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■2013年モロッコ経済は5%の成長
【ラバト:ムハンマド・シャルキー】
モロッコ経済は年の始まりよりも良い形で2013年を終え、2012年の2.7%と比較して、生産面で5%に達する成長を記録した。2012年は、第一次政権のメンバー間の政治的対立に加え、雨不足、世界経済の実績低下、全会計での財政赤字の増加、抗議行動の増加などにより、経済にとって困難の年であった。
モロッコは過去2年間「アラブの春」とユーロ圏の危機、国際的な価格上昇の影響を被っていた。これにより、経済に約200億ドルの債務と社会的費用という負担が課され、10年間の借入に相当する国庫借入金を2年間で生むことになった。そして、エネルギー価格の上昇は消費者の財布に反映され、さらなるインフレにつながった。
世帯消費と大卒者の雇用機会は記録的な割合まで縮小した。そして、国際通貨基金(IMF)は60億ドルを超える信用枠を付与し、政府の利益を助ける役割を果たした。またその信用枠は借入利率の安定に貢献し、信用格付けにある程度の回復力を持たせた。これによりモロッコは、周辺のユーロ圏よりも良好な条件で借り入れることができた。
また危機には社会的基金の備蓄の減少もあった。その基金には、(燃料の)価格支援のための補償基金や年金基金があり、それらの改革が、財政不均衡と社会的難題の対処における政府の選択を支援する条件となった。労働組合は、これらの基金の侵害はいかなるものであれ獲得された社会権の侵害だと見なしている。そしてこのことは、来る数カ月の間に予想される自治体への交付金が待たれる中、選挙基盤に対する半イスラーム的な政府の困惑、躊躇(ちゅうちょ)、恐れを説明している。
商工業・新技術省の報告書によると、国際的な状況と地域の環境は「対外経済関係にマイナス方向に反映された。そして、貿易収支は収入において黒字の状況から、昨年950億ディルハムに達する赤字へと推移した。その結果として、商品・サービスの輸入に対する輸出の収支比率は、2000年から2006年の間の86%から2007年から2012年の間の73%まで後退した。これにより、欧州連合(EU)、米国、トルコ、アラブ諸国、ラテンアメリカ諸国、アフリカ諸国との地域自由貿易協定を遵守するために、対外貿易金融通貨備蓄を追加投入する必要があった」。
社会と投資の支出が増加し、財政赤字は年末時点で約5.5%と推定された際には、税収の減少により国庫も損害を被った。
難しい情勢にもかかわらず、IMF、国際復興開発銀行(世界銀行)、中央銀行、(チューリッヒの)世界経済フォーラムは、モロッコ経済は「徐々に危機から抜け出し、海外からの投資と融資の受け取りの継続的な増加と高い成長率を維持している。そして、これらの投資は22%増加した(政治的安定性と、新憲法の採択、個人的・集団的自由、女性の権利、環境保全、国際基準の分野における新法令の承認といった、政府が以前に行った諸改革のおかげである)」ということに同意した。
これらの機関が予測したところでは「経済成長は今後2年間の平均でおよそ4%と見込まれるペースを維持し、金融赤字は2014年に5%以下に抑えられ、2016年に3%に達するところまで減少するだろう。そして、同年には大規模プロジェクトの完成が見込まれているが、その中には例えば、タンジェ・カサブランカ間の高速鉄道(TGV)、地中海沿いの第3の貿易港、サフィ、ダフラ、ナドールの港である。加えて、農業分野での「緑のモロッコ」計画や、観光分野の計画(1500万人の観光客受け入れるもの)もある」。
(後略)
本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介されています。
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( 翻訳者:田村颯 )
( 記事ID:32498 )