シリア:バルカン半島からシリアへの戦闘員の流入
2013年12月27日付 al-Hayat 紙
アレッポ近くの「ダーイシュ」拠点で
アレッポ近くの「ダーイシュ」拠点で

■国際治安機関の監視下で、ボスニアから「ダーイシュ(イラクとシャームのイスラーム国)」へと開かれた道

【ムハンマド・M・アルナーウート】

シリアをめぐるジュネーヴ会議開催へのカウントダウンが始まるとともに、「ヨーロッパ人ジハーディスト」の役割は終わりに到達したようだ。というのは、国際的な治安関係及びイスラーム関係の公的機関が最近になって、「ジハード」の名目でのシリア立入を禁ずるという統一的立場をとるようになったからである。こうした動きは今月(12月)5日以降、欧州連合(EU)の公式の動きに合わせて進んでいる。EUは現在シリアにEU加盟国からの戦闘員1000人がいることを認めており、バルカン諸国との調整に向けて動いている。シリア国内のバルカン諸国出身の戦闘員の数はおよそ500人と見込まれており、その大半がボスニア、コソボ出身である。

コソボのムフティーとその息子
コソボでは、同国政府とマシーハ・イスラーミーヤ(イスラーム・コミュニティ組織で、国内ムスリム住民の宗教的事柄を独自に判断・決定する自治機関を持つ)が、コソボのメディアが、2012年以降何十人もの自国民が戦闘に加わるためシリアに行っていると報じたのに対して沈黙を守るという共通姿勢を維持してきたのが注目されていた。また2013年を通して政府とマシーハ・イスラーミーヤの沈黙に対する批判が高まったにもかかわらず、その「完全な沈黙」がさらに多くの若者をシリアに向かわせ、「テロリスト」として分類される「ヌスラ戦線」やその他諸組織と共に戦闘に加わるのを助長したことも注目されていた。一方でこの「完全な沈黙」の意味するところが、コソボのムフティーであるナイーム・トルナヴァ師の息子、ハーリス・トルナヴァ氏がSNS(ソーシャル・ネットワーク・サービス)上で、「殉教者として朽ちるために」シリアに行くことを望むとつぶやいたことによって明らかとなってきた。そのつぶやきが発せられたのは、父親のナイーム・トルナヴァ師がムフティー三選を可能にするためにマシーハ・イスラーミーヤの憲法を変更しようとしているときであった。マシーハ・イスラーミーヤの最高評議会議長のジャービル・ハミーディー氏は公正な人物として知られ、彼はコソボの若者らがリクルートされてシリアに向かうことや、同一ムフティーの三選を禁じている現行憲法の変更に強く反対していた。ナイーム・トルナヴァ師は同議長を排除することにより、数週間前にムフティー三選に成功した。

(後略)



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:辰巳新 )
( 記事ID:32410 )