルビアがトルコを抜いたことでトルコが5位に順位を落とし、起訴件数も1万2450件であった。人権保障審議会に対し11月時点で4,063件の訴訟が起こされ、そのうち1,706件が解決されて、(原告である)国民には慰謝料が支払われた。法相は、11月時点での憲法裁判所への個人による起訴件数が9,211件、そのうち3,950件が解決されており、オンブズマン委員会に11月時点で6247件の訴えが行われた。」

■行動計画は閣議へ

「欧州人権裁判所への起訴件数の削減を目的として、今後5年間の目標が明文化された「人権侵害防止に関する行動計画」の草案を準備した。行動計画の枠組みにおける関連機関との会議を行いながら、意見を取り入れた。行動計画は閣議の承認後、施行される。」

■刑務所は満杯

「トルコにある359の刑務所において、10月30日時点で、受刑者11万1,923人、拘留者2万8,597人の計14万520人が収容されている。拘留者のうち76.8%が1年または1年以下、8.7%が3年以上、0.3%が7年以上拘留されている。」
法相が公表した数字によれば、857人が7年以上拘留されていることが明らかになった。
「2001年に54%だった拘留者の割合は2012年末には23%に、2013年9月時点では20.1%に下がった。」

■収容可能人数を増大

「10月時点で、刑務所の収容人数は14万520人であったが、合計収容可能人数は15万1,444人だ。2012年に1万4,122人分、2013年に5,925人分の収容可能人数の増大が行われた。」
法相が公表したこの数字によれば、刑務所には1万924人分の空きがある。
「2002年以降234の刑務所を閉鎖しており、2017年までにさらに164の刑務所を閉鎖する。2002年に刑事施設で働く職員数は2万405人だったが、10月末時点では4万8,928人であり、職員数は92.5パーセントの増加だった。」

■裁判官および検事の数

「欧州評議会加盟国において、10万人あたりの裁判官の平均人数は21.3人、検事の平均人数は11.1人である。2002年にトルコで10万人あたり7.5人だった裁判官が現在 11.1人に、4.5人であった検事が6.2人に増加した」

■10年で177の裁判所

「この10年で、177の法廷が新たに建設されている。そのうち26か所が建設中であり、76か所は建設が完了した。」

■司法にはSATÜRNが

「トルコは、サターン(SATÜRN)という欧州評議会の司法における時間管理に関する取り組みに参加している。パイロット法廷での試みで法廷の理想的な審理時間を明らかになり、市民にもそれが保証される。パイロット法廷において明らかになった平均審理時間が法廷の壁に掛けられており、各機関へも文書にて通知された。」

■700の法廷にSEGBİS設置

「2012年には、すべての重罪裁判所と、刑事裁判所が置かれている700の裁判所へ、刑事裁判所、検察および刑事施設がビデオ会議システムによって審理できるようになる音声・映像伝達システム(SEGBİS)の設置が完了した。また、SEGBİSの設置が完了したこれらの場所には167の刑事施設も含まれている。2013年の末までには、さらに2,200機が設置される。」

■国会議員にイマーム・ハティプ学校の教科書

予算案の会見前に、国会議員らに初等および中等学校とイマーム・ハティプ学校で使用される「正義と法」という教材が配布されたことが注目を浴びた。野党議員らは「法務省が小学校や中学校で使用される教材を国会議員に配布している。この裏にはファーティフ・プロジェクトの宣伝が絡んでいる」と否定的な反応を示した。会見前に発言した共和人民党(CHP)のメヴリュト・アスランオール議員は、病気の拘留者および受刑者らの早急な回復を祈った。アスランオール議員は、9か月間法医学協会に呼ばれることなく、 見捨てられた囚人たちのために恥じているとし、「法医学協会を非難する」と述べた。



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:安井 悠 )
( 記事ID:32100 )