シリアのクルド人から速報!シリア北部のクルド人地域ロジャヴァのジズレ地区は、民主自治政府を宣言した。
シリアの未来が議論されるジュネーヴ2会議にクルド人代表団が招聘されなかったことがトルコやヨーロッパで抗議される一方、民主統一党(PYD; シリアのクルド系政党)内部のクルド高等評議会は、ロジャヴァ地域における自治を宣言した。シリアのハワル通信(ANHA)の報道によれば、「暫定民主自治政府議会」は、昨日(1月20日)マルディン県の向かいに位置するアムデに集まり、ジズレ自治政府を宣言した。ミーティングには議会の全議員が参加し、アブドゥルケリム・ウメル議長が開会演説を行い、議員らにクルド語、シリア語、アラビア語で挨拶した。社会契約(憲法)が読まれた後、幾つかの条文が調整された。
提案と話し合いの後、ジズレ民主自治政府が宣言された。自治政府は首相および22大臣から成り、首相と2大臣による三者統轄モデルが採用された。首相にエクレム・ヘソ氏、副首相にシリア人(スルヤーニー)のエリザベト・ゲウリイェ氏とアラブ人のフセン・エゼム氏が選ばれた。地区を統轄する閣議メンバーが選ばれる一方、22大臣が発表された。大臣は宣誓し職務にとりかかった。財務省および通商経済省は女性らで構成された。当該地域で武装化している人民防衛隊(YPG:PYD下部組織)は、設立された防衛省と並行して活動する。さらに自治区内の安全保障のために警察機関が設立される。
■3地区が自治体制による統轄下に
ロジャヴァ自治政府議会は、1月6,7日に行われたミーティングで統轄地域をジズレ、アフリーン、コバーニーの3地区に分割した。この枠組みにおいて、全地区が自治体制を作る。議会は、憲法としての「社会契約」を承認した。これによれば、統轄モデルは、地区制度、議会、自治政府、法務・高等選挙委員会という4本柱の上に設置された。
クルド人、アラブ人、アッシリア・シリア人、チェチェン人、アルメニア人を代表として発表した自治政府議会は、ロジャヴァを、中央機関のない体制を基に構成される未来のシリアの一部として位置づけている。
■平和民主党デミルタシュ党首:インスピレーションの源となるだろう
セラハッティン・デミルタシュ平和民主党(BDP)党首は、シリアにおいてロジャヴァと呼ばれるトルコ国境地域に居住するクルド人がジズレ地区で自治宣言を行ったことに関し会見を行った。党首は自治宣言が、シリア国民の自由で民主的な未来に大きく貢献するだろうと述べた。自治の決定を大きな喜びと興奮とともに歓迎したと述べたデミルタシュ党首は、以下のように話した。
「3年間続くこの汚れた先の見えない戦争状況にもかかわらず、ロジャヴァのクルディスタンでなされたこの勇敢な決断と当該地域に住む市民共通の自由闘争は、シリアの他地域にいる独裁者に対する戦いにとって、また中東全諸国にとってのインスピレーションのもととなるでしょう。大きな政治的意思、努力、献身によって訴えかけられたロジャヴァ革命の果実である自治の決断に尽力した全ての政治的演者および誇るべき反抗を行ったロジャヴァ市民に、これ故に敬意を表します。そしていつも彼らの側に我々がいたことをもう一度述べさせていただきます。この自治宣言をシリアの、そして中東の安定の点で国際社会全体による支援が必要な歴史的試みと考え、評価しています。同時に全民主的世論および虐げられている市民たちのために戦う全ての人々を、ロジャヴァ市民とともに扶助、支援することを呼びかけます。」
本記事は
Asahi 中東マガジンでも紹介されています。
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( 翻訳者:安井 悠 )
( 記事ID:32657 )