Murat Yetkinコラム:エルドアン、権力集中のつけ
2014年01月11日付 Radikal 紙

エルドアン首相は、選挙の年を迎え、できるだけ権力を自身のもとに集めることを求めたが、重い荷を負っている。

裁判官・検察官高等委員会(HSYK)法改正案を政府が国会へ提出した1月10日に、HSYKからほとんど反乱声明のような発表が行われた。

66ページに及ぶこの発表では、政府はHSYKを政治化しようとしており、この措置は要約すると政府の1組織としようとしていると告発されている。法相に特別な権力を付与しようとしていることを批判していた。下部の署名は同委員会副委員長のアフメト・ハムスィジのものだった。
ここに、(HSYKという)システムが内側から朽ち始めていることを示すいくつかの要素が見られる。

第1に、法相に過剰な権限が与えられることを批判しているこの委員会の委員長は、ベキル・ボズダー法相だ。

第2に、HSYKが発表を行うことは、明確に禁止されていた。禁止の理由は、HSYKが12月24日に行った発表である。この発表でHSYKは、政府の12月21日の司法警察規則を「憲法に反する」として批判した。政府はこの規則で、検察官が捜査に関して前もって行政に知らせることを求めていた。タイイプ・エルドアン首相がこの規則を発表したのは、12月17日に始まった大汚職作戦において、前内相の息子が、警察関係者であったにも関わらず拘留された(その後逮捕された)ためであった。行政裁判所は12月25日にこの規則を無効にしたが、エルドアン首相は警察の一掃を始めた。汚職作戦の後、フェトフッラー・ギュレン師と支持者らに目を向けていた。彼らのうちの多数も警察や司法の内部にいた。エルドアン首相はエルゲネコン、バルヨズ、KCKなどの捜査において、このチームに最大の信頼を置いていた。しかし裁判官・検察官の一掃は、警察や財務省官僚の一掃ほど簡単ではなかった。なんといっても、憲法で(ジェミル・チチェキ国会議長によってすでに無効にされていると遺憾の意を示されたとはいえ)まだ司法の独立は守られていると考えられていた。そのため、裁判官や検察官の昇進、規律、捜査といった状況をコントロールするHSYKのメカニズムの変更を決定した。発言の禁止はこの最初の1歩であった。

第3に、発表を行ったハムスィジ副委員長は、このようにして彼自身の仕事や地位を危険にさらす危険に対し禁止事項の周囲から動き回っており、発表を請け負っていた。報道によると、この発表の背後にはHSYKの委員22名のうち16名がいた。

第4に、ハムスィジ副委員長はかつて政府に対し陰謀を企てたとしてAKPに告発された「古いトルコ」の人間ではなく、政府が秘蔵っ子として見ていた司法の一員であった。AKP政権時代に顧問補佐と行政裁判所メンバーという重要な職に就いた後、2010年9月12日の国民投票で設立された新たなHSYKの組織の、委員長に次いで最も重要な地位に就いていた。

第5に、今エルドアン首相が改正を望んでいるHSYK法を制定したのは、首相自身である。同法は2010年の国民投票の直後、2010年12月18日に施行された。制定当時の政治的需要を満たすため行われた改正は、今日の政治的需要を満たせなくなった。

これは、アフメト・ダヴトオール外相の表現によると「行政と司法の間の危機」の一片に過ぎない。ダヴトオール外相が、先日AKP議員の一団との対話で新たな辞職者が出うるが、安定が必要であると述べたことは、政治の舞台裏に落ちた。しかしこの危機が外交政策にも影響を与えうることは明らかである。EUはこの3週間の間で第3の「懸念の表明」を行った。2週間の沈黙の後、アメリカも「独立した司法、透明な政治」を強調した。エルドアン首相の極東訪問に同行したメヴリュト・チャヴシュオール新EU相の返答は、「懸念には及ばない」というものだった。欧州評議会議員会議の議長を務めるチャヴシュオール外相は、この種の説明ではヨーロッパ政治を――特にエルドアン首相のブリュッセル訪問まで1週間となった時期に――いかなる形でも納得させられないであろうことを、確実に理解している。

この危機は、現在まで国外でも良識派として定評のあるアリ・ババジャン副首相をも経済界を安心させられず、支持者らが発言せざるを得ない状況においている。

エルドアン首相は、トルコで2つないし3つの選挙が行われる2014年を迎え、可能な限り多くの権力を自身のもとに集めることを望んだ。しかし明らかになった荷は重さを増している。システム自体の重さで崩壊する兆候を示し始めた。おそらくこのため、この状況を食い止めるために、アブドゥッラー・ギュル大統領に目が向けられている。



本記事はAsahi 中東マガジンでも紹介されています。

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( 翻訳者:永山明子 )
( 記事ID:32557 )