石油化学市場をめぐってイランとアメリカが火花:イラン、アメリカへの対抗策を計画
2013年12月17日付 Jam-e Jam 紙

 3年後のアメリカによる非在来型ガスの産出増加と石油化学製品の生産拡大に対応する形で、イラン石油化学産業は安価なアメリカ製石油化学製品の市場襲来に対抗すべく、新たな戦略の実施を至上命題としている。メフル通信によれば、イランは現在33兆立方メートルにも及ぶ採掘可能な天然ガスを埋蔵し、在来型ガス埋蔵国としては世界最大というタイトルを引っさげている。しかし「シェールガス」をはじめとする非在来型の石油・ガスの採掘・精製技術を手に入れたことで、アメリカはイランやロシア、カタールといった世界のガス・石油化学産業国の命脈を奪いかねない存在となっているのだ。

 アメリカ産非在来型ガスのガス市場への参入は国際価格に影響を与え、東アジア諸国やEUといったガスの大量消費国らを喜ばせている一方で、ガス輸出国の経済的な利潤を大いに蝕んでいる。

 他方、シェールガスの生産は2017年までに、世界のポリマー・石油化学製品の巨大輸出国にも大きな影響を及ぼすことことが予想されている。公表された複数の正式報告書によれば、2013年初めから現在まで、アメリカによるエタンの余剰生産能力の増加に伴って、同国の石油化学産業界ではエチレン生産を目的とした投資額が150億ドル以上に上っているという。また、アメリカのエチレン生産能力が今年に入ってから約360万トンに拡大されたことに伴い、80億ドル相当が石油化学や化学産業、各種ポリマー・ポリエチレン製品の生産に投資されたとされる。国際的に信用の高い複数の機関の予測によれば、2016年か2017年までに〔‥‥〕アメリカの各種ポリマー製品の生産能力は市場沸騰点にまで達する可能性があるという。

 こうした中、アメリカ製の石油化学製品の市場参入によって、イランやサウジアラビア、カタールといった国々は価格の引き下げと市場の保持のために、新たな方針を策定し実行することが間違いなく求められるようになるだろう。

 モハンマド・ハサン・ペイヴァンディー氏はメフル通信のインタビューに答えて、イラン石油化学産業が直面している新たな課題について、「現時点では、シェールガス層からガスを生産し、最終的に非在来型ガスからエタンやエチレン製品を製造するためにかかるコストは、在来型ガスによるものと比較すると格段に高い」と指摘する。

 国営石油化学公社の副社長を務める同氏は、イランのエチレン生産量は〔‥‥〕新たな石油化学コンビナートの稼動によって増加する見込みだと述べつつ、「にもかかわらず、石油化学製品の多角化を図ることで、アメリカ製の安価なポリマーの流入にともなう諸問題が最低限に抑えられるよう、鋭意努力するつもりだ」と言明した。

 国営石油化学公社の取締役会に名を連ねる同氏はまた、〔石油化学製品の多角化に向けた〕対策の一つとして、メタノール工場をプロピレン工場に転換することが現在検討中だと指摘した上で、「石油化学産業では、天然ガスから直接プロピレンを製造することが可能である」と述べた。

〔‥‥〕

 イラン石油化学産業雇用者組合のアフマド・マフダヴィー事務局長も、メフル通信のインタビューに対して「埋蔵するシェールガスや非在来型ガスを背景としたアメリカの石油化学製品の生産拡大に合わせて、イラン石油化学産業も新たな戦略の実行を至上命題に位置づけてきた」と述べた上で、「非在来型ガス層からのガスの産出は、原油価格が〔1バレル〕100ドル以上に上昇したことで、経済合理性を有するようになっている」と指摘した。

 同氏はさらに、「現在アメリカの他に、中国やインドといった国も非在来型ガスの生産を計画している」と明かした上で、「非在来型のガス層からのガス生産の増加は、〔在来型の〕ガス生産国だけでなく、石油化学製品の輸出国にとっても、深刻な課題を提起するものであることは間違いない」と明言した。

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( 翻訳者:8410068 )
( 記事ID:32376 )