トルコの話題はここ何週にもわたり毎日、それどころか時には1日のうちでさえ何度も変わる。作戦実行、更迭、任命、判決、政界からの衝撃的な発表など・・・このような話題の嵐の中、置き去りにされた恐ろしい問題がひとつある。それは老若男女全ての人に密接に関係するものだ。「水不足」である。農業相の言葉をかりれば、「トルコでは深刻な気象的干ばつが起こっている…」雪、雨が降っていないのだ。ダムの貯水レベルは日に日に低下し続けている。この問題が、本来なら諸々の問題全てをおいて第一優先事項となるべき問題であるということを最も明確にした発表は、以下のようにコジャエリ上下水道局長によってなされている。「トルコで人口が最も過密している都市のひとつ、コジャエリへ水を供給するユヴァジュクダムには、15日分の水しか残っていない!」と。
メフディ・エケル農業畜産相は、「最近トルコは、再び懸念を伴う深刻な気象的干ばつに悩まされている。この後の数週間で状況が収束するように、我々は願い、望み、祈っている」と述べた。コジャエリ上下水道局のイルハン・バイラム局長も、コジャエリに水を供給するユヴァジュクダムには15日分の水しか残っていないと明らかにした。これらの発言に関してダムを管理する政府の水事業のトップであるヴェイセル・エルオール林業治水相にトルコのダムの最新の状況について質問した。エルオール大臣は、まず始めにトルコのどの県でも飲料水不足は起こっていないと述べ、この時期はダムの貯水レベルが最低になる期間であると強調。「それに関わらず、どこの県にも現時点で飲料水不足という問題はないのです」と述べた。
■「心配には及ばない。だが水は節約しましょう!」
エルオール大臣は、全都市に十分な水の供給確保のために必要な対策は講じられており、心配するに及ぶ状況ではないと言った。そのうえで国民には以下のように呼び掛けた。「しかし、国民の皆さんには節約しながら水を使用していただきたい」
■イスタンブルでは半分に減少
官庁よって集計されたデータによれば、イスタンブルの飲料水用のダム貯水率は、昨年68.4%であったところ、降雨量の減少に伴い、昨日時点で31.2%にまで下がった。
首都アンカラでは27.8%であった貯水率が、24.1%のレベルに低下した。
ブルサでは、昨年54.1%であった貯水率が42.2%に下がっている。
■イズミルでは貯水率が上昇
イズミルでは昨年飲料水用ダムの貯水率は47.7%であったが、昨日時点で56.3%になった。
■灌漑用水の状況は?
灌漑用水ダムでの状況も飲料水用ダムのものと大きく変わらないとわかった。
運用中の204箇所の灌漑利用ダムは、貯水率が昨年50%程度であったところ、昨日時点で45.5%となった。貯水率が21%代の危機レベル以下に低下したダムの総数は54であると発表された。
■発電用ダムの状況
運用中である水力発電用の88箇所のダムでは、貯水率が44.6%となっている。トルコで消費される電力のほぼ半分がユーフラテス河・チグリス河流域のダムによって賄われている。水力発電の48%をカバーするこの流域にあるダムの貯水率は、昨年に比べ1%上昇している。エルオール大臣はこのことも、水力による電力生産に問題が発生しないことを意味するものだと強調した。
■さらに1800万人に水を供給する!
エルオール大臣は、森林・治水事業省がトルコ全81県に対して飲料水活動計画を策定しており、2040年、2050年、さらには2071年までの飲料水計画があると説明。「建設が進む36のプロジェクトが完遂すれば、さらに1800万人に飲料水が供給されることになる」と述べた。
■「イスタンブル市民は安心してください。2071年さえ計画済みです」
エルオール大臣は、イスタンブルに水を供給するメレン・プロジェクトで世界初の試みとして、2大陸間を長距離水中トンネルであるボスフォラストンネルを用い、海底135メートルで連結したことを説明した。これによりイスタンブルに1日で70万㎥の水が提供されていると強調し、イスタンブルの水を2071年まで確保するために、メレン、スングルル、オスマンガーズィーにダムが建設されると述べた。
■「イズミルも2040年までの水問題を解消」
エルオール大臣は、ギョルデスダムと直径2メートルの供給ラインによってイズミルの飲料水問題も2040年まで解決済みであるとし、イズミルへは飲料水の供給のためだけに5億800万リラ(約228億円)の投資がなされたと述べた。
■ゲレデ・プロジェクトがアンカラの水問題を2050年分まで解決
エルオール大臣は、アンカラの2050年までの飲料水問題を解決するゲレデ・プロジェクトに2010年末に着手しており、本年末に完成の予定であると述べた。
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( 翻訳者:吉岡春菜 )
( 記事ID:32625 )